白保村
ゆらてぃく
憲章
『白保村ゆらてぃく憲章』とは
伝統ある白保村の歴史、文化、生活、自然を次世代に継承するとともに、より一層の発展を図るため村人が団結し取り組むべき決まりです。憲章は、村づくりの目標、村づくり7箇条、具体的な施策からなります。
(1)村づくりの目標
与那岡から見渡す田園風景、魚湧く海、赤瓦、福木、石垣の残る集落その中で受け継がれる伝統芸能、白保村の先輩たちが守り伝えてきた豊かな自然とともにある暮らしを守り、若者たちが夢と誇りを持って次世代を担うことのできる、“海と緑と心をはぐくむ、おおらかな白保”を目標としたゆらてぃく白保村づくりを推進します。
(2)白保村づくり七箇条
一、白保の文化を守り、未来につなげます
一、世界一のサンゴ礁を守り、自然に根ざした暮らしを営みます
一、石垣、赤瓦、福木を愛し、きれいな街並みをつくります
一、恵まれた自然を活かし、村を支える地場産業を育成します
一、地域の教育力を高め、次世代を担うたくましい子どもを育てます
一、スポーツや健康づくりに励み、心と体の健やかな長寿の村をつくります
一、ゆらてぃくの心で団結し、平和で、安全な世界に誇れる白保村をつくります
『ゆらてぃく』とは
白保村を代表する民謡"白保節"に謡われる「ゆらてぃく」という言葉は、「寄ってらっしゃい」「ともに集おう」など、歓迎の意や村人の和を表すものと解釈できます。
「ゆらてぃく」は、白保節を最も印象づける歌詞であり、かつ、白保人気質(さぶぴぃとぅかたぎ)を表した言葉でもあることから、本憲章の冠名として位置づけました。
白保人は、古来より勤勉であり、村人の団結心は強く、様々な行事や村事(むらごと)に一致結束して取り組み乗り越えてきた歴史があります。特に友人・同級生などは固い絆と友情で結ばれています。
その一方で、白保人は、外来者や移住者を受け入れてきた寛容さや友好さを併せ持っています。白保古来の文化風習を守りつつ、外来文化を取り入れ独自の文化へと昇華させてきた進取の気質と文化的感性のある集落でもあります。
このように白保人は、勤勉・寛容さ・友好さ・文化的感性・団結心・友情心などに富んだ特有の気質があり、この白保人気質はこれまで世代を超えて受け継がれており、将来も守るべき精神的遺産といえます。
そこで、本憲章では、白保人の気質・精神性を白保節の歌詞に因んで「ゆらてぃくの心」または「ゆらてぃく精神」と表現することとします。
白保村ゆらてぃく憲章 策定経緯
◆白保村ゆらてぃく憲章策定の流れ
平成16年度離島・過疎地域ふるさとづくり支援事業「ゆらてぃく白保村体験2004」次世代プラン班として平成16年5月31日にスタート。
小中学生の作文・図画コンクールや地図づくりに加え、アンケート調査や座談会の開催を通じて、広く村人の意見を集め“ゆらてぃく白保村づくり基本方針(提案)”を取りまとめました。
平成17年度には、公民館から白保村憲章策定作業を付託され、9回に上る座談会の開催と5回の班内での協議により「ゆらてぃく白保村づくり宣言(仮称)」を取りまとめました。
平成18年度白保公民館総会で“白保村ゆらてぃく憲章”として正式に制定されました。
◆白保村ゆらてぃく憲章の推進
憲章の普及・推進を図るため、白保村ゆらてぃく憲章推進委員会を白保公民館の附属機関として設置・運営することとし、石垣信善公民館長より平成19年2月1日に13名の委員が任命されました。
白保の文化を守り、未来につなげます
◆白保固有の芸能の保存・継承
豊年祭、稲の一生、棒術、獅子舞などの保存・継承を図ります。
白保に関する民謡の歌い方の統一を図ります。
舞踊の白保独特の手を保存、継承します。
道アンガマの仕来たりを守り、次世代へ継承します。
遊び歌を普及・継承します。
協和会などを中心に、古謡を普及・継承します。
◆芸能の集落の継承・発展
大衆芸能を広めるための活動をします。
白保の研究所が一堂に集まる白保芸能発表会を開催します。
老人会、協和会を中心に若い人たちに芸能を継承する組織を作ります。
◆白保の風習・祭事の保存・継承
古来から伝わる祭事・行事の保存・継承を図ります。
地域の言葉、方言を大切にします。
白保方言事典を作成します。
移住者、アパートの入居者への白保の風習に関する理解・協力を呼びかけます。
◆白保の文化遺産の整備・保存
地域の文化財を指定し登録を行い、周辺の整備を行います。
白保に伝わる文化財を収蔵展示する資料館を整備します。
◆白保文化の創造・発信
地域活動を通じて新しい白保の文化を創造します。
ゆらてぃく祭を継続開催し、白保村の文化を広く発信します。
世界一のサンゴ礁を守り、自然に根ざした暮らしを営みます
◆身近な自然環境の保全
村民が共同して、海、陸の自然を守ります。
防風林や保安林を保全し、美しい花と緑あふれる集落をつくります。
海岸植生などを守り、多様な生物の生息環境を保全します。
赤土の流出を防ぐため、村民が協力して、グリーンベルト整備などに取り組みます。
集落内では除草剤を使わないなど、農薬、除草剤の使用量を軽減する取り組みを進めます。
◆環境の復元・改善
家庭ゴミや粗大ゴミなどの投棄を行わない、行わせないようにします。
農作業から出る廃棄物なども投棄せず、適切な処理を行います。
ゴミやタバコのポイ捨てを禁止し、きれいな村を作ります。
犬の放し飼いを禁止し、清潔な村をつくります。
定期的な海浜の清掃活動に、村を上げて協力・参加します。
防潮林の伐採などを行わず、植樹・管理をすることで健全な防潮林の復元を図ります。
◆自然の持続的な利用
地域の人々が白保のサンゴ礁と触れ合う機会を設けます。
自然体験や環境学習の機会を設け、地域の人々の環境保全意識を高めます。
石垣、赤瓦、福木を愛し、きれいな街並みをつくります
◆景観の保全・創造
美しい花と緑あふれる街並みをつくります。
石垣、生垣、植栽など落ち着きのある街並みをつくります。
ンマガミチ、カンヌミチを優先整備地区として、調和の取れた落ち着きのある街並みを創造します。
屋敷林の保全に向けた普及・啓発に取り組みます。
解体する家の瓦や木材をストックし、集落内で再利用することのできる仕組みをつくります。
福木の落ち葉、実の掃除の方法なども協力して取り組んだり、石垣をユイマールで積むなど、村中で協力して街並みの手入れを行います。
◆文化遺産としての家・屋敷の保全
伝統的な赤瓦家の住人の意識や課題などを把握し保全を呼びかけます。
由緒ある屋敷などが手放されている現状を踏まえ、保全のための基金づくりやユイマールでの保全を検討します。
景観法における地区指定など補助金制度を活用し、保全に向けた資金の確保を図ります。
特に重要な家・屋敷は文化遺産として保全します。
赤瓦の家の補修、改修の技術を継承します。
◆新築住宅と集落景観の調和
土地や家屋の売買を行う際、事前に公民館に相談する仕組みをつくります。
既存の集落に調和した新築住宅のガイドラインづくりを進め、不動産業者や石垣市に周知徹底します。
家を新築するときは、白保の景観に配慮し石垣、福木、赤瓦を採用するなど、周辺の景観との調和に留意します。
◆字白保の広域的な景観保全
真謝井戸節に歌われる与那岡からの眺めを守ります。
景観区域の指定に向けて村内での協議を開始します。
海からの景観にも配慮し、海岸線、海岸林の保全や高い建物の建築制限などを行います。
緑の景観を維持するため屋敷林や御嶽、保安林、海岸林の保全を進めます。
ネオンサインや極彩色の看板などの設置を行わないように働きかけを行います。
恵まれた自然を活かし、村を支える地場産業を育成します
◆農村集落としての農業の継承・発展
農業振興に関する勉強会を開催します。
遊休農地を有効利用、集約化する方策を検討します。
農業廃棄物の処理や堆肥の利用促進など循環型農業への転換方策を検討、推進します。
消費者ニーズに合った農業への転換を図り、経済性の高い農業を確立します。
後継者の育成を図り、農村集落としての誇りを受け継ぎます。
農村集落として発展してきた土台を生かした村づくりを進めます。
農産加工施設の整備や農産物の直売施設の整備などを進めます。
◆魚湧く海を活用した地域産業育成
漁業についてのルールづくりを進めます。
漁業資源の管理と再生へ村を上げて取り組みます。
水産加工施設や直売施設の整備などを進めます。
観光業についてのルールづくりを進めます。
静かな農村集落と観光の両立を図ります。
白保魚湧く海保全協議会への積極的な協力・支援を行います。
白保の垣(カチ)を復元し、水産業の文化遺産として維持・管理を行います。
◆あらたな地場産業と地域内での雇用創出
自主的な取り組みを育成し、地域の特産品づくりを進めます。
(仮称)白保特産品組合などを組織し、農産加工品、工芸品、郷土料理などの特産品づくりを進めます。
特産品の加工に関する許認可の取得や白保ブランドの確立を図るとともに加工施設の整備を進めます。
白保日曜市などの取り組みを継承・発展させて、特産品の販売拠点を整備します。
伝統的な工芸品の原料や郷土料理の食材を確保するため自然環境の保全・再生へ取り組みます。
地域の教育力を高め、次世代を担うたくましい子どもを育てます
◆地域の教育力の向上
幼小中PTAを連携し、班別PTAを活性化します。
子どもたちを地域行事に積極的に参加させ、地域文化や自然に触れ合う機会を作るとともに目上を敬う心を育みます。
小中学校の地域人材リストに積極的に登録をし、学校教育への地域人材の活用を進め、学社連携を図ります。
学校評議委員制度を活用し、学校運営を積極的に支援・協力します。
地域の社会教育団体を育成し、活動を支援します。
◆青少年の健全な育成
風紀を乱し、青少年への影響を与えると考えられるパチンコ店やカラオケボックス、ゲームセンターなどの出店を抑制します。
声かけ運動の推進など子どもと関る運動を進めます。
白保中学校区生徒指導連絡協議会活動を推進し、青少年の健全育成を図ります。
スポーツや健康づくりに励み、心と体の健やかな長寿の村をつくります
◆心と体の健康作りの推進
公民館体育部が中心となった生涯スポーツ活動の支援、促進。
歩け、歩け運動の推進(夜間の小中学校運動場の開放、照明の設置、護岸端の道の整備など)。
地元の素材を活かした健康食づくりを進めます。
育児サークルや世代間交流の場づくりなど、白保で暮らす人々が知り合い、助け合い、楽しむことのできる活動の推進や施設の整備を進めます。
生活習慣病予防等の講演会を開催し、健康作りへの意識を高めます。
◆命どぅ宝の精神の普及・啓発
年長者を敬う心を育成します。
高齢者と触れ合う機会を設け、先人の知恵や生き方を学び命の大切さを学ぶ運動を広げます。
ゆらてぃくの心で団結し、平和で、安全な世界に誇れる白保村をつくります
◆ゆらてぃくの心の継承
誰とでも友好的な関係を築くゆらてぃくの精神を大切にします。
白保人の気質、白保の精神としてのゆらてぃくの心を継承します。
仲間や団結心を大切にする風土を継承します。
◆新規住民の白保自治活動への参加、協力の仕組み構築
アパートの入居基準を設け、家主や不動産業者に周知・徹底を図るとともに、入居者に地域の行事や自治会活動に積極的に参加することを義務づけるよう働きかけます
集落外部から村に移住してくる方々への公民館活動やゆらてぃく白保村づくりへの協力を呼びかけます。
公民館として入居者へ村の風習などを伝える文書を配布する。
公民館総会に新規住民は積極的な参加を促し、村民に紹介するようにする。
◆安心、安全な村づくり
公民館治安部を中心にPTA、青年会、協和会等各団体が連携し、治安の維持に努めます。
社会を明るくする運動を推進し、平和で心豊かな村づくりを進めます。
住民同士が顔見知りになることで安心して暮らせる地域をつくるため地域行事への参加・協力を積極的に進め、地域内の連携を強めます。
◆防犯の推進
防犯灯の設置を推進します。
声かけ運動を推進します。
太陽の家を積極的に活用し、子どもを事件、事故から守ります。
◆防災の推進
防風林、保安林、防潮林を保全し、災害に強い村づくりを進めます。
協和会消防班、消防団などと連携した防災活動を推進します。
◆交通安全の推進
協和会による交通安全運動を推進します。
駐在所と連携した交通安全講習など交通安全意識の高揚に努めます。