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kaiko3
『馬鳴菩薩は過去に移ろい行きた古の蚕に姿を変え、回顧した。
彼の菩薩、変幻する姿は汝なり、我也、仏也。』
私はずいぶんと長い間「幸せ」側にいる人間だと思っていた。
日々の細かい不満はあるにせよ、全体として自分自身は「恵まれている・幸せな人生を送っている」
という思いが強かった。
Tの死。
妻との別れ。
妻家族との反目。そして混乱。
この出来事は私自身の人生観や価値観が転動する出来事だった。
これらの出来事は私の自信を一気に失わせた。
これまでの人生は果たして正しかったのだろうか、と。