研究内容
研究テーマ
運動想起(イメージ)の神経基盤の解明
運動イメージとは身体を動かさずに動作を想起することです。運動イメージを繰り返し行うイメージトレーニングは運動パフォーマンス向上に効果があることが数多くの研究で確認されていますが、必ずしも万人に高い効果があるわけではありません。その理由の一つに、運動イメージの質(正しいイメージができていない)が挙げられると思いますが、主観的な体験である運動イメージの質を評価することは困難です。そこで、運動イメージ中の脳活動を計測・解析することで運動イメージの質の定量的に評価にできるようにしたいと思っています。近年は、自己の運動をどのように認識しているかについても興味があります。
Mizuguchi, Psychological Research, 2024
Mizuguchi et al., Scientific Reports, 2021
Mizuguchi et al., Neuroscience Research, 2019
Mizuguchi et al., Neuroscience Letters, 2017
Mizuguchi et al., Neuroscience, 2016
Mizuguchi et al., Frontiers in psychology, 2015
Mizuguchi et al., Neuroscience Letters, 2014
Mizuguchi et al., Frontiers in Human Neuroscience, 2014
Mizuguchi et al., Neuroscience Research, 2013
Mizuguchi et al., Experimental Brain Research, 2013
Mizuguchi et al., Neuroscience Letters, 2012
Mizuguchi et al., PLoS ONE, 2011
Mizuguchi et al., Experimental Brain Research, 2009
運動学習の個人差に関連する脳活動・脳構造
同じトレーニングをしてもパフォーマンスが大きく向上する人とそうでない人が存在します。このような運動学習の個人差を生み出す神経基盤を解明するために、脳活動や脳構造を調べています。
Ueta, Mizuguchi et al., Medicine & Science in Sports & Exercise, 2022
Mizuguchi et al., NeuroImage, 2019
神経修飾法によるパフォーマンス向上
近年、痛みなどを伴わずに非侵襲的に脳活動を変調させる神経修飾法が開発されました。その手法を用いて、どのような刺激パラメータでどのような運動パフォーマンスが向上するかを調べています。
Mizuguchi et al., Neuroscience, 2018
スポーツ継続による脳機能再編
トップアスリートは長年にわたる高強度のトレーニングによって、筋や心肺機能だけでなく、脳も変化していると考えられます。アスリートのパフォーマンスの高さを支える脳活動や脳構造を調べています。
Nakanishi, Mizuguchi et al., Neurorehabil Neurorehabilitation and Neural Repair, 2022
Mizuguchi et al., NeuroImage:Clinical, 2019
運動のバラツキを生み出す神経要因の解明
トップアスリートであっても全く同じパフォーマンスを繰り返し発揮することはできず、そのパフォーマンスは必ずばらつきます。そのわずかなパフォーマンスのバラツキが時に試合の勝敗を決めるかもしれません。脳機能イメージングや電気生理学的手法を用いて運動パフォーマンスのバラツキが何故生じるかを調べています。
Mizuguchi et al., Neural Plasticity, 2016
チームワークの良さを支える神経基盤の解明
サッカーやラグビーなどのチームスポーツにおいて、チームワークは個人のスキルと同様に重要です。チームワークの良さを支える神経基盤を調べています。
他にも共同研究で様々な研究をしています。
実験手法
磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging: MRI)
1)機能的MRI
脳活動を計測する方法の一つです。実験中に被験者は頭を動かせない制約や時間分解能があまり良くない(1-3秒程度)などの弱点もありますが、空間分解能が高いため(2-3mm程度)、賦活した脳部位を同定するには強力なツールです。
2)拡散強調画像
白質微細構造を評価するための計測です。
3)T1強調画像
灰白質の容量を評価するための計測です。
脳波
脳活動を計測する方法の一つです。時間分解能が高く、機能的MRIでは捉えられない短い時間変化を示す脳活動も計測可能です。一方で、空間分解能は高くないため、活動した部位を特定するにはあまり適しません。また、体動や顔や首などの筋活動によって信号の質が低下しますので、ダイナミックな運動中の計測は難しいかもしれません。
経頭蓋磁気刺激法
大脳皮質を痛みを伴うことなく非侵襲的に刺激します。様々な刺激方法が存在しますが、主に、単発刺激を一次運動野に与え、筋電図から運動誘発電位を計測し、皮質脊髄路の興奮性を評価しています。
経頭蓋直流電気刺激法
痛みを感じることなく脳活動を変調させる効果があるとされています。頭皮に貼付した電極から微弱な電流を流します。先行研究により学習を速めたなどの報告もありますが、効果が無いもしくは悪化したという報告も散見し、使いこなすためにはさらなる研究が必要だと考えています。
使っているtoolboxや解析法
Statistical Parametric Mapping12 (SPM12)
Functional Connectivity Toolbox (CONN)
Computational Anatomy Toolbox (CAT)
FMRIB Software Library (FSL)
Voxel Based Morphometry (VBM)
Fixel-based analysis (FBA)
Tract-Based Spatial Statistics (TBSS)