研究室選びで重要なのは、やはり興味がある研究室を実際に訪問して、その研究室でやっていることの内容や雰囲気を調べることです。ほとんどの学生はまずホームページから情報を得ていると思いますが、研究室に入った後に、最初にイメージしていたものと違っていたなんてことはよくあります。
ですので、事前調査は可能な限りやっておくことをお勧めします。また訪問した時に特に重要なのは、先生と話すだけでなく在籍している学生とも話すことです。それによって、先生と話しただけではわからないその研究室の実際の雰囲気やメリットとデメリットなどの本当に知りたい重要な情報を得ることができます。なので本研究室に見学に来た時は、ぜひ学生ともじっくり話をしていってください。
今後社会で求められる人材とはどのようなものでしょうか?これまでを振り返ってみると、戦後からバブル経済がはじけるまでは、与えられた課題を短時間で正確にこなせる能力が重視されてきました。その後は課題を発見し、その解決策を見いだす能力が求められるようになります。そして今後は、存在する大小様々な課題のうち最も重要なもの(トップイシュー)を見い出す能力が求められると考えられています。
研究についても同じことが言えます。地球科学の分野でも小さなものから中心をなす重要課題まで、様々なものがあります。小さな課題を選んでも課題解決スキルを磨くことはできます。しかし、小さな課題を解決してもブレークスルーなどの大きな変化は望めませんし、ほとんど注目されることもありません。これはビジネスでも同じです。
本研究室では、何が最も重要な問いか?それは本当にやるべき課題か?という所から出発することで、トップイシューを見いだす力を鍛えます。これは、博士課程に進学するにしても、就職をするにしても、あなたの強力な武器になると思います。
北海道大学大学院 環境科学院 地球圏専攻 大気海洋化学・環境変遷学コース(HPはこちら)を担当しています。
大学院生の研究テーマは学生と相談して決めていくことになります。
海洋堆積物からは様々な時間スケール(数十年〜数十万年スケール)の気候変動の研究ができます。
海洋堆積物コアは全球的な気候変動が記録されるので、グローバルな気候変動のメカニズムの解明に挑戦してみたい学生におすすめです。 また海洋観測に興味を持っている学生にもおすすめです。
南大洋は長い時間スケールで全球気候変動を駆動していると考えられており、スケール感の大き差が魅力です。一方で北極圏は突然かつ急激な気候変動の発信源と考えられています。こうした人間の一生よりも短い時間スケールで一気に起こる劇的な気候変動の研究をしたい人には、北半球高緯度の研究がオススメです。
湖沼堆積物からは主に十年〜数万年スケールの気候変動の研究ができます。
湖沼堆積物は陸域のローカルな気候変動を反映しているので、地域の気候変遷に興味を持っている学生におすすめです。また陸域のフィールドワークに興味がある学生にもおすすめです山岳地帯での湖や湿原のフィールドワークはまさに冒険そのものです。
また、近年、気候変動と文明の盛衰の関係を解き明かそうとする研究が注目を集めています。日本や世界各地の文明/文化の盛衰と気候変動との関係を研究したい方にとっても湖沼堆積物の研究はオススメです。
アイスコアからは主に十年〜数万年スケールの気候変動の研究ができます。
アイスコア研究は低温科学研究所の看板研究の一つです。アイスコからは過去の詳細な大気環境の情報が得られるのが最大の特徴です。例えばエアロゾルは地球の気候に影響を及ぼす重要な因子の一つですが、アイスコアからは過去の詳細なエアロゾルの変動を復元することが可能ですので、エアロゾルが地球の気候システムに果たす役割の解明に挑戦したい学生にオススメです。
低温研には氷河・氷床観測のエキスパートの研究者がおりますので、グリーンランドや世界各地の山岳氷河の観測に同行できるチャンスがあります。
環オホーツク観測センターの西岡先生(大気海洋化学・環境変遷学コース)や的場先生(雪氷・寒冷圏科学コース)のグループと一緒に月に1,2回程度行うセミナーです。
環オホーツク観測センターのメンバー全員が参加するセミナーです。週1で開催しています。
安宅和人著:「シン・ニホン」より命名された、新しい単独セミナー(2020年6月~)
Earth's Climate: Past and Future (William F. Ruddiman 著, 2013)
現時点で最も優れた気候変動学の教科書。気候変動の研究を志す人は必読の書。
Ocean Biogeochemical Cycle
地球の 気候を大きく支配する海洋の生物地球化学サイクルの教科書。
海洋学(ポール・R・ピネ 著, 2010)
日本語訳です。
気候変動-多角的視点から(W.J.バローズ 著, 2003)
日本語訳です。気候変動の教科書。
チェンジング・ブルー(大河内直彦 著, 2008)
気候変動学に関する一般書の決定版その1。
気候変動を理学する(多田隆治 著, 2013)
気候変動学に関する一般書の決定版その2。
気候変動はなぜ起こるのか — グレート・オーシャン・コンベヤーの発見 —(ウォーレス・ブロッカー 著, 2013)
日本語訳です。海洋循環の重要性を解説した本です。
アイスコア — 地球環境のタイムカプセル —(藤井 理行,本山 秀明 [編], 2011)
アイスコアについての入門書。
地球システムを科学する(伊勢武史 著, 2013)
地球システム思考の重要さを学べる本です。
地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか: 太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来(宮原ひろ子, 2014)
太陽活動が気候に与える影響を解説した良書です。
謎解き・海洋と大気の物理―地球規模でおきる「流れ」のしくみ(保坂直紀, 2003)
図解・気象学入門―原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図(古川 武彦, 大木 勇人 著, 2011)
地球温暖化との闘い(James Hansen 著, 2012)
日本語訳です。地球温暖化に対する警鐘の本。古気候データの重要性が語られています。
地球温暖化の予測は「正しい」か?(江守正多, 2008)
気候モデルの一般書。気候モデルのイメージを掴むのに最適の書。
地球温暖化はどれくらい「怖い」か? ~温暖化リスクの全体像を探る(江守正多, 2012)
異常気象と人類の選択(江守正多, 2013)
ウェザー・オブ・ザ・フューチャー―気候変動は世界をどう変えるか(ハイディ カレン 著, 2011)
日本語訳です。
10万年の未来地球史(カート・ステージャ, 著)
日本語訳です。長い時間スケールでみた地球温暖化の影響を解説した本。
古代文明と気候大変動―人類の運命を変えた二万年史(ブライアン フェイガン 著, 2008)
気候文明史(田家康 著, 2010)
気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年(田家康 著, 2013)