避難所の「住」

避難生活の「住」

水谷嘉浩 氏

Jパックス代表取締役

2011年の東日本大震災をきっかけに考案された段ボールベッドは,様々な病気をもたらす避難所から少しでも環境を改善する試みであった.従来の避難所は,学校体育館のような広いスペースに設置され,避難者はブルーシートの上の一角を割り当てられる.足腰の衰えのある多くの高齢者は,平らで掴まるものの無い床に一旦座ると立ち上がりが困難になり,やがて寝転んで過ごすようになる.その結果,昼夜ともに寝ることで運動量が大幅に減少して,エコノミークラス症候群や廃用症候群など,ADL(生活基礎動作)の低下を起因とする疾患が多発する.高さ35cmの段ボールベッドは腰掛けるには丁度良い高さであり立ち上がりが容易である.避難所で一旦は寝たきりになった高齢者が,ベッドを使うようになるとまた歩き始めた事例も度々あった.今後は,災害発生後に段ボールベッドを設置できるかどうかでは無く,どの避難所も開設と同時に設置できるような仕組み作りが求められる.

避難所の「食」

災害時の「排泄」

災害時の

「こども支援」