Robocon Report Award 2023

ロボコン報告書コンテスト2023 表彰レポート

 実際に大会に参加できなければロボットの動きを直接見ることはできません。直接試合を参観することができたとしても魔法のように動くその機構の仕組みは想像するしかありませんでした。もしオンライン開催であったとしたら,画面の向こう側でロボットが動いていることはわかっても,どんな仕組みでそのロボットが動いているのかを確かめることもできません。ロボコン報告書では、魔法のように動くその機構を、全てのチームが惜しげもなく全てをCCBY(参考にしたことを明記すれば、誰でも自由に使うことができる)として公開してくれています。今年提出された65本の報告書には、それぞれのチームの試行錯誤の結果が記述されています。

 2023年2月12日にオンライン審査会をするにあたって、審査員の先生方全員が全ての報告書に目を通しました。ここに表彰レポートとして掲載する6本の報告書は、そえぞれの特徴的な機構について図や写真を用いてわかりやすく解説してくれています。大会に参加できなかったとしてもこれらの報告書を読むことで、彼らの機構を詳細に理解することができるはずです。ぜひ参考にして、彼らのロボットを越えるロボットを製作しましょう。そして、来年度ロボコン報告書の提出をお願いします。

 審査の結果選ばれた、最優秀Young Maker賞×1と,Young Maker賞×5を、ここに掲載させていただきます。

最優秀 Young Maker

No.63 広島県 広島市立幟町中学校

 IECSS あいしす

ロボコンルール:
 令和4年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 Ace in the hole 2

コメント:
 基礎部門の小さなボディサイズの中で、全てのアイテムを一気に取り込み、どの位置にも確実にアイテムをゴールできる仕組みが実装されています。その動きを実現するために何をどのように工夫したのかが図と写真を対比させる形で説明されており、今回提出されたロボコン報告書の中では抜きん出たものがありました。
 加えてこのロボットにはシャーシ部分にも独特の工夫があり、車体を容易にゴールに沿わせることができます。同じ学校の昨年度のロボット参考にその機構を実現したことや、その機構を採用した理由が分かりやすく明確に示されていました。
 来年度以降のロボコン報告書の手本となるべきロボコン報告書です。 

Young Maker

No.8 東京都 中野区立第七中学校

 中野七中 なかのななちゅう

ロボコンルール:

 令和4年度創造アイディアロボットコンテスト制御部門 ドキドキ! ロボット収穫祭

コメント:
 プログラムについて報告書で分かりやすく説明することは、他の手動のロボットに比べて難しい面が多くあります。この報告書では、何が課題でその課題を解決するためにどんなプログラム上の工夫をし、どのような試行錯誤をしてプログラムを煮詰めていったかが、大変分かりやすく論理的な文章で明確に説明されていました。特に3Dプリンタで自作したロータリーエンコーダを用いた回転制御などは、これから制御部門のロボットに大きな影響を与えるでしょうか。
 来年度以降制御部門に取り組むチーム必読のロボコン報告書です。

Young Maker

No.11 埼玉大学教育学部附属中

 EMPEROR えんぺらー

ロボコンルール:
 令和4年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 Ace in the hole 2

コメント:
 埼玉大学附属中は、技術の授業でロボコンに取り組んでいます。限られた時間の中で、アームを展開しアイテムの穴に刺して回収するアイディアを実現しています。製作途中で試行錯誤した様子を記録に残し、わかりやすく報告書に掲載するなど、報告書としての完成度も高く感心させられました。製作の中で様々な課題がみつかり、そのためにどのような改善策を講じたのかが一覧にまとめられている点は、来年度以降の他チームの取り組みにも参考になると思います。
 

Young Maker

No.31 栃木県 益子町立益子中学校

 聖心キャタピラー  せいしんきゃたぴらー

ロボコンルール:
 令和4年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 Ace in the hole 2

コメント:
 どのような機構で、目的の動きを実現したのかが、シンプルな図と文章で分かりやすく説明されていました。この報告書を参考にすればこのロボットを再現することもできるはずです。設計段階から考え抜かれたロボットであったことがよくわかりました。
 ロボットの動きは連続写真を用いて説明されていました。アイテムを斜めに取り込んでも自動的にまっすぐに修正される様子や、相手が立てたアイテムがどこにあっても影響を受けることのない動きなど、無駄のない動きは来年度以降のロボットにも大きな影響を与えるに違いありません。

Young Maker

No.32 栃木県 益子町立益子中学校

 聖心スタンピー せいしんすたんぴー

ロボコンルール:
 令和4年度創造アイデアロボットコンテスト応用・発展部門
 「支援物資を運搬せよ! 」

コメント:
 横倒しになったロボットをラダーチェーンを巻いた大きな歯車を回転させることで引き起こし、まるでスタンプのようにアイテムを回収してタワーの上までアームを伸ばして得点する機構が大変わかりやすく解説されています。自動ロボットも長い橋のようなアームを下ろし3カ所にアイテムを載せる能力を有しています。それらがどのように実現しているのか、6ページという限られた報告書の中で精一杯説明してくれています。応用・発展部門ならではのレベルの高い工夫が惜しげもなく公開されていました。
 来年度以降応用・発展部門に参加するチーム必読の報告書です。

Young Maker

No.55 広島県 広島市立幟町中学校

 俊足 しゅんそく

ロボコンルール:
 令和4年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 Ace in the hole 2

コメント:
 一つのモーターの動きで、アイテムをつかみ、垂直に引き起こし、ゴールに垂直に下ろすという動作を実現しています。その実現のためにどのような素材をどのように組み合わせて実現したのかが手に取るようにわかりました。そして、そのアームの形状は昨年度の他校のロボットのアームの形状を参考にしたとハッキリと明記しています。他校の取り組みを貪欲に取り入れ、改善した上で、こうしてロボコン報告書として公開するその姿勢はロボコン精神を体現しているといえるでしょう。
 ロボコン報告書に取り組む姿勢をぜひこの報告書から学びましょう。

これらの報告書をぜひ来年度に生かしましょう。全国からのロボコン報告書の提出をお待ちしています!

Young Maker's Robocon実行委員会