①堆積岩
堆積岩は風化→侵食→運搬→堆積→固結した岩石をいい、動植物の化石を含んでいることが多々あります。かつては火成岩の対として水成岩と呼ばれていました。また、陸地に露出している岩石の75%は堆積岩といわれています。堆積岩は岩石の構成粒子の大きさによって分類することができ、大きい方から礫岩・砂岩・泥岩となります。
礫が角張っている場合を角礫岩といい、堆積環境が差別化されています。また、礫岩と砂岩は透水性、泥岩は不透水性となります。ちなみに、泥岩のうち特に層状を持つものを頁岩と呼んでいます。
火山灰が堆積して形成された堆積岩を凝灰岩といいます。成分は火山由来ですが、生成条件から堆積岩に分類されます。凝灰岩は白色、灰色、暗緑色、暗青色、赤色と様々な色があり、含有された鉱物によって決定します。また、凝灰岩は他の岩石に比べて軟弱であり、充分に固結していない凝灰岩層は地下水の通り道になります。そのため、地すべりのすべり面になりやすいのも特徴です。
一方、有機物起源の堆積岩としては石灰岩とチャートがあります。石灰岩はサンゴや貝類などの殻に含まれる炭酸カルシウム(CaCO3)が堆積した岩石であり、表面が少しざらついているのが特徴です。石灰岩は主に低緯度の高温地域において盛んに形成されます。石灰岩層が挟まっていると、その層だけが他の岩石層より速く侵食されます。そのため、石灰岩層より上層がまとめて崩れるという現象が起きるようになる。
また、石灰岩に似た堆積岩として苦灰岩があります。苦灰岩は炭酸カルシウムと海水中のマグネシウムが反応したドロマイト(CaMg (CO3)2)が堆積した岩石であり、苦はマグネシウムと灰はカルシウムを表しています。
チャートは放散虫や珪藻などの殻に含まれる二酸化ケイ素または石英(SiO2)が堆積した岩石であり、表面が滑らかなのが特徴です。下図のチャートは酸化鉄が含まれているために赤色ですが、硫化鉄や炭素化合物が含まれると灰色や黒色、鉱物が含まれないと白色になります。これらはいずれも海で形成された堆積岩の一種です。
②火成岩
火成岩は地球内部のマグマが上昇→冷却→固結した岩石をいい、一般的に堆積岩や変成岩よりも硬くて密な場合が多いです。また、地下深部で固結したものを深成岩、地上に噴出し固結したものを火山岩といい、下表のように分類されます。ちなみに、火成岩の中には化石は含まれません。
花崗岩と安山岩は石材としてよく利用されます。花崗岩はナトリウムとカリウムの多い正長石、石英(SiO2)、雲母を主成分とした酸性の深成岩です。大きな圧力に耐えることができ、耐久性・耐摩耗性に優れているのが特徴です。しかし、耐火性はあまり良くなく、酸化すると酸化鉄による錆が発生します。耐火性にすぐれない理由としては加熱すると石英が急激に膨張し、ボロボロに砕けてしまうからです。ちなみに、花崗岩の別名を御影石といいます。中国地方から切り出した花崗岩を兵庫県の御影港から積みだしたのが由来とされています。
一方、安山岩はナトリウムとカルシウムの多い斜長石、角閃石を主成分とした中性の火山岩です。安山岩は花崗岩よりも風化されにくく、耐熱性に優れているのが特徴です。岩肌は花崗岩の方が綺麗ですが、大量に採取できるため安価で購入することができます。日本の大体は安山岩で形成されているのですが、これは成層火山が多いことが起因しています。成層火山については6.1 火山の形態を参照してください。
ちなみに、海底に露出している岩石で一番多いのは玄武岩です。また、地殻を加えるとかんらん岩が最も多くなります。
③変成岩
堆積岩や火成岩が熱作用や圧力作用により変質した岩石を変成岩といいます。熱作用により変質した岩は熱変成岩または接触変成岩と呼ばれ、有名なものとしてはホルンフェルス(元は泥岩)、珪岩(元は砂岩)、大理石(元は石灰岩)などが挙げられます。また、圧力作用により変質した岩は広域変成岩と呼ばれ、地殻運動によって高温高圧下にさらされることで形成されます。有名なものとしては片麻岩、結晶片岩、千枚岩などが挙げられます。
岩石は下図のようにサイクルしており、マグマから火成岩が形成される作用を火成作用、火成岩が風化・侵食し堆積する作用を続成作用、火成岩や堆積岩が再結晶化・塑性化する作用を変成作用といいます。変成作用により形成された変成岩は深さ30 [km] 以上に埋没すると、溶融し、再びマグマとなります。
まとめとして、岩石は堆積岩、火成岩、変成岩に大別することができます。堆積岩は風化→侵食→運搬→堆積→固結した岩石をいい、礫岩、砂岩、泥岩、凝灰岩、石灰岩、苦灰岩、チャートなどが挙げられます。火成岩は地球内部のマグマが上昇→冷却→固結した岩石をいい、花崗岩、安山岩などが挙げられます。変成岩は堆積岩や火成岩が熱作用や圧力作用により変質した岩石をいい、ホルンフェルス(元は泥岩)、珪岩(元は砂岩)、大理石(元は石灰岩)などが挙げられます。