科研費シンポジウム 「ベイズ統計学の最前線」 (ハイブリッド開催)
日時:2026年1月23日(金) 13:30〜17:30
場所:明治大学駿河台キャンパス リバティータワー1階リバティホール(大教室1013)
参加登録 (現地): TBA
参加登録 (オンライン): TBA
(注: 対面参加とオンライン参加で登録方法が異なります)
現地参加を希望される方は必ず参加登録をしてからご参加ください。現地参加には上限人数を設けております。上限に達した段階で現地参加の登録を締め切る可能性があります。
オンラインの参加登録をするとzoomのURLが自動送信されます。
開催責任者:菅澤 翔之助 (慶應義塾大学)、小林弦矢 (明治大学)、入江 薫 (東京大学)
お問い合わせは sugasawa (at) econ.keio.ac.jp (菅澤) までご連絡ください。
*本シンポジウムは、以下のプロジェクトの支援を受けて開催されます。
科学研究費補助金 基盤研究(A) 25H00546
「複雑データに対するベイズモデリングの基盤創出」 (研究代表者: 菅澤翔之助)
プログラム
* 講演時間: 30分 + 10分 (質疑応答)
13:30-15:00 前半 (座長: 入江 薫)
「Bayesian analysis of verbal autopsy data using factor models with age- and sex-dependent associations between symptoms」
國濵 剛 (関西学院大学)
Verbal autopsies (VAs) are extensively used to investigate the population-level distributions of deaths by cause in low-resource settings without well-organized vital statistics systems. Computer-based methods are often adopted to assign causes of death to deceased individuals based on the interview responses of their family members or caregivers. In this article, we develop a new Bayesian approach that extracts information about cause-of-death distributions from VA data considering the age- and sex-related variation in the associations between symptoms. Its performance is compared with that of existing approaches using gold-standard data from the Population Health Metrics Research Consortium. In addition, we compute the relevance of predictors to causes of death based on information-theoretic measures.
「野球データ分析におけるベイズ統計の活用」
泉 荘太朗
本発表では、野球データの分析におけるベイズ統計の活用について、現状および将来の展望までを述べる。野球のデータ分析においては、セイバーメトリクスと呼ばれる方法論が1970年代に誕生し、今日にかけて理論的蓄積が進んだ。その結果、日本でも一定の市民権を得るに至っている。データ活用そのものは浸透した一方で、ベイズ統計を用いた分析は普及しているとは言い難い。本発表を通じて、ベイズ統計が野球データの分析にもたらす可能性について提示する。
15:00-15:20 休憩
15:20-17:30 後半 (座長: 菅澤 翔之助)
「適応的実験計画による実験科学研究の効率化」
松井 孝太 (京都大学)
実験科学における多くの問題は,「実験」を条件xを入力し出力y=f(x)を観測するシステムとみなすことによって,入出力関係fに関する統計的推論を行う問題として取り扱うことができる。適応的実験計画とは,この問題をできるだけ少ないデータ数(すなわち実験回数)で解決するための,直前までの実験で得られたデータに基づいて次の実験条件を決定する,というフレームワークを指す。本発表では,fを最適化するための適応的実験計画であるベイズ最適化と,fのレベル集合を推定するための適応的実験計画である能動的レベル集合推定を,材料科学および医学研究における適用事例とともに紹介する。
「極値組合せ論的ベイズ機械学習と生体情報処理への応用」
中野 允裕 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
ベイズ機械学習は一般に(A1)モデルの普遍性、(A2)解析の不確かさを評価する機能、(A3)ベイズの定理に基づく汎用の定式化機構などの様々な長所を持つ一方で、実応用においては(O1)個別モデルの構築の難しさ、(O2)個別推論アルゴリズムの導出の難解さ、(O3)推論アルゴリズムの理論的不透明さに悩まされることが少なくない。本発表では、超順列や超グラフなどの極値組合せ論的普遍対象を用いたベイズ機械学習の新しい枠組みを示し、合意ランキング・分類・階層クラスタリング・因子解析・因果推論・系統樹解析・関係データ解析を含む典型的なベイズ機械学習諸課題に対して、この枠組みが(C1)モデル普遍性、(C2)汎用のマルコフ連鎖モンテカルロ推論、(C3)その混合時間解析を統一的に提供できることを示す。また、実際にいくつかの生体情報処理課題を用いてこの枠組みを用いた応用事例を紹介する。
「ベイズ教師なし文境界認識」
持橋 大地 (統計数理研究所)
自然言語処理において, 文を単位とする言語現象をとらえるためには文分割(文境界認識)が必要となる. しかし, 実際に我々が扱うことが多い崩れたテキストには無数の文末表現があり, 通常の教師あり学習で正しく分割することは難しい. これに対して本研究では, 文分割をテキストの文字毎に存在する二値潜在変数の推定問題ととらえる. セミマルコフモデルの枠組みで動的計画法とMCMC法を組み合わせることにより, 単純な文字nグラム言語モデルを用いるだけで, 最新の大規模言語モデルによるヒューリスティックな文分割を超える,最高精度の文分割を教師なし学習で行えることを示す.
(本研究は、内海慶氏(SB Intuitions)との共同研究です。2025年言語処理学会年次大会優秀研究賞受賞)
過去の開催
科研費シンポジウム2025 (2025年3月7日)
科研費シンポジウム2024 (2024年1月19日)
科研費シンポジウム2023 (2023年1月27日)
科研費シンポジウム2022 (2022年3月18日)