尺八は、本来は竹を使って作られますが、竹を掘り、節の合った竹を選び、曲げを直し乾燥させ、竹の内側に地を盛り、内径曲線を整え、漆で仕上げるという複雑な工程を経て作るため、販売される尺八は安い物でも15万程度は必要です。また、尺八はその製作者の技術により大きな差があります。さらに同じ製作者でも、内径曲線は手作業で作るため、同じものは作れないということになり、同一の製作者の尺八でも良い物、良くないもの(奏者の吹き方に合う物、合わない物と言った方が良いかもしれません)があります。ある程度吹けるようになってから、竹の尺八を選ぶことをお勧めします。
初心者は、工業製品として高い精度で同じ内径曲線で仕上げられるプラスチックの尺八や3Dプリンタによる尺八を使う方が安心です。鳴らない尺八を使っても絶対に上達しません。プラスチック尺八の「悠」、3Dプリンター尺八の「烽火」等がおすすめです。これらの尺八の場合、予算は2万円程度です。
安定した息のビームを作ることができれば、息の流れのポイントに尺八のリードの部分を当てるだけで音は出ます。鳴らすことが難しいという声も良く聞きますが、強い息を吹き込もうとしたり、唇を横に引っ張ったりして、安定した息のビームが出ていないことが原因のことが大半です。正しい鳴らし方で息を吹き込めば、初めて尺八を手にしたとしても、時間がかかる人でも10分くらいのうちには音が出るようになると思います。
尺八は楽器ですから、演奏で大切なことは、正確な音程とリズム、フレーズの作り方です。その中でも最も重要なものは正確な音程だと思います。尺八は角度を変えるだけで半音程度音が変わるため、正確な音程は自分の耳で作らなければなりません。その参考にチューナーを使うことは、特に初心者においては、好ましいというよりも必須のことだと思います。
また、尺八独自の曲(古典本曲や三曲合奏)は、自分の知らないメロディーなので音程が外れていても気が付かないことがままあります。ある程度吹けるようになったら、演歌やポップスなど、知っているメロディーを吹いてみるのも良い練習になると思います。
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