開水路の流れは、定常流と非定常流に分けることができます。定常流は時間によって流量が変化しない流れであり、平常時の河川や水路などが当てはまります。一方、非定常流は時間によって流量(流積や流速)が変化する流れであり、洪水時の河川や感潮域(潮の満ち引きによって水深が変わる領域)などが当てはまります。さらに、定常流は等流と不等流に分けられます。等流は空間が変化しない流れ、すなわち、流積や流速が常に一定の流れです。一方、不等流は流量は一定なのですが流積と流速が場所によって変化している流れです。
開水路の流れは長波の伝播速度(波速でもよい)でも分類することができます。波の大きさは波長と波高によって決まるのですが、長波は波長が水深の25倍以上大きいときの波をいいます。この長波の波速と流速の比によって開水路の流れが分類されています。式にすると次のようになります。
このとき、Frはフルード数 [単位なし]、cは波速 [m/s] です。
フルード数が1より小さい流れを常流、フルード数が1を超える流れを射流といいます。また、フルード数が1の流れを限界流といいます。常流時の川に大きな石を投げ入れると、石が落ちたところから全方向に水面が広がっていきます。一方、射流のときの川に大きな石を投げ入れても波が立つことはありません。これは川の流速が波速よりも速いからです。この実験は川に行かなくても家ですることが可能です。台所の蛇口を勢い良くひねってみて下さい。すると下の写真のようになります。
流れが2つに分かれているのがはっきりと見えます。このとき、内側が射流で外側が常流です。自分で指をつけて水面の変化を確かめてみて下さい。ちなみに、射流から常流に移っている部分の水深が少し大きくなっています。この現象を跳水といいます。詳しい内容については7.4 跳水を参照して下さい。
管水路の流れの分類は粒子の動きに注目しています。粒子ではわかりづらいと思うので、管にインクを垂れ流していると想像して下さい。すると、次のような感じになります。
流速が遅いときインクは真っ直ぐに流れ続けます。一方で、流速が速くなるとインクは途中で乱れてしまいます。ゆっくり流れているときは、粘性力によって粒子は自由に動くことは出来ません。そのために、均一な状態で流れていきます。しかし、速度が上昇してくると粘性力よりも慣性力のほうが強くなってきます。その結果、粒子が自由に動き回ってしまい、インクが乱れてきます。粒子が層になる流れを層流と呼び、粒子が乱れた流れを乱流と呼びます。また、次式によって流れを調べることができます。
このとき、Reはレイノルズ数 [単位なし]、Dは管径 [m] です。
レイノルズ数の値が2,000より小さければ層流、2,000〜4000は過渡状態、4000より大きければ乱流となります。そのため、平均流速が大きく、動粘性係数が小さければより乱流になりやすくなります。また、管径が大きくなればなるほど壁からの距離が離れてしまい、粘性力は小さくなります。その結果、乱流になりやすくなります。開水路でレイノルズ数を用いたい場合は、管径の代わりに径深を使用します。頭の片隅にでも入れておいて下さい。
まとめとして、開水路は定常流と非定常流に分けることでき、定常流は等流と不等流に分類することができます。また、開水路の流れを分類する別の方法としてフルード数、管水路を分類する方法としてレイノルズ数があります。