講演者名:齋藤 明(日本大学文理学部)
講演タイトル:なぜ 2 部グラフは特別なのだろう?
アブストラクト:グラフ理論では 2 部グラフがよく現れます。2 部グラフとは「全てのサイクルの長さが 2の倍数であるグラフ」として特徴付けられます。ではなぜこのクラスのグラフばかりがもてはやされるのでしょうか?「全てのサイクルの長さが 3 の倍数であるグラフ」、あるいはもっと一般に、2 以上の整数 aと0 ≤b≤a−1 なる整数 bを定めて「全てのサイクルの長さが aを法として bと合同であるグラフ」を考えてもよいのではないでしょうか? 実はちょっと考えると、「全てのサイクルの長さが aを法として bと合同であるグラフ」のクラスは a= 2、b= 0 のときのみ豊富なクラスとなり、それ以外の値の組では、大きな理論に育たない貧弱なクラスになることが分かります。今回は証明の概要まで含めてこうした話をしようと思います。
講演者名:長綱 啓典(日本大学文理学部)
講演タイトル:政治家、歴史家、図書館司書―ライプニッツの多様な業績―
アブストラクト:G・W・ライプニッツ(1646-1716)は一般には「微積分の数学者」とか「モナドの哲学者」として知られていると思います。しかし、これらの肩書が示しているのはライプニッツの多様な業績のほんの一部にすぎません。全108巻からなる予定の全集の刊行が1920年以来進められていますが、その完結は22世紀半ばになると予想されています。この全集のなかには、数学や哲学のみならず、技術や政治その他の諸領域に関するライプニッツの膨大な提言やメモが含まれています。今回の講演では、ライプニッツのそうした一般にはあまりよく知られていない諸業績のうち、ライプニッツの政治家としての側面、歴史家としての側面、そして図書館司書としての側面を紹介する予定です。これらの側面を参考にしながら、ライプニッツが求めた「合理性」とはどのようなものだったのか、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
講演者名:前田 恭佑(日本大学大学院総合基礎科学研究科)
講演タイトル:2次元の有理三重点について
アブストラクト:これから示したいことに"可換環Aが2次元の有理三重点の時に標準トレースイデアルはUlrichイデアルである"がある。2次元有理三重点には双対グラフというものが分類されていて、そのグラフからサイクルといものが計算でき、標準トレースイデアルを求められる。そして、Ulrichイデアルはサイクルと対応している良い性質のイデアルである。本講演では、上記の言葉達の定義を紹介し、具体例でサイクルの計算の仕方や標準トレースイデアルを求める。
講演者名:今泉 千尋(日本大学大学院総合基礎科学研究科)
講演タイトル:単体的複体の環論的な性質
アブストラクト:前半は単体的複体と単項式イデアルについて説明し、後半は、これから学んでいく予定のCohen–Macaulay性とシェラビリティについて話します。
講演者名:伊城 慎之介(東京工業大学理学院数学系数学コース)
講演タイトル:可換環のスペクトラムと局所コホモロジー
アブストラクト: 可換環のスペクトラムとは可換環の素イデアル全体の集合に対してある種の開集合系から定まる位相空間であり、局所コホモロジーはこの空間の位相的な性質や元の可換環の特異性を調べるための基本的な道具である。本講演では可換環のスペクトラムや局所コホモロジーの定義を確認し、局所コホモロジーに関連するいくつかの結果について紹介する。
講演者名:浜 天星(日本大学大学院総合基礎科学研究科)
講演タイトル:自由群とグラフへの群作用
アブストラクト: 与えられた群が自由群である事の、グラフへの群作用を用いた必要十分条件を紹介する。それに伴い、必要な諸定義、諸定理の紹介も行う。
講演者名:成松 明廣(福知山公立大)
講演タイトル:Path上の相関付ランダムウォークの固有値解析
アブストラクト:
本講演では,Path上の相関付ランダムウォーク(Correlated Random Walk:CRRW)の時間発展作用素の固有値解析を取り扱う.CRRWの時間発展作用素は推移確率行列であり,量子ウォークのようなユニタリ行列の場合と異なり一般には固有ベクトル同士が直交せず,先行研究で量子ウォークについて行われたものと異なる議論が必要となった.これに加え,講演ではコイン行列の固有値が全ての頂点で同じ場合について,時間発展作用素の固有値の分布について報告する.
講演者名:大野 晋司(日本大学文理学部)
講演タイトル:対称行列と直交対角化と実旗多様体
アブストラクト:対称行列は直交対角化可能であることがよく知られている。逆に、同じ行列に直交対角化されるような対称行列の集まりは実射影空間を始めとした旗多様体と呼ばれる図形をなす。このようにして得られる旗多様体(のユークリッド空間への埋め込み)の幾何学を説明したい。時間が許せば、背景にリーマン対称空間の線形イソトロピー表現と制限ルート系があることを説明したい。
講演者名:三村 与士文(日本大学文理学部)
講演タイトル:勾配流に対する時間離散化の方法
アブストラクト: 勾配流に対して、時間軸を分割して各時間の分点における微分方程式の解を変分的に定義する方法を紹介する。