水は一般的に連続した通路の中、すなわち水路内を流れています。また、水路は水面の有無によって開水路と管水路に分けることができます。開水路の例としては河川や用水路、管水路の例としては上水管などが挙げられます。ちなみに、下水管は管内の水が一杯にならないため、開水路として扱われることが多いです。
これら水路で流れる水の速さを流速、水の流れる断面積を流積といいます。さらに、この2つを掛け合わせたものを流量といい、流量は水が単位時間あたりに流れる量を表わしています。また、水路の壁に接している部分の長さを潤辺、流積を潤辺で割った物理量を径深といいます。開水路、管水路における潤辺は下図のようなイメージであり、径深を式で表すと次のようになります。
このとき、Rは径深 [m]、Aは流積 [m2]、Sは潤辺 [m] です。
上図の左側は開水路の流れを表わしており、右側は管水路の流れを表しています。また、潤辺は上図を見ればすぐに理解できると思うのでが、径深は非常にイメージがつかみにくいです。それは、径深は図で表すことが出来ないからです。なので、歴史を追って説明をしていきます。
昔の人は、水深の大きさから流速を計算していたのですが、底の丸い水路にたいへん悩まされていました。なぜなら、底が丸い水路は水深をどこに設定すれば良いのか分からなかったからです。そこで、流積を何かの長さで割り換算水深を出すことにしました。候補は2つあり、一つは水面長、もう一つは潤辺でした。
流速は粘性(摩擦)に大きく左右されます。そのため、平均水深も摩擦の情報を持っている必要があり、自然と流積を割る長さは潤辺に決まりました。従って、径深は水路側壁の摩擦力を考慮した換算水深であるといえます。ちなみに、流速の式としてマニングの式があります。マニングの式では径深は2/3乗されており、径深が大きくなれば流速は小さくなります。
このとき、vは流速 [m/s]、nは粗度係数 [m-1/3/s]、Iは動水勾配 [単位なし] です。
まとめとして、水は一般的に非圧縮性の粘性流体として扱われます。また、水路は開水路と管水路に分類することができます。この水路での物理量として、流速、流積、流量、潤辺、径深の5つパラメータがあります。