居住地・従業地の関係

居住地と従業地の関係をしめす,統計・調査について記載します.日本全国を対象とした居住地と従業地の関係を個別に示す統計は存在していません.
(福田希海)

調査動機
Murata, Iwase, Harada (2023)の従業地割当ての手法では,対象自治体の就業者に対して,従業地自治体や自治体内の小地域が,国勢調査や経済センサスの統計データにしたがって確率的に割り当てられています.従業地に対して,就業者がより利便性の高い地域に住んでいるという仮説のもと,居住地と従業地の関係を考慮した従業地割当てができる手法を開発するため,居住地と従業地の関係に関する各種統計を調査しました.

調査概要
居住地と従業地に関連した国勢調査,住宅・土地統計調査,大都市交通センサス,パーソントリップ調査,独自調査のそれぞれの特徴を列記します.調査の結果,日本全国を対象とした居住地と従業地の関係を個別に示す公開された統計が不足していることがわかりました.シミュレーション対象地域の就業者の勤務実態を調査し,福田,村田(2024)の手法を用いれば,通勤距離や通勤時間などの調査結果に基づく従業地割当てが可能になります.

参照
Tadahiko Murata, Daiki Iwase, Takuya Harada (2023), Workplace Assignment to Workers in Synthetic Populations in Japan, IEEE Transactions on Computational Social Systems, Vol. 10, No. 4, pp. 1914-1923, Aug. 2023
福田希海,村田忠彦(2024),「居住地と従業地の距離を考慮した従業地割当手法」,計測自動制御学会第33回社会システム部会研究会(2024年3月)

国勢調査
調査名:常住地による従業市区町村,産業(大分類)別15歳以上就業者数
調査実施者:総務省
調査対象:全国民
URL:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001080615&cycle=0&tclass1=000001101935&tclass2val=0

調査からわかること:どの自治体に何人働きに行くか

住宅・土地統計調査
調査名:住宅の所有の関係(6区分),家計を主に支える者の男女別通勤時間(8区分)別家計を主に支える者が雇用者である普通世帯数-全国,都道府県,市区町村
調査実施者:総務省
調査対象:全国民
URL:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003355562

調査からわかること:家計を支える人の通勤時間の分布

大都市交通センサス
調査名:通勤・通学所要時間帯別人員表
調査実施者:国土交通省
調査対象:首都圏・中京圏・近畿圏
URL:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000035.html
調査からわかること:定期券を利用し電車通勤する人の通勤時間の分布

全国都市交通特性調査(パーソントリップ調査)
調査名:個人属性別・目的別・代表交通手段別・トリップ長原単位
調査実施者:国土交通省
調査対象:主要都市
URL:https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_fr_000024.html

調査からわかること:三大都市圏など広い地域の通勤距離(トリップ長)

独自調査
調査名:大都市の若者の就業行動と意識の分化 -「第4回 若者のワークスタイル調査」から-
調査実施者:労働政策研究 研修機構
調査対象:東京都に住む8000人に依頼,2992人回答.
URL:https://www.jil.go.jp/institute/reports/2017/documents/0199.pdf

調査からわかること:居住自治体の夜間人口重心と従業自治体の昼間人口重心の直線距離