研究と仕事

●メタ認知と自己調整学習に関する研究

最近では、学習の過程でメタ認知をはたらかせたり、自己調整的に学ぶことが大事だとされています。メタ認知(metacogniton)は、自分の思考に対する思考で、自分の考えに客観的に目を向け、コントロールするはたらきです。自己調整学習(self-regulated learning)とは、メタ認知をはたらかせながら、意欲的に学習に取り組んでいるような学習のあり方です。現在、授業中の子どものメタ認知が動機づけとどうかかわっているかや、授業場面でどのようにメタ認知を促すことができるかについて研究を進めています。右にあるのが研究成果をまとめたリーフレットです。ぜひご覧くださいダウンロード

metacognition.pdf

●教師の自律性支援に関する研究

学習者の動機づけを支える支援として「自律性支援(autonomy support)」があります。自律性支援は、学習者の視点に立ち、選択や自発性を促そうとするような支援を指します。これまで、①教師の自律性支援の効果、②授業場面での自律性支援的な指導、③教師による自律性支援の効果の認知、④自律性支援について考えるプログラムの開発、などの研究を行ってきました。右にあるのが研究成果をまとめたリーフレットです。ぜひご覧ください(ダウンロード)。

autonomysupport.pdf

●援助要請に関する研究

学校場面での児童・生徒の援助要請に関する研究を行ってきました。援助要請(help-seeking)は、困難を抱えた際に他者に援助を求める行動を指します。児童・生徒が行う援助要請のなかでも、特に教師に対する援助要請に注目し、援助要請の規定因や教師の援助要請に対する意識、援助要請を促すために教師が行っている工夫について研究を行ってきました。右にあるのが研究成果をまとめたリーフレットです。ぜひご覧ください(ダウンロード)。

help-seeking.pdf

●協同的に学ぶ動機づけに関する研究

多くの学校で協同的な学習の場面が設定されています。そのような活動に対して、児童がどのような動機づけをもつのか、またその効果はどのようなものかについて研究を行ってきました。自己決定理論という理論の枠組みを用いて、協同的な学びに対するいくつかの動機づけのタイプを設定し、学習活動との関連や学年による発達的な変化を調べてきました。右にあるのが研究成果をまとめたリーフレットです。ぜひご覧ください(ダウンロード)。

coopmoti.pdf

●小中学校での研究授業への参加

香川県内を中心に、小学校や中学校の校内研修や研究授業に参加させてもらっています。講話というかたちで心理学のお話をさせてもらったり、一緒に研究授業を参観し、授業討議でコメントをさせてもらったりしています。講話としては、学習意欲や主体性、メタ認知、自己調整の学びなどのテーマが多いです。研究授業では、様々な教科でお話をいただくので、有益なコメントができないことが多々あります。しかし、授業中に子どもたちががんばっている姿や先生方の名人芸を見て、授業のあり方について考えるのは、とても楽しい経験です。なんとか心理学の研究成果を学校現場に役立ててもらおうとがんばっています。校内研修等でお手伝いできることがあれば、ぜひご連絡ください。

●学校と地域との協働に関する研究

最近になって、学校と地域との協働が注目されるようになっています。その1つとして、文部科学省は地域学校協働活動を推奨しています。これは、地域と学校が協働しながら、学校の活動や地域の行事等を連携して協力しながら行おうというもので、地域ごとにユニークな活動が展開されています。少し前から、ある地域での協働的な活動にかかわりながら、研究を進めてきました。具体的には、学校関係者や地域住民が集まる研修会を実施したり、調査を実施したりしています。そのなかで、学校と地域とのよりよい連携について考え、研究を通して実践への貢献を目指しています。

●メタ分析を用いた研究

ここ数年、メタ分析(meta-analysis)を用いた研究を行ってきました。メタ分析は、先行研究を統合して数量的にレビューを行う研究方法です。メタ分析を行なったテーマは次の通りです。お手伝いできることがあれば、お声がけください。

自己決定理論における動機づけ概念間の関連    ・教師による自律性支援の効果

・動機づけと学業達成との関連           ・達成目標と学業的援助要請との関連

・自己愛傾向と精神的健康との関連         ・自尊感情のレベルと不安定性との関連

・自尊感情の時代的変化              ・自尊感情の男女差