Robocon Report Award 2026
ロボコン報告書コンテスト2026 表彰レポート
ロボコン報告書コンテスト2026 表彰レポート
ロボコン報告書コンテスト2026には、全国から63本の報告書が提出されました。2026年2月15日、オンライン審査会が行われ、ここに掲載する最優秀Young Maker賞×1と,Young Maker賞×5が選ばれました。投票はこのコンテストに参加している多くの学校の指導者がオンラインで集まり、全てのレポートを読み込み審議した後に行われました。
ロボコン報告書の取り組みの価値が改めて明らかになりました。多くのチームが3D-CADを使いこなし、3Dプリンタやレーザー加工機を使った部品を身近な素材と組み合わせて目的の機構を実現しています。そして、同時に、多くのチームがこれまでのロボコン報告書を読み込みロボット製作に取り組んでいました。年度や学校を越えてアイデアの連鎖がいくつも確認できました。表彰されたレポートの多くが、しっかりと参考資料を明記しています。
デジタル加工機などの導入によってロボコンの学びは新時代に入りました。新時代のロボコンは単なる勝ち負けではありません。私たちは本当に価値のある学びに最大限の賞賛が贈られるロボコン報告書コンテストであり続けたいと思います。ロボコン報告書コンテストは、他校や先輩のロボットに学びさらに改良を加えて進化を続ける学びをこれからも賞賛し続けます。
2026/02/21 Young Maker's Robocon実行委員会
No.36 千葉県 船橋市立坪井中学校
木林 きりん
ロボコンルール:
令和7年度創造アイデアロボットコンテスト 応用部門 ジ・「メッセージタワー2」
コメント:
昨年度の受賞機体で示した優れた機構を土台に、今年はそれをさらに発展・洗練させ、その工夫を高い解像度で言語化した点が高く評価されました。今年度の全国大会でも多くのチームに影響を与えた機構の“元祖”としての価値だけでなく、素材や部品の選択理由、機構のねらい、競技のどの場面で機能するのかまで、筋道立てて説明されています。とくに、バネの配置や力の大きさを数値(N)で捉え、上昇を実現しながら上がりすぎを防ぐ仕組みまで含めて記述している点は圧巻でした。写真は多角的に撮影され、図解も効果的に用いられており、複雑な構造や動きが読み手に伝わりやすく整理されています。材質やモータ特性への配慮、設計図レベルの情報も含め、後輩たちが学び、参考にし、改良へつなげていける、ロボコン報告書コンテストの価値を体現するレポートです。
No.40 山口県 山口大学教育学部附属山口中学校
チームカワサキ ちーむかわさき
ロボコンルール:
令和7年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 積み上げ達人
コメント:
チームカワサキの報告書は、機構の独創性と、それを読み手に伝える報告書としての完成度の高さが際立っていました。要所を押さえた詳細な写真と分かりやすい説明に加え、試行錯誤の過程が丁寧に記されており、ロボコン製作にどう向き合ったのかがよく伝わってきます。特に注目されたのは、独自機構である「トルク制限歯車機構」です。ベベルユニットの特性を生かしながら、ラックアンドピニオン側のトルクを制限する構成は非常に独創的で、バネの押し付け具合によって制限量を調整できる点も含め、発想と実装の両面で高く評価されました。制約条件に対して、観察し、探り、考え、作って確かめるというものづくりの本質的な過程が、機構の説明と一体となって示されています。来年度以降の新たなアイデアを生み出す起点となることが期待される、読み応えのある優れたレポートです。
No.39 栃木県 益子町立益子中学校
聖心SMS せいしんえすえむえす
ロボコンルール:
令和7年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 積み上げ達人
コメント:
聖心SMSの報告書は、他校の過去のロボコン報告書から学んだ機構を、自分たちの目的に合わせて再構成し、高い性能へとつなげた点が高く評価されました。とくに、過去の機構に影響を受けながら、それを上下方向の動きに応用し、全国大会でも他に見られない独自の機構として成立させた発想は見事です。報告書では、目標が明確に掲げられ、その実現に向けた機能・機構の説明が順を追って整理されており、写真や文章も分かりやすくまとめられています。また、単に機構を紹介するだけでなく、「他校のアイデアの何を学ぶのか」という視点まで示されており、ロボコン報告書の活用のしかたそのものへの示唆を含んでいる点にも価値があります。試行錯誤の成果が競技の場面と結び付けて説明されており、社会での活用を意識した設計の考え方も伝わる、学びの広がりを感じさせる優れたレポートです。
No.62 広島県 広島市立祇園東中学校
Black List ぶらっくりすと
ロボコンルール:
令和7年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 積み上げ達人
コメント:
BlackListの報告書は、独自機構の着想の鋭さと、それを理詰めで実現していく設計力・検証力の高さが際立つレポートでした。とくに、「つかむ・もちあげる・はなす」という三つの動きを一つのモータで精度高く実現するという明確な課題を立て、その難しい課題に対してどのように機構を構成し、解決していったのかが、筋道立てて報告されています。昨年度に続く受賞、さらに今年度の全国大会優勝という結果は、機構の独創性だけでなく、アイデアを構想段階で終わらせず、実際に動くものとして成立させる技術と粘り強い試行錯誤の積み重ねによって支えられていることが伝わってきます。加えて、自分たちの工夫を公開し、次の世代や他校の学びにつなげていこうとする姿勢そのものが、ロボコン報告書コンテストの価値を体現しています。読む人の知識と力になる、継承性の高い優れたレポートです。
No.20 埼玉県 埼玉大学教育学部附属中学校
Believe びりーぶ
ロボコンルール:
令和7年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 積み上げ達人
コメント:
Believeの報告書は、手作り部品を多用した機体の工夫を、読み手の立場に立って丁寧に伝えている点が高く評価されました。写真や図が要所で効果的に使われており、機体の構造や工夫した部分が理解しやすく、報告書としての完成度の高さが際立っています。とくに、限られた校内ロボコンの製作時間の中で、ラダーチェーンのコマを3Dプリンタで改造するという挑戦的な取り組みは非常に魅力的でした。既製品をそのまま使うのではなく、必要な機能に合わせて改良しようとする姿勢に、ものづくりの創造性がよく表れています。また、CADを用いた説明も分かりやすく、機構のねらいや加工の意図が伝わる構成になっていました。改造チェーンやスプーン機構の工夫を含め、身近な素材とデジタル技術を組み合わせて新しい解決を生み出していく、これからの時代のロボコンの姿を予見させる優れたレポートです。
No.7 茨城県 阿見町立朝日中学校
バナナ×4 ばななばいふぉー
ロボコンルール:
令和7年度創造アイデアロボットコンテスト 基礎部門 積み上げ達人
コメント:
バナナ×4の報告書は、ロボットの機構そのものの完成度の高さに加え、製作から運用までを見通した記述の丁寧さが高く評価されました。赤と黄色の2色で仕上げられたラダーチェーン&平行クランク機構のロボットは、機能的であると同時に美しく、設計の意図がよく伝わります。報告書では、機構の説明だけでなく、操作の仕方、アイテムの扱い方、リモコンコードの処理方法、転倒防止具、イモネジに至るまで、実際の製作や運用で重要になる細部が幅広く記載されており、読み手にとって非常に実用的です。また、試行錯誤の過程や完成に至るまでの流れも分かりやすく整理されており、どこに着目し、何を考えながらロボットを作っていけばよいのかを学べる構成になっています。ロボコンをこれから始める生徒やチームに、ぜひ最初に読んでほしい、見やすさと内容を兼ね備えた優れたレポートです。
受賞レポート総評
今年度の受賞レポートに共通していたのは、優れた機構を実現していることだけでなく、その機構を「なぜそうしたのか」まで含めて、他者に伝わる形で丁寧に言語化・図解していた点です。どのレポートにも、アイデアの独創性、試行錯誤の過程、材料や部品の選択理由、競技のどの場面で機能するのかといった観点が明確に示されており、単なる製作記録ではなく、次の挑戦者に受け継がれる学びの資産となっています。
最優秀Young Maker賞の木林は、昨年度の受賞機体をさらに発展させ、全国の多くのチームに影響を与えた機構の価値を、素材・構造・力の扱いまで含めて高い解像度で示しました。写真・図解・数値を用いて複雑な機能を説得力ある形で伝える姿勢は、報告書コンテストの価値を象徴しています。Young Maker賞の各チームもまた、それぞれ異なる強みを示しました。チームカワサキは独自のトルク制限歯車機構を生み出し、制約の中で解決に至る設計思考を具体的に示しました。聖心SMSは過去の報告書から学んだ機構を自分たちの目的に合わせて再構成し、継承と発展のあり方を体現しました。BlackListは、一つのモータで複数の動作を高精度に実現する難題に対し、理詰めで機構を成立させる力を示し、公開すること自体の価値も強く感じさせました。Believeは、校内ロボコンという限られた時間の中で、3DプリンタやCADを活用して既製品を改造し、新しい機構を生み出す姿を示しました。バナナ×4は、機構だけでなく操作・配線・転倒防止など運用面まで含めて網羅的に記述し、これからロボコンを始める人にとって極めて実用的なレポートとなっていました。
ロボコン報告書コンテストは、こうした学びの価値を見出し、年度や学校を越えて継承される文化を支える場として、今後もその役割を果たしていきます。
これらの報告書をぜひ来年度に生かしましょう。全国からのロボコン報告書の提出をお待ちしています!