金城政和先生回想録(下・晩年編)
平 武蔵(師範)も加わって月2回の「金城道場」では主にこれまで継承してきた形(型)稽古を中心に伝統的な稽古法も指南頂きました。
旧久場川団地公園での、夏はとても熱く、冬はとても薄暗く寒い中での金城先生、武蔵師範、長嶺と3名での稽古が、いまとなってはとてもとても思い出深く残っています。
※あの時に戻りたいーっ(T-T)
その稽古法の中でも特に、いまとなっては大変ありがたいと感じているのが「前田棒補助運動稽古」です。
「棒が相手から見えているうちは実践では使えない」との前田棒継承者「富本祐宏」先生のメッセージをもとに金城先生が考案された稽古メニュー。
この動きを身体に落とし込めてはじめて日本刀や薙刀等、殺傷能力の非常に高い武器に対抗できる事になるんだな、と痛感しております。
プライベートでも親兄妹のいない私に親族以上に面倒をかけて頂きました。
結婚後、子だから に恵まれない我々に対し、ある日呼び出され「封筒」を手渡されました。封筒の中には現金「十万円」が入っておりました。
「これで北海道に行ってきなさい。環境を変えれば子供ができる」との事。
「ここまで弟子の事を思ってくれるのか」と、とても強く心を打たれました。
さすがに受け取れず丁重にお断りしましたが「必ず恩に報いる」事を誓い、その場を後にしました。
思いが叶い、その後、これまた金城先生の超寛大なご配慮の元、不妊治療に専念でき1回目の体外受精で子宝に恵まれました。
無事誕生の報告をした電話口では涙声で「新しい孫が誕生したー、おめでとう!」との言葉を頂き、眞志副館長、美奈指導員ご夫妻の長女、映梛さん誕生の時同様、病院まですっ飛んで来てくれました。
その後も「実孫」のように毎月、お小遣いや玩具を頂き「たんかーゆーえー」の場には手製のヌンチャクを持参頂きセットして頂きました。嫡子が願いどおり本、計算機等数ある中から「金城政和手製ヌンチャク」を手にした瞬間の金城先生の満面の笑顔が忘れられません。
武術面だけでなく、他者に対する愛情溢れる「偉大な人間力の持ち主」であった金城政和先生。
令和五(2023)年10月18日(水)午前零時過ぎ
※奇しくも嫡子、五歳の生誕日
享年72歳で来世へと旅立たれました。
ほんとうにありがとうございました。
金城政和先生回想録(追記)
令和三年、金城先生が大腸がん(第三ステージ)が判明されてからの二年余り、毎月、の奥田義彦師範(奥田同志会会長)、平 武蔵師範の献身的な尽力がありました。
独学で「健康管理士(健康管理能力1級)」を取得された奥田師範のアドバイス。(金城先生定期検査での数値と照らし合わせかての超具体的なリモートでのアドバイス)その奥田先生アドバイス補佐を行い続けた武蔵師範。ご家族、とてもとても心強く感じておられましたし、何より金城先生、お二人の思いに大変感動されて、その話題になる度いつも涙を流されておりました。
また、琉志会関係者からの金城先生への真心(お見舞い金)に対しても、ほんとうに感激、感謝しておりました。
改めて、ほんとうにありがとうございましたー!!
今生の別れとはなりましたがウチナーを誰よりも愛した金城政和(先生)、輪廻転生の法則からすると、暫く休息された後、また再び、此処ウチナーに生まれ立ち、空手道・古武道界(ウチナー芸能も達者な先生、もしかしたら芸能界?)で躍動、活躍されるとおもいます。
完
ご一読ありがとうございました
長嶺朝一郎