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『馬鳴菩薩は過去に移ろい行きた古の蚕に姿を変え、回顧した。
彼の菩薩、変幻する姿は汝なり、我也、仏也。』
2018年に結婚をし、2019年に第一子を儲けたが、5月にその子を亡くした。
この時から私は一度目の死を迎えたのだと思う。
あの頃の私の記憶はあいまいで、あとで思い返してみても断片的なことしか思い出せない。
まるで思い出してはいけない「何か」があるかのようだった。
また、自分でもそれから数年間殆ど自覚的に過去を振り返らないように生きてきた。
振り返るという行為に向き合えなかった。
今回、あえてプロフィールを作成したのは過去と向き合うチャンスを
自分自身でも作りたい思いがあったからだ。
だからこのプロフィールが存在することは私自身が過去と向き合っている証左であるし、
その姿勢自体を作品と呼んでも差し支えないと考える。
それ自体は美ではないし、何らかの造形物でもない。
映画や音楽のように見えたり、聞こえたりするものでもない。
2019年のあの日以後の三田村龍伸は確かに別の生き物となった。
蚕が羽化する瞬間のように自分自身でもまるで別の生き物になったかのような感覚がある。
<続く>