エスノメソドロジー・会話分析に依拠して、人びとの実践の論理を解明することを目指しています。特に、道具や身体といったものが深く結びついているような活動に着目して研究しています。目下のところ取り組んでいるのは以下のテーマです。
・「大学院生の労働・余暇・睡眠をめぐる時間の社会学」:休みの日なのにうまく休めない、休み方が分からないという感覚を抱いたことがある人は多いと思います。この研究では、大学院生が日頃のアルバイトの時間、研究活動のための時間、趣味の時間などのスケジューリングをどのようにおこなっているのか、言い換えると、日常生活の生活リズムはどのように作られているのか、そこから、「休む」とはどのようなことなのか、「時間に追われる」「休めない」という感覚がどのようにして・どのような背景で生じるのかを明らかにします。
・「珠算教示の相互行為分析」:そろばん教室における教師生徒間の相互行為に着目して、珠算という身体技法がいかに教示され、学習されるのかを、ビデオデータをもとに研究しています。修士論文のテーマでした。
・「ボードゲームのエスノメソドロジー・会話分析」:ボードゲームを遊んでいる最中、プレイの一手一手と、プレイヤーの発話とはどのように組み合わせられているのか。「駆け引き」はいかに行なわれるのか。「プレイの先を読む」とはいかなる推論なのか。プレイの楽しさがいかに組織され、経験されるのか。このような観点から研究を進めています。
・「市民プールにおける共在の技法」:市民プールにおいては、見知らぬ人同士が、互いのふるまいを協調させながら、同じコース内を泳いでいます。追い抜いたり、追い抜かせたり、順番を譲ったり。この「共泳」はいかに達成されるのでしょうか。泳ぐことそれ自体を記述します。市民スポーツの実践におけるマナーの具体的諸相を明らかにすることを試みます。
・その他、暗黙知論、音楽練習のエスノメソドロジー、社会学的時間論などのテーマに取り組んでいます。
翻訳権の 10 年留保(日本国の旧著作権法第 7 条および現行著作権法附則第 8 条)にもとづいて、1970年以前の海外の論文を翻訳しています。こちらは電子公開しています。そのほか、近年の論文にかんしては、著作権の関係で一般公開はしていませんが、私的に翻訳しています(勉強会で読んだりするために)。
主に、社会学の論文で、特にエスノメソドロジーの古典論文に取り組みたいと思っています。翻訳のお仕事がほしいです(懇願)
・Besbris, M., & Khan, S. (2017). "Less Theory. More Description," Sociological Theory, 35(2), 147–153. https://doi.org/10.1177/0735275117709776
・Button, G. (1991). “Introduction: Ethnomethodology and the Foundational Respecification of the Human Sciences.” In Ethnomethodology and the Human Sciences.(G. Button ed.). Cambridge University Press. 1-9.
・Garfinkel, H. (1956). "Conditions of Successful Degradation Ceremonies," American Journal of Sociology, 61(5), 420–424. http://www.jstor.org/stable/2773484
・Garfinkel, H & H. Sacks. (1970), "On formal structures of practical action," In Theoretical Sociology: Perspectives and Developments (John C. McKinney, Edward A. Tiryakian, eds.), New York, Appleton-Century-Crofts, pp. 338–366.
・Garfinkel,H. & D. L. Wieder, (1992), "Two incommensurable, asymmetrically alternate technologies of social analysis", In Text in Context: Contributions to Ethnomethodology (Graham Watson, Robert M. Seiler, eds.), Newbury Park, Sage Publications, pp. 175–206.
・Hinderliter, A. C. (2009). "Methodological issues for studying asexuality," Archives of Sexual Behavior, 38(5), 619–621. https://doi.org/10.1007/s10508-009-9502-x
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・Livingston, E. (1987). Making Sense of Ethnomethodology, London, Routledge & Kegan Paul.
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