令和元年度房総半島台風(台風第15号)活動報告

本活動は、赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」(ボラサポ)の助成を受けて実施しております。

 TVや新聞などではあまり報道されていない、高齢の方々や要介護の方々の現状を現地の支援者の方々と共に訪問し、状況を災害対策本部他関係部署に繋げる活動を行いました。

1報 DNSO活動報告書 2019年915(日)~16日月)

活動メンバー:小原真理子・山崎達枝・斎藤麻子・芹口順子

1.活動の概要

  • 9月14日 山崎、芹口、斉藤麻子、山崎、田島、斉藤正子が応募、事務局に報告

  • 9月15日 JR赤羽駅東口集合小原真理子・山崎達子・斎藤麻子・芹口順子 レンタカーにて一路木更津へ(斉藤麻子さんのご主人が木更津まで応援運転)

  • 11:15 木更津より南房総へ
         DNSOメンバー泉水美幸NSより現地情報TELあり
         外房、白浜こども園への支援なく停電持続→トイレ環境不良等の情報
         急遽目的地変更

  • 11:40 冨浦周辺、車中より倒木・屋根のブルーシート・家屋の被害徐々に確認

  • 12:10 みちの駅 冨浦へ到着
         本日より営業再開 周辺店舗・ビニールハウス被害甚大

  • 13:30 南房総市白浜町社会福祉法人白浜こども園
    幼稚園保育園連携型認定こども園 子どもの森到着
    隣接寺院による運営 理事長奥村敏夫氏から情報収集

    • 築3年の新しい園舎は、特に被害なし

    • 昨日電気・本日水道復旧により9/17より通常開園予定

    • 災害時は、42名の乳幼児(生後6か月~就学前)の半数登園に対応

    • 夕方の学童保育児童は、学校の休校に伴い利用なし

    • こどもたちの避難所の役割機能運営→冷蔵庫は発電機使用・ガス使用可能
      おにぎり、カレー等提供可能だった(こどもたちの美味しいとの言葉にこどもたちなりの厳しい生活環境の理解を感じた)

    • 全ての情報が遮断され、3日目以降に情報が入り始めた
        携帯不通・防災無線も停電により使用不可・行政からの災害時のPHSも使用不可・地域の防災備蓄倉庫も全く機能せず

    • トイレ水洗:井戸水(地下水)にて対応
        浄化槽:周期的に発電機使用し撹拌

    • こどもたちに、体調不良者は出ず1週間何とか経過
        室内の風通しを良くするために、うちわで仰ぐことしかできなかったが、数日後気温がやや落ち着き何とか凌げた

    • 縦割り行政により倒木による電線等の被害対応が遅く、やっと今、倒木除去され道路開通・電気の復旧に繋がった

  • 14:00 近くの白浜町コミュニセンター紹介され出発

  • 14:03 南房総市白浜コミュニティセンター着
         事務室 南房総市職員に情報収集

    • 支援物資の支給←発災当初より、行政より先に近隣地域もしくは県北の被害が少ない市からの援助、白浜に縁があるもしくはお世話になった有志からの個々の支援をいただいた→災害救助法の前後の違いは、あまり感じない

    • 電気・水道の復旧率90%以上 ロープーウェイのみ中止

    • 南房総市職員常駐・市内ボランティアのみ受け付け

    • 自衛隊による入浴サービス・給水車による水の支給

    • ボランティアによる食事の提供

    • 最後の2人の高齢避難者も帰宅し、避難者0

    • 発災当初3日位は、保健師確認できたがそれ以降は見ていない
      →地域の独居高齢者等の把握確認は不明

  • 14:20 白浜海岸線車中より視察

  •      内陸部に比べ、屋根や壁の家屋被害甚大14:55 車中より館山市コミュニティセンター・保健センター確認
         市役所の前に立ち寄り
         2F保健課 主任保健師鈴木氏より情報収集

    • 市役所4号館にて状況把握中→場所の案内説明受けることができた

    • ライフラインの復旧に伴い、状況改善傾向

    • 大規模災害ではないため、パニックにならず理性を保つことができた

    • 週末の雨天に対し、1Fへ避難所開設検討中

    • 玄関前にあきる野市商工会 フードトラック協会3日前より食事提供のボランティア活動中

  • 15:05 案内受けた館山市役所に向け出発

  • 15:20 館山市役所4号館着
         3名の市役所職員から呼び止められ、目的、所属等を聞かれた。
         1F社協担当池田氏へDNSOについて説明

    • 社協の現状について説明受ける

    • 高齢者・要介護者についての状況把握は、社協ではできていない
      食事等の支給作業等で手一杯

    • 申請されるボランティア対応で手一杯

    • 情報不足のため対応困難なところもあり

    • 職員は休めない状況にあるため、なるべく交替で休みを取るようにしている

    • 避難所については3か所・各20~30人程度:開設等については災害対策本部で対応

    • 日本赤十字について医療ボランティアについての詳細は不明

    • 社協は、一般ボランティアについて対応

    • ニーズについて:屋根の被害が多いため、ブルーシートをかける作業依頼が多い→作業の危険性が高いため、専門のボランティア登録者へ直接依頼

  • 2F健康福祉部健康課 主幹石井弘恵氏へ情報収集

    • 現在、避難所2か所 福祉避難所は未開設であるが、適応者あり

    • 電気復旧率(発電機含)90%

    • 乳幼児・妊婦については、すべての状況確認済

    • 高齢者・サービス利用者については、保健師・ケアマネにて対応中も完全ではない

    • 昨日(9/14)より医療ボランティア団体(日本赤十字社救護班・HuMA)と職員の協働により、ローラー作戦にて個別訪問開始

    • 天候不良により、1か所避難所追加開設予定(利用者増加の可能性あり)

    • 週明けより、千葉県の保健師5人配属される予定 ついては巡回方法も検討中

  • 【参加決定】
    1)明日(9/16)より齋藤麻子さんをリーダーに参加開始
    ・被災地のローラー作戦協働に参入
    今後、は以下が課題と考える

    • 中・長期的対応へ

    • 要配慮者のケアサポート

    • 独居高齢者の安否確認

    • 福祉避難所については、早期に対応困難と考える→指定避難所の一部(一画)に開設は可能

    • ボランティア(サポート)必要時は、レンタカーにて参加可能

  • 16:30 齋藤麻子さん(館山市泊)へ連絡先等確認終了後駅へ向けて出発

  • 17:00  東京行高速バス3名帰京(小原、山崎、芹口)


給水車


南房総地域の被災した家屋

【振り返り】

 現地に入ることで、現場の声が聴けた。現状把握により、我々がこれまで支援してきた分野である避難所設営・運営等の助言も可能となり、実働可能な内容についても直接話しを伝えることができた。短時間に情報を獲得し、足を運んだ先の点を結ぶことで、支援活動に繋げることができることを実感した。明日の聞き取り調査で具体的な支援活動が継続となるか、今後検討。

2報 DNSO活動報告書 2019年916日(

齋藤麻子・齋藤正子・田島淳子・山崎由美子

1.活動の概要

活動日時:2019年9月16日(月)8:30~16:00

活動場所:千葉県館山市富崎地区(:相浜地区、布良地区の総称)

支援目的:全戸調査 主に健康面

富崎地区の特性:海岸沿いに集落が集中している。木造家屋が多く海岸沿いから高台まで、家が不規則に立ち並び、車の通れない道が多い。家屋は海風による老朽化が目立つ。高齢者の多い地区(高齢化率約60%)であるが、地縁も深いのか共助が成立している。空き家や別荘として使用されている家も点在している。 活動日の状況と内容:台風15号の被災後著しい気温の上昇が続いていたが、避難勧告レベル4に引き上げられる大雨となった。集落に入ると屋根や窓ガラスの損壊目立ち、ブルーシートを未だ掛け終えていない家や、かけてあっても大雨で捲れあがっているのが目立った。水道、ガスは回復しているものの、電線の被害が大きく停電が続いていて住民の疲労が目立った。雨漏りによる家屋の浸水、感染、長期高温による熱中症、食事の摂取状況、生活不活発病の可能性などふまえ調査を行った。自動車のガラスなどの損壊があった。停電が現在も続いている地域だった。固定電話が不通であり、携帯電話にて連絡をしていた。小学校で携帯電話の充電が行われていた。

2.活動の実際

時間

活動内容

備考

8:30

館山市役所4号館

・館山市役所4号館

8:50


・大雨警報 警戒レベル4 避難勧告発令

 避難所の増減なし

9:00

館山市役所 救護本部 ミィーテング

○災害対策本部 救護本部ミィーテングに参加

参加者:市役所、千葉県職員2名、館山市保健師・安房保健師3名、日赤救護班2班(成田・武蔵野)、DNSO4名、HuMA3名

・避難所は3か所。

・活動は、ローラー作戦で、被害の大きい地域の65歳以上の住民の健康相談を行う。

・DNSOは、富崎地区を担当することとなった。

・富崎地区の老人保健施設 明光苑へ電話連絡がつかないので、状況を確認してほしいとの依頼があった。

・地図、健康相談票、不在票、館山市のホームページの印刷物を受け取り、出発準備を行った。

・地域の住民を把握している民生委員の連絡先を頂いた。

・担当地域への移動経路、地域の説明を受ける。

9:30~

館山市役所 出発

・DNSOは、対策本部で経路の安全性を確認し,自動車2台、2人ずつに分かれて出発した。

・雨の状況によっては、ローラー作戦中止の判断も必要と考え、新築である明光苑を最初の目的地とした。

・館山市役所から富崎地区へ移動の際には、道路が一部冠水していた。

10:30~10:50

特別養護老人ホーム「館山明光苑」訪問

・災害対策本部より連絡があり、明光苑とは、電話連絡がついたとのことだった。

○介護支援専門員に被災時からの状況を伺う。

・入居者の問題はなく、スタッフが2人通勤できなかったが、現在、なんとか人手が足りている。医療ニーズは、医師がいるので支援の必要はない。

・市役所から、避難勧告が出ているので、新たな避難者の受け入れ先になるため、準備をしていた。布団、マットレス等の準備がなされていた。ユニットが空いているので、長期避難になった場合には、10人くらいまで受け入れが可能である。

○デイサービス職員に被災時からの状況を伺う。

・利用者全員の安否確認が済んでいた。利用者が嘔吐を繰り返し、救急搬送したいが電話が繋がず困ったが、職員の車で受診したことがあった。

11:00~14:20

(齋藤麻子・齋藤正子)

富崎地区(相浜・布良)

相浜地区および布良地区の一部を訪問

地区内の住民の健康把握

健康相談票記載9人

○小雨となり天気が回復してきたため調査を開始する。

・民生委員さん宅を探したが、不在であったため、玄関先に出ている住民に被害や健康状況の聞きとりを始めた。

・次にその住民より気になる高齢者の情報を聞き、その家を訪問し、巡回を行った。

・炊き出しが公民館で行われていたため、その場所へ行き、集まっている住民の被害や健康状況を伺った。

・公民館にいた区長および班長より、情報を得た。この地域を巡回しており、心配な独居などの高齢者を伺い、その住民の家に訪問した。

・最後に民生委員に合うことができ、気になる高齢者の情報を得た。

・住民から「いつまで停電なのか」「別な地域は、復旧したのにここはまだなのか」と不満を漏らす人がいた。電柱で配電の工事をされている業者を数台見かけたが復旧の目処は知らされていない。「もう限界だ」との言葉が重い。オール電化の家は特に不自由とのことへ、隣近所の方が食事を持っていくなど

・午後からは、雨があがったため、ブルーシート張りをしている支援者や家の片づけをしている人もいた。雨上がりであるため注意を促した。

・自宅で生活されている人や娘さんや親戚の家に行った人もいるとの情報を得た。認知症のある高齢者においては、不自由な生活の中、介護が大変になり施設へ入所されたケースもあるとの情報を得た。

・台風の風にあおられ骨折した人が2人、そのうち1人の湿布が不足しており、公民館のある支援物資で冷えピタを代用していた。災害対策本部に届けてもらうように伝えた。


(田島淳子・山崎由美子)

布良地区および相浜地区の一部を訪問

・独居の高齢者宅へ明光苑に避難するよう呼びかけるが、雨で家の中の物が濡れてしまう、ブルーシートをかけてからでないと避難できないと。ブルーシートの配給を問われ災害本部に問い合わせし答える。

・独居の高齢者男性、夜中から嘔吐下痢7回ほど、熱はない。頭痛がすると話を聴いている途中で嘔吐があった。本部に連絡し医師、保健師につないだ。

・姉妹で隣同士居住 姉はDM(糖尿病)、右下肢のけがで退院したばかり。固定具をつけておりトイレが億劫、夜は転倒したら怖い。妹はHD(人工透析)患者だが、姉の身の回り、家の片づけなどをしている。HD後は疲れているがやるしかないと、かなり疲労が見られる。

道行く人に高齢独居者を教えてもらい訪問。体調不良を訴える人はおらず、食事もできている。独居の高齢者の中には、娘、息子が帰省してきて、避難して不在も多かった。

16:30~

DNSO振り返り

・活動の振り返りを行った。

・住民から情報収集を行い、ターゲットを探して、巡回をしたので効率的だった。

・家から公民館まで歩行できない高齢者が心配である。

・同じ地区を4人で分担して、巡回するのはどうか。

・身分を証明する名札、ビブス、腕章などがあると良かった。

17:00

解散

・振り返り後、解散した。

3.所感

  • 担当地区のすべての家を訪問し安否確認を終えていた民生委員や区長・班長がいた。ローラー作戦を行う上で、ターゲットを早く見つけることができるなど、限られた時間内での活動の効率化を図ることができた。高齢化率60%の地区で支える側となっているその方々は、責任感が強く地域のキーパーソンとなっているが、やはり高齢者であり疲労度も相当高いと推察する。本日の雨と電気の復旧具合にもよるが外部の支援が必要である。

  • 停電が1週間続き、「もう限界だ」と話されていた。頭痛、疲れ、水シャワーが辛い、洗濯が手洗いであることなど日常生活で苦労されている。2日間くらいは、入浴施設を利用して良かった。自衛隊のお風呂があるが行きにくいと話されていた。台風後の気温上昇は、体力を奪い疲労を大きくしていた。熱中症で病院に搬送されて、点滴治療を受けたのが2人(うち民生員さん1人含む)いたという。冷蔵庫も使えず、体を冷やすこともできない状況の過酷さがあった。

  • 調査媒体の大きさが不均等(地図A3、調査用紙B4、配布物A4)で、持ち運びや記入がしにくい。改善を求めつつ、バインダーやファイルを分けるなどの工夫を要する。

  • 地形が入り組んでおり、地図を見てもわかりにくい。同姓が多く高齢である地域住民に見てもらっても的確な答えが得られない。そのため目的の家までたどり着くことが困難であり調査が難航した。屋号や目標物など予め調べておくと役立つかもしれない。

  • 手作りのお結びを配布されていたが、地域ボランティアかご近所の方か不明である。衛生管理面についても情報を得る必要があったと考える。自分で食料を取りに行くことのできない高齢者は、すぐに食べないことも考えられるため併せて確認したい。さらに栄養面について食べられているだけでなく、量や内容、食欲なども調査するべきだったと反省する。

  • 住民の疲労が蓄積していることや、雨に濡れたり、住宅へのカビの発生、汚泥の乾燥による呼吸器感染や、嘔吐、下痢などの消化器症状の可能性がある。自覚症状を訴えなくとも身体に変調をきたしている場合もあるため、バイタル測定に関する機器やスタンダードプリコーションに関するものは持参しておく必要性がある。

  • 午前に避難勧告レベル4まで出ていたが、住民は家が濡れないように家を保護することが優先で、避難行動を進めても行動に移す人はいなかった。避難行動要支援者も多い地域であり、早めの避難が望まれる。土砂崩れがあった場合の被害が心配であり注意喚起をどう行っていくのか課題である。調査する自分たちも避難勧告レベル4のなか慎重に支援活動を行った。2次災害に巻き込まれないためにも速やかに中止の判断ができるようにしたい。



3報 DNSO活動報告書 2019年9月22日(

活動メンバー:齋藤 正子・一柳 由紀子・工藤 晴美・山﨑 由美子

1.活動の概要

活動日時:2019年9月22日(日)8:30~16:00

活動場所:千葉県館山市(塩見・浜田・坂井地区・船形地区)

支援目的:全戸調査 要配慮者(身体障がい独居者)及び独居高齢者の健康調査

調査地区の特性:

海岸近くの塩見、浜田地区は道路も比較的整備されており、移住者のセカンドハウスのような家も点在している。船形地区は漁師町で、古い木造家屋が立ち並び、市内でも被害が最も甚大な布良地区ほどではないが入り組んだ家が建ち並び、高齢者が多い。

活動日の状況:

台風15号の被災後、二週間が経過。日中は汗ばむ日もあるが湿度は下がり、朝晩は涼しく秋の気配が感じられた。連休とあって館山には300人ほどのボランティアが活動に来ていた。 先週の大雨の後、急ピッチでブルーシートが掛けられ、破損した屋根を覆い土嚢で固定されていた。 被災した瓦礫は空き地にまとめられていた。被災前からの空家も多く破損したまま残されている。隣家との距離も近く破損した瓦、トタンが今にも崩れ落ちてきそうな状態のまま放置されていた。

2.活動の実際

9:00

館山市役所4号館 災害対策本部 救護本部ミーティング参加、及び昨日の活動報告を行った。

  • 参加者:館山市健康福祉課、DASO4人、災害リハビリ支援(JRAT)3人、市川市保健所チーム3名、HuMA3人、千葉県保健師1名

  • DNSO :民生委員の方が、地域住民の確認を何度巡回に廻り、疲労の色が見えている。昨日確認出来なかった、塩見、浜田、坂井地区の身体障がいの方+高齢者の3世帯を本日訪問する。高齢独居で(不要な物が散乱し異臭があるがある)の屋根が崩壊しており、雨漏りが酷い家に住んでいる方と同じく、高齢独居の栄養、健康状態が気になる方の自宅へ訪問する予定。

  • 富崎地区に家屋崩壊し雨で濡れ、住めない状況の方がおり、本部連絡し車で送迎してもらい避難所に移動した。コミセンは、ボランティアがおり避難所として現在は使えない状況がある。

  • 避難所で栄養状態を調べたら、タンパク質が7割ほど不足しており、サルコペニアが心配。鯖缶を配布してタンパク質摂取を促してゆく。

  • 気温の温度差などで体調を壊して発熱者。千葉でインフルが出ているため注意。

  • ブルーシートで屋根を覆う作業がほぼ終了しているが、先日の大雨で家屋が雨で濡れしみこんでいる。今後感染の危険もあるため消毒液を配布してほしい。

  • 本日の活動について:連休でボランティア支援が増えたことは喜ばしいが、睡眠不足の状態で来た人、熱中症になり病院搬送となった。また、半そでの状態で瓦礫を抱え、怪我をした人も昨日いたので、ボランティア支援では注意喚起をしてほしい。

  • 保健医療調整会議では、災害が起き2週間が経過し、食事支援ではタンパク質が不足してきており低栄養が懸念される。感染症やサルコペニアの可能性が出てくるため、タンパク質を取るように勧めてほしい。高齢者福祉会議では、高齢者で気になる方がいたという報告があった。HuMA、市川保健師チーム、DNSOは確認をお願いしたいとの報告があった。

  • 救護本部における全体の活動は、避難所の巡回、健康相談、全戸調査の継続(民生員、区長をまわり、特に気になる方)

9:40

館山市役所 出発

DNSOは、全戸調査後の気になる方の訪問し、健康調査を行った。対象は、①前日の塩見、浜田、坂井地区の3人の身体障がい者。②船形地区の民生員と区長さんへ気になる方と昨日、気になる不在者。

10:20

身体障がい者(塩見、浜田、坂井地区の身体障がいの方+高齢者の3世帯)を訪問した。

  • 2世帯は面接し、1世帯は、不在のため不在連絡票を入れた。不在の方の情報を近所の方から、情報を得て、要フォロー者はいなかった。

12:30

  • 災害対策本部より連絡あり「NTTの工事が終了したが、電話が繋がらない所もある。固定電話が繋がらない所がないか、情報収集の指示あり」→このエリアには、固定電話が繋がらない方は、いなかった。

13:00

船形地区へ移動した。

  • 民生委員のA氏から情報収集した。高齢独居の方の情報を得て、ひきこもり状態で気になると情報を得て、訪問したが出てこられなかった。しかし、近所の住民から、今朝、歩行していたとの情報を得たため、その旨の報告を行った。

  • 高齢独居の方(不要な物が散乱して異臭)、屋根が倒壊しており雨漏りが酷い家に住んでいる方と栄養、健康状態が気になる方の自宅へ訪問した。この方は、本日は、屋根にブルーシートがかけられており、自ら市役所で次の居所について相談していることがわかり、報告した。栄養、健康状態が気になる方は、腰痛のため歩行困難があり、公共のサービスを利用していないため、要フォローとした。

15:30

館山市役所 救護本部のミーティング 各チームからの報告会

  • タンパク質不足があるため鯖缶を勧めたが、漁師町であり、新鮮な魚を食べているからいらないと拒否がある人もいた。

  • ボランティアの救護では、ボランティアにきた方が睡眠不足のまま来た人がいた。熱中症となる方がおり点滴を行った。画びょうをふんだ、目に木が入る、38度の熱発者がおりインフルエンザ疑いで病院へ送る。体調を整えず参加する人もいるため、受付の所で体調管理確認の必要あり。

  • 本部より:粉塵も増えて感染症も心配であるため、ボランティアにはマスク着用し、呼吸器疾患を予防して欲しい。ボランティアの体調管理として、ボランティア対応、救護、応急処置をお願いしたい。本日のまわりきれなかったエリアの継続の健康調査をお願いしたい。

17:00

DNSO 振り返り

  • 民生委員、区長の名簿は頂くが、土地勘がないため探すのも苦労したが、道で会う人やキーパーソンの人に出会うことが出来、情報を得ることができた。住民が情報を沢山持っていた。

  • ボランティアが来ていない家には、地域の連携により、住民同士助けあって瓦礫撤去を行っている。住民のつながりがとても強いと感じた。

  • 気になる人は、災害によって気になるのではなく、被災前から住民との繋がりの弱い人である。

  • 本人が思う「大丈夫」と、私達が思う「大丈夫」のずれがある。しかしそれを強要は出来ない。また、住民の繋がりがあるからこそ「大丈夫」だと感じた方もいた。

17:25

解散

3.所感

 今回、災害が起きてちょうど2週間目の支援であった。今回は停電が解消され安堵されていたが、次に家屋の 復旧への不安が多く聞かれた。また、徐々に瓦礫撤去、家の中の片付けで疲労がたまりつつあり、身体的ストレス反応へと変化してきている。今後、住民の体調不調を訴えることが多くなってくると思われる。

 民生委員や区長の名簿を頂き、訪問したが、表札や番地の表示がないことや土地勘がないため探すのも苦労した。しかし、道で会う人やキーパーソンの人に出会うことが出来、情報を得て、訪問することができた。住民が情報を持ち、支え合いが素晴らしい地域だった。一方、民生委員や区長が機能していない地域があるとの情報があり、その地域の情報収集やニーズの把握が難しいと思った。また、民生委員や区長が気になる方を訪問したが、その方々に共通することは、地域とのつながりが弱い方だった。平時の関係性がより露呈することから、その関係性を再構築するきっかけづくりが必要であると考えた。

第4報 DNSO活動報告書 2019年9月28日(土)

活動メンバー:芹口順子、立田朋子

1. 活動の概要

活動日時:9月28日(土)9:00〜16:30

活動場所:千葉県館山市船形地区、西岬西地区

支援目的:健康相談

活動日状況:

 天候は晴れ。温度28℃、風はほとんどなし。

 停電は本線仮復旧しているが、変圧器周辺で停電箇所もあり。

 避難所は2ヶ所、計22名。今週末で2名出る予定。

2. 活動の実際

8:03

秋葉原発 「特急さざなみ」乗車

(7:20発JRバス満席にて乗車できず:予約は必要!)

9:00

館山市役所救護本部ミーティング

災害対策本部 救護本部ミーティング

【参加者(参加者数):活動内容】

  • 健康課 保健師(4)

  • 神奈川チーム(3):避難所健康相談

  • 日本ホスピス在宅ケア研究会(1):ボランティア救護対応

  • DNSO(2):船形地区・西岬西地区 健康相談

9:25

館山市役所出発

  1. 西岬西地区健康調査開始(館山市保健師・包括支援センター菜の花 介護支援専門員・立田)

  2. 船形地区健康調査開始(館山市保健師K氏・芹口)
    罹災証明の申請書手続きのための来訪者を対象に健康相談

9:45頃

車窓からブルーシートに覆われた屋根を確認。途中、折れた木々も目立ってきた。

9/15 DNSOの先遣隊で訪れた時、車で富浦の道の駅で昼食を摂った。今回は、車窓から富浦を確認。やはり、ブルーシートが生々しい。

10:08

館山駅到着

徒歩にて館山市役所へ、約10分。途中、ボランティアの方々とすれちがった。館山市役所近くに災害避難所発見!

台風で大風が吹き、電気が消え暗闇が始まったあの日、人々はどれほど怖かっただろうか。


10:10

活動開始:

 り災証明の申請手続きのための来訪者を対象に健康相談。一人ずつ声掛け行い、健康相談コーナー(テーブルセッティング)へ案内→血圧測定を促し、聞き取りを行った。

(館山市役所 健康福祉部健康課 準備された健康相談表へ記入)切れ間なく来訪者続いたため、対応継続


12:10

午前の活動終了

12:30

活動再開

・午前中と同様に健康相談

15:45

災害対策本部 救護本部 デブリーフィング

16:00

DNSOチーム デブリーフィング

16:30

解散

【配布資料】

3. 活動から得た情報・状況

(1)健康相談 西岬西地区

 9:00~罹災証明書申請手続き受付開始。開始直後に40名弱来訪、受付後、帰宅。

 健康相談 計 21名(立田担当12名)

【相談事例】

A氏 男性 70歳代

 市外在住であるが、両親の空き家があり、片付けや対応のため、2週間程のこの地区滞在中。既往に高血圧があり、内服コントロール中だが、以前から血圧高値。今の食事は自宅から冷凍してきた物や出来合いのものが多い。自宅は雨漏りし、カビが発生。

→生活指導(特に食事)、カビ対策・感染症対策指導。

・ B氏 女性 40歳代

 市街在住。知り合いが罹災証明書提出の為、運転してきた。家屋や車などの被害は、あるが対応できている。災害後、イライラしたり、やる気が起きないことも多い。父と2人暮らし。食事は、ほぼ外食。父は高血圧であり、辛いもの、塩気が好き。

→生活指導(特に食事)、父親の健康管理について指導

C氏 女性 30-40歳代

 子供と一緒に来訪。健康不安はない。自宅が雨漏りで濡れており、使える部屋が一部屋しかなく、6畳4人で暮らしている為、畳を上げることが出来ない。他の部屋からのカビ臭が強い。どうしたらいいかわからない。カビが身体に悪いのはわかるが仕方ない。

→カビ対策、畳の乾燥、消毒指導

D氏 男性 30歳代

 市役所職員。発災後、休日が1日。今後も休める見込み無し。立ちくらみがする。食事はとれているが、不眠。アルコール摂取して眠るようになった。不安というのは感じないが、生活リズムが乱れている。職員仲間が突発性難聴になっている。「やるしかない、休みたいが休んでいられない。」

→傾聴。行政を含めて継続的支援は必要。セラピューテック等を提供するリラックスルームの設置はどうか。次回、災害対策本部と話し合い。

E氏 女性 70歳代

 独居。杖歩行。台風後、停電5日間を経験し、不安がある。しかし、外に出て、近所の人と毎日話をしている。また近所に姪が住んでおり、時々様子を見に来てくれる。

→生活指導、傾聴。

(2)健康相談 船形地区

 9:00~罹災証明書申請手続き受付開始。

 健康相談者(19名)及び健康相談以外の指導(2名) 計21名(10名芹口担当)

【相談事例及び情報】芹口担当10名について

性別:全て女性

同居家族:1名以外全て独居

来訪の方法:歩行(2)・バイク(1)・他全て自家用車運転

住宅破損状況

家屋屋根損壊・納屋屋根や壁損壊・ガラス戸及び玄関部損壊・雨どい損壊・畳の雨水による損傷・壁の崩落・天井の崩落・自営業倉庫の崩壊

60~70歳代 女性 HT・DM内服治療中

 自営業・業務用倉庫等の大規模損壊。焦燥感著明な表情を呈し、話し始める。発災後より不眠症状持続。倦怠感強く、食思低下。一度熱中症にて救急搬送。その後、かかりつけ医受診し、点滴を受けている。「辛くて仕方ない」との訴えあり。

→訴えの傾聴。かかりつけ医によく相談し、眠剤等の使用によりまず良眠得られることを説明。水分摂取を促した。

70歳代 女性 逆流性食道炎内服治療中

 長男と同居。屋根の損壊あり。自室は、何とか生活可能も長男の部屋は損壊あり。本人農家、長男会社員も近年夫を亡くし、連続の不幸訴える。停電の時の恐怖感あり、夜間不眠。震災前より長男とのかかわりは良好であるが、頑張っている長男に申し訳ないとの発言あり。しかし、前向き発言みられ、水分・食事共に摂取良好。

→今後、体調不良時は早めにかかりつけ医受診促す。不眠に対しても、眠剤の相談説明。カビ対策指導

80歳代 女性 胃潰瘍・不眠内服中

 独居。家族関係良好、サポート体制あり。屋根の崩壊に伴い、天井の崩落。県内に居住の娘たちが、交代で週末片付けに援助あり。自分がいない間にまた雨が降って、これ以上損壊が大きくなると困る。援助に来る近所の人にいないと申し訳ないので、家を空けることができない。

 話をしているうちに涙を流し、すみません、すみませんと謝り始めた。もともと、かかりつけ医で胃薬と眠剤処方を受けていた。被災後、不眠著明で熟睡ができない。皮膚及び口唇乾燥認め、時間をかけ聞き取り続けると、食事摂取量低下・食思低下、水分摂取500ml/日位が限界の様子。内服も切れているとのこと、受診すすめ点滴等少し受けるよう促すも、人との関りが嫌で病院ですら行きたくない、家に引きこもってると話された。

→身体評価:脱水のリスク・栄養状態の低下・持続する不眠による体力の低下

 精神症状:抑うつ状態・活動性の低下→ 今後も復旧の過程で長期化する旨説明。水分摂取の重要性、生命危機につながることを伝え、配布のイオン飲料を本日から明朝にかけ 500ml飲むよう繰り返し説明

→ADLは完全に自立・認知力の著しい低下ないためサービス介入等ない様子にて保健師へ経過把握の必要性ありと判断の旨申し送りをした。

対応結果

 総じて、独居の高齢女性が多く、不眠・食欲低下・倦怠感等、共通の症状を訴えていた。罹災証明書申請手続きに来られた方々なので杖すら使用された方も無く、ADLが完全に自立されていた。聞き取りの中で、明らかな認知力低下の方なく、しっかり受け答えをされていた。年齢層も高いため、ホームドクターがそれぞれあり、定期受診をほとんどの方がされていた。家屋被害はまちまちであったが、当然、屋根の損傷の場合、居住条件が更に悪化し、カビの発生等による健康被害が懸念される。中には、別荘が被災し、聞き取りの中で、地域住民のコミュニティの重要性と反対に、日常の関係性のジレンマに涙を流しながら話された方もいた。しっかり思いを言葉に出して話していただくことに重きを置き、傾聴することに努めた。

4. アセスメント・課題

 今回の健康相談では、全体的に、睡眠・食事は取れているが、心身ともに疲労がみられ、生活のバランスが崩れる事で、持病のコントロールが不良になっている印象があった。また、多くが、家屋の損壊による雨漏りなどから室内にカビが発生しているが、その対応に難渋しており、カビが発生した屋内での生活を余儀なくされている。感染症対策などの指導・健康相談、持病のコントロールの為にも介入は継続する必要がある。

 ローラー作戦では要配慮者を中心に、リスクがある方を作為的にピックアップし、支援に繋いできた。こういった災害弱者と言われる人々には、支援者側も注意しており、沢山の支援の手が入っているように見える。もちろん、メンタルケアや継続的な介入は必要であると思われるが、今回の健康相談の中では、壮年前期の30〜40代を中心に、働き盛りと言われる人達の潜在的なリスクを感じた。

 今回の災害の大きな分岐点は、ライフラインの復旧と、家屋の損壊の程度であると考える。家屋の一部損壊が9割であるが故、避難所を立ち上げるが、殆どの人が在宅避難となった。災害初期にはライフラインが止まり、生活が困難となっていたが、ライフラインの復旧と共に、徐々に復興に向けて動き出しているように見えている。その中で災害弱者に対しては、行政・支援団体、近隣住民も目を配らせているが、壮年前期の年代は、体力・気力共に無理がきく年齢でもあり、仕事や復興作業に追われながらも、問題を自己完結しようとしている為、問題が潜在化しやすい。

 その背景には、「避難所」があると考える。我々は、災害=避難所支援を想定している部分がある。今回のように、ほとんどの人が在宅避難をしていることで、ライフラインの復旧に伴い、表面的には日常を取り戻しつつあるように見えるが、支援団体が少ないことや、徐々に撤退していくこと、「避難所」支援が少ないことで、問題が減っている様に見えているからではないかと解釈される。住民の立場から考えても、避難所に避難していれば、情報交換が可能となり、被災したのは自分だけではないと、避難所にいることに対する羞恥心も軽減していき、年齢問わず、支援の介入が容易となりやすい。しかし、今回は、ほとんどが在宅避難であるが故、室内で起こっている問題に関しては、住人が情報を止めてしまえば、介入が困難となる。特に、壮年前期は、日中働きに出ており、子育て・自宅の復興作業、被災の手続きなど、多忙を極める。地域柄、近隣とのコミュニティが密である為、自宅がカビに侵されていても、自分だけ少人数の避難所に行く気持ちにはなれないのではないか。そして、自宅にカビが生えている、臭いもある中に、人を招きたくない、自分たちでなんとかしたいという気持ちが、健康相談の匿名などにつながるのではないであろうかと考える。行政も各窓口を通じて、できるだけの情報の開示や各種のプリントの作成・配布し、賢明に活動を展開している。しかしながら、偏った情報(具体的には)の伝播により、必要、且つ被災された方々の耳に直接届いて欲しい情報が届いていないのが現状のように考える。

 今後、こういった「隠れた支援を必要とする人」をいかに引き出せるかが大事となるように思う。年齢や要配慮者等、限られた条件にとらわれず、潜在的な問題に目を向け、一つずつ問題の抽出作業を行うことが求められているのではないだろうか。限られた環境条件の中、私たちDNSOは少しでも早い時期に、少しでも速くニーズに即した活動を行い、被災地に繋いでいかなければならないと強く思った。