日本の火山地帯は下図のように分布しており、それらのほとんどが更新世ないし完新世に火山が活動していたところです。第三紀以前も火山活動はありましたが、それらの火山は侵食作用により山体が崩壊し、火山として特徴のある形はありません。従って、火山岩や凝灰岩などの存在から火山活動を把握する必要があります。
第四紀の火山発生の仕組みは下図のように、太平洋プレートが日本列島の下に沈み込み、深度100〜150 [km] のところでマントルが摩擦により溶融し、マグマを発生させ、このマグマが上昇し火山となっています。そのため、火山はプレートに沿って分布しています。また、上図を見れば分かるように、火山は小笠原諸島、伊豆半島、東北日本に列状または帯状に配列されており、これを火山フロントまたは火山前線と呼んでいます。西南日本ではフィリピン海プレートが沈み込んでいますが、深度は100 [km] 程度であり、マグマの活動はやや不活発となっています。
火山の代表的な形態には成層火山(コニーデ)、鐘状火山(トロイデ)、楯状火山(アスピーテ)などがあります。
①成層火山(コニーデ)
成層火山は日本で一番多く、基本的に中央に火口があり、噴火による溶岩流と火山礫・火山灰・軽石の互層によって形成されます。完新世に活動した火山は同心円状の等高線、円錐状の形、広い裾野を持っているのが特徴であり、一目で火山と認識できます。一方、更新世に活動した火山は侵食作用や爆裂によって山体の上部が無くなっているため、山頂がいくつかの峰に分かれていることが多いです。更新世の火山は緩傾斜の裾野や扇状地から比較的容易に認識できます。
これら更新世や完新世に作られた火山地帯は硬い火山岩と軟らかい火山礫・火山灰・軽石の互層となっているため、各層の連続性は良くなく、山腹斜面はかなり不安定になっています。そのため、豪雨や地震が起きると斜面崩壊を生じやすいです。
溶岩の中心部は徐冷されるため、完全に結晶した堅硬な火山岩となり、節理(溶岩が冷却するときの圧縮により発生する規則的な割れ目であり、柱状節理や板状節理などがある)が発達しています。しかし、溶岩の上部と下部は急冷による固結と流動が繰り返し起こったため、硬い火山岩の角礫と空隙の多いガサガサした部分が混在しています。
火山岩層の上下部や火山礫層は透水層となり、火山灰層は難透水層となります。成層火山全体で見ると、透水性は他の地質よりはるかに大きいため、地下水は深部に貯留されていきます。一方、山麓や裾野は浅いところに地下水を貯留するため、被圧地下水や湧水となります。富士山は多量の地下水を貯留していることで有名であり、裾野から一日500万 [m3/day] ほどの湧水を出しているといわれています。
ちなみに、成層火山に巨大噴火が起きると山頂は吹き飛ばされ、大きなくぼ地ができます。このくぼ地の直径が2 [km] 未満ものを火口、2 [km] 以上のものをカルデラと呼んでいます。カルデラ周辺には多量の火山灰、火山礫、軽石、凝灰岩が堆積し、特殊な地形を呈します。また、カルデラ周りの壁は外輪山と呼ばれ、カルデラは大きく3種類に分類されます。
爆発カルデラ:巨大噴火により直接形成されたカルデラ。
陥没カルデラ:噴火で地下にあったマグマが全て噴出したことで山体内部に空洞ができ、岩盤が崩れ落ちて形成されたカルデラ。日本のほとんどが陥没カルデラ。
侵食カルデラ:侵食で火口が大きく広がったカルデラ。
②鐘状火山(トロイデ)
鐘状火山は火山灰などの火口噴出物を伴わない火山であり、流紋岩などの淡色(白色)で粘性の高い溶岩を噴出します。粘性が高いために溶岩が山腹まで流れず、急勾配な斜面を形成するのが特徴です。
③楯状火山(アスピーデ)
楯状火山は玄武岩などの濃色(黒色)で粘性の低い溶岩を噴出します。粘性が低いために溶岩がずっと流れ、緩勾配な斜面を形成するのが特徴です。日本には明確に分類される楯状火山はありません。
まとめとして、火山の代表的な形態には成層火山、鐘状火山、楯状火山があり、日本のほとんどの火山は成層火山に分類されます。