2020年に入って、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスは想像を超えるスピードで、全世界に波及していた。戦後最大の危機という新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、経済不況や失業率上昇の状況を発生している。ひるがえって、1920年代末からの同じような経済危機や資本主義世界の大恐慌(1929年-1933年)は、経済史の中で非常に重要な段階である。
当時、フーバー大統領が信じていた古典派経済学の自由放任政策は、大恐慌に対して効果が全くなかった。そのため、ルーズベルト新政府は、市場への介入をしなければならなかった。自由放任主義の経済政策と政府主導型の経済政策のどちらが経済不況に対して効果があったのだろうか。今回のような経済大不況は、歴史から学ぶことがあるかどうかを中心に、このレポートでは、大恐慌時代のアメリカ経済政策について要点を説明した上で、筆者の意見を述べたい。
第一次世界大戦後、戦争で疲弊したヨーロッパに対して、戦場とならなかったアメリカは世界一の経済大国になる。1920年代のアメリカ経済は、「永遠の繁栄」と呼ばれるほどの好景気を迎えた。しかし、好景気のあとに不景気が来るのは資本主義の宿命である。1920年10月24日、ニューヨーク証券取引所で株価が大暴落し、ついにバブルははじけた。
自由放任主義を信じていたフーバーは、株価暴落の対応政策や手段を実施した。たとえば、株式市場崩壊後、フーバーは、1929年11月18日に主導的な金融業者や実業家をワイトハウスに集めて、賃金の切り下げを防止するため、会議を行った。しかし、高賃金には高失業という犠牲を伴った。なぜなら、賃金が相対的に上昇すれば、実業界はますます少ない労働者しか雇わなくなるからであった。
国際貿易に関する政策は、1930年に実施されたスムート・ホーリー法案である。大恐慌が始まると、議会内は貿易保護主義が台頭し、フーバー大統領は農産物の下落を防止するため、外国からの農作物輸入を制限する高関税政策を検討していた。1930年6月17日、アメリカ合衆国の歴史で悪名が高いスムート・ホーリー法案が議会を通過した。この法案によって20,000品目以上の輸入品の関税を引き上げた。アメリカの輸入関税は平均40%前後にも達した。
賃金支持政策と貿易保護政策以外、この時期フーバー大統領は議会に4億ドル以上の連邦建設計画の予算を支援するように求めた。1930年7月に議会は9億1,500万ドルの公共事業計画を認可された。フーバー大統領の名前で命名したフーバーダムも建設し始めた。
当時大部の経済学者は、「恐慌という嵐は、じっと耐えて息を潜めていればそのうち収まるだろう」と考えており、そうした古典派経済学の考え方と信じていた。しかし、大恐慌の深刻化と長期化のため、こういう考え方は見直しを余儀なくされた。上述したように、フーバー大統領は大恐慌に対して何もしなかったという評価は不適切だと思う。彼は古典派経済学の自由放任主義を信じたけれど、経済の景気を回復するために、政府による経済への干渉を実践したのであった。
1932年の大統領選挙で、フーバー大統領は経済を回復できなかったことが原因で落選した。その代わりに、民主党のルーズベルトが1933年3月4日に大統領に就任した。
就任後、彼は新財務長官ウィリアム・ウッディンに緊急銀行法の起草を命じた。同年3月6日に銀行休業日が設けられ、すべての銀行を閉鎖した。銀行改革の結果は、1933年の銀行法によって、連邦預金保険公社が設立された。銀行改革以外、「百日議会」と呼ばれた民主党が多数派となった議会は短時間に多くの改革案を通過された。例えば、緊縮財政法、金本位制の離脱、民間資源保存局、全国産業復興法、農業調整法、ワグナー法などの法律や制度が生み出された。上記のフーバー大統領の公共事業建設政策と同様に、全国産業復興法の一部として設置された公共事業局は、60億ドルを使って、ダム・発電所、学校、空母などを建設した。
こうした政策はニューディール政策といい、特徴を簡単に述べると、政府が経済活動に全面介入することである。1933年から経済は好調になったものの、ニューディール政策は大恐慌を克服したことは言えなかった。そうはいっても、短期的に効果がみられたことは否定できない。
上述した内容をまとめて行くと、注目すべきことは、二人の大統領とも経済不況時に公共投資を行ったことである。ここで、マクロ経済学の特徴である乗数効果が果たしている。簡単に述べると、所得が消費を生み、消費が所得を生むことである。そう考えると、現時点の経済不況にも景気対策があるではないか。しかし、日本の債務残高はGDPの2倍を達し、主要先進国の中で最悪の水準となっている、財政収支は大幅な赤字が続いている状態になっている。そういった現状下には、政府による大型公共投資の実現はかなり難しいであろう。
筆者自身では、政府の規制は経済発展に阻害するような古典派経済学を信じているが、全世界感染拡大の中に、中国だけが感染を抑制し、経済回復もできた。こう見れば、中国のような集権制度は、本当に自由民主制度より良いなのか、これも考えすべきことであろう。
参考文献
秋元英一 (2009) 『世界大恐慌―1929年に何が起こったか』 講談社
林敏彦 (1988) 『大恐慌のアメリカ』 岩波書店
宮田由紀夫・玉井敬人(2016) 『第二版アメリカ経済論入門』 晃洋書房
(SHAO YUZHAO)