科研費シンポジウム 「ベイズ統計学の実践」(ハイブリッド開催)
日時:2025年3月7日(金) 13:30〜17:20
場所:明治大学駿河台キャンパス グローバルフロント4021教室
現地参加を希望される方は必ず参加登録をしてからご参加ください。現地参加には上限人数を設けております。上限に達した段階で現地参加の登録を締め切る可能性があります。
オンライン参加を希望される方もご登録ください。登録をした方に当日のzoomアドレスが自動送信されます。
参加登録直後に spatial.stat.japan (at) gmail.com から自動返信メールが届きます。 (迷惑フォルダに割り振られていないかご注意ください。)
開催責任者:菅澤 翔之助 (慶應義塾大学)、入江 薫 (東京大学)、橋本 真太郎 (広島大学)、小林弦矢 (明治大学)、中川智之 (明星大学)
お問い合わせは sugasawa (at) econ.keio.ac.jp までご連絡ください。
*本シンポジウムは、以下のプロジェクトの支援を受けて開催されます。
科学研究費補助金 基盤研究(B) 21H00699
「大規模データに対するベイズモデリングの新展開」 (研究代表者: 菅澤翔之助)
科学研究費補助金 基盤研究(A) 20H00080
「所得分配の不平等の時空間ベイズモデリング」 (研究代表者: 各務 和彦)
プログラム
* 当日に向けて随時更新予定です。
* 講演時間: 40分 + 10分 (質疑応答)
13:30-15:10 前半 (座長: 入江 薫)
「行列分解を用いたメタアナリシスによる有害事象のパターン抽出」
松浦 健太郎
病気による症状と治療の副作用による症状を合わせた事象を有害事象と呼ぶ。実際には副作用と断言できることは少ないため、臨床試験では有害事象を記録する。臨床試験における有害事象の評価の主要な目的は、治療によってどのような有害事象のセット(パターン)が出現しやすくなるのかを知ることである。副次的な目的は、患者レベルにおいてどのパターンが出現しやすいかを知ることである。これら二つの目的を同時に達成する、非負行列分解を拡張した統計モデルを提案する。 臨床試験データに適用するために3つの仮定を加えた:①有害事象の出現行列を近似した行列は、病気に由来する行列と治療に由来する行列に分離できること。②有害事象の重症度の影響。③薬剤の作用機序が同じならパターンは似ていること。最後に適用例を紹介する。
「物質科学におけるベイズ統計の活用と発展」
徳田 悟 (九州大学)
古くは17世紀に発見されたケプラーの法則が象徴するように、単純な数式を用いて計測データを表す数理モデリングは様々な物理現象に対する理解を深めてきた。しかし、扱う現象が複雑になり、高度な計測技術を駆使する現代科学では理解が困難な計測データが顕在化している。本講演ではベイズ統計に基づく不確実性定量化およびモデル選択を活用し、こうした困難に立ち向かう我々の取り組みを紹介する。特に、物質科学の研究者との異分野協働によるいくつかの実例やそれらに触発されて発展した数理的研究について述べる。
15:10-15:40 休憩
15:40-17:20 後半 (座長: 菅澤 翔之助)
「プロスペクト理論の価値関数・確率加重関数の導出とベイズ統計モデリングによるモデル比較」
清水 裕士 (関西学院大学)
本発表では、行動経済学におけるプロスペクト理論の価値関数、確率加重関数を認知科学の分野で検討されてきた3つの理論から数理的に導出した研究を紹介する。その研究では、提案モデルが既存のモデルと比べて行動データとフィットすることをベイズ統計モデリングでモデル比較を行った。発表では、実験科学におけるモデル比較において他の指標よりも対数周辺尤度を用いることの利点を論じ、またその計算方法についても紹介する。
「ベイズモデリング活用最前線:ビジネス活用から将来展望まで」
須山 敦志 (アクセンチュア株式会社)
本講演会では、最新のベイズ統計のビジネス応用の現場を解説し、その将来展望を述べる。近年、データ分析の重要性が増す中、ベイズ統計は不確実性を考慮した意思決定を可能にする強力なツールとして注目されている。本講演会では、実際のビジネス現場でベイズ統計がどのように活用されているのか、具体的な事例を交えながら解説する。また、近年のLLM(大規模言語モデル)を始めとした生成AIの台頭により、ベイズ統計の応用可能性はさらに広がってくると考えられる。本講演会では、今後のベイズ統計がビジネスにもたらす可能性について、具体的な展望を提示する。