日本産淡水カジカ類とは
多くの人がイメージする「かじか」は,ヤマメがいるような渓流の川底でひっそりしている地味な魚だと思う.しかし日本に生息する8種の淡水カジカ類のうち6種は,仔魚が海もしくは湖まで降りて,まだ川に戻ってくる「通し回遊性の魚種」である.このように地味な見た目に反し,ダイナミックな回遊生態を持つ “意外性” が淡水カジカ類の魅力のひとつだと感じている.
日本産淡水カジカ類の生活史
淡水魚のうち一生を淡水で過ごすものを純淡水魚と呼び,一生のうちに海と川を行き来するものを「通し回遊魚」という.通し回遊魚はその回遊パターンから遡河回遊(サケ・マス類など)・両側回遊(アユ・ハゼ類など)・降河回遊(ウナギなど)の3つに大別される.
日本産淡水カジカ類の生活史は河川型(純淡水魚),降河回遊型,両側回遊型および湖沼を回遊する「湖沼型」の4つのパターンに分けられる.
日本産淡水カジカ類の分布
日本産淡水カジカ類は,北は北海道,南は九州まで広く分布する.地域によって見られるカジカの種類・種数が異なり,地域ごとの変化が楽しめる.淡水カジカ類の魅力に惹かれた方は,ぜひ全8種の制覇を目指してほしい.
種間の僅かな違いを楽しむのが淡水カジカ類を愛でるコツ(かも).
上 カマキリ,下 ヤマノカミ