水の入ったバケツを荷台に乗せて一定の速度で動かすと、バケツ内の水は慣性力を受け、水面が傾き始めます。そのうち傾きはあるところで一定を保ち続けることになります。このような状態を相対的静止と言います。
荷台を加速させると、水には常に慣性力が作用していることになります。この慣性力と水の重量から角度を計算することができます。
次に、地面が傾いている場合を考えます。地面の傾きの分だけ慣性力も傾きます。そのため、慣性力を水平方向と鉛直方向に分解する必要があります。
さらに、水が回転運動する場合を考えます。バケツの中に水を入れ、水を回転させると中心付近の水面が低くなり、端の水面は高くなります。これは、水に遠心力が加わるためです。遠心力の詳細な内容については1.9 慣性力を参照して下さい。では、式を立てていきます。
このとき、ωは角速度 [rad/s] です
また、水面の傾きはdz/dxと表すこともできます。この式を積分することで、水面高さの式を誘導することができます。
上式に初期条件(x=0、z=h0)を当てはめることで、積分定数および水面高さが求まります。
では、例題を1問を解いてみましょう。
例題:直径20cmの円筒容器内の水を毎分30回転させると、端の水面は中心の水面より何cm高くなるか。
1秒間の回転数と角速度の関係は次式で表わされます。
角速度が求まりましたので、中心の水面から端の水面までの高さは次のように計算できます。
まとめとして、相対的な静水状態は直進運動と回転運動の2つに分けられます。直進運動の傾きは慣性力/重量で、回転運動の傾きは遠心力/重量で求めることができます。