昔々、この世界にはエレンドールという名の魔法使いがいました。
彼の魔法は強大で、星さえも動かす力を秘めていました。
ある日、地球へ衝突しそうになった小惑星を退けるために、彼は全力で魔法を振り絞りました。そのおかげで、その小惑星を遠い宇宙の彼方へと追いやったのですが、その魔法の反動で彼は永い永い眠りにつくこととなったのです。
何千年もの時間が過ぎ、エレンドールが目覚めた時、世界はすっかり変わっていました。
何よりもショックだったのは、彼が全く魔法を使えなくなっていたことでした。彼は魔法使いだったときの記憶を鮮明に残していましたが、どれだけ頑張ってもかつてのように魔法を使うことはできなくなってしまっていたのです。
そう、彼はただの人間になってしまったのでした。
何千年もの間眠りにつき、世の中のことを全く知らない彼は周りの人々から笑われ、からかわれる存在になってしまいました。
彼の頭上には飛行機が飛び交い、周りの人々はスマートフォンで情報を得ていました。
「何てことだ!まるで誰もが魔法使いになったみたいじゃないか!」
彼は自分が時代遅れになってしまったこと、そして何よりも魔法を使えなくなったことに絶望していました。
そんなひとりぼっちのエレンドールを見つけたのは、一人の小さな女の子、リリーでした。リリーはエレンドールが笑われるのを見て怒り、
「エレンドールはただ、新しいことを学ぼうとしているだけよ。それは素晴らしいことだから、笑っちゃだめ!」
そう言って彼を守っていたのです。
リリーはエレンドールに今の時代の生活や技術を教え、彼が新しい時代に適応できるように助けました。そしてエレンドールに、
「魔法が使えなくても、心の力で人々を助けることができるわ。それが新しいあなたの魔法になるかもしれないないわよ」
と語りかけました。
その言葉を聞いて、エレンドールは自分自身を見つめ直すことにしたのです。
彼は確かに魔法の力を失っていたけれども、それでも新しい世界のことを学び、周りの人々のために何ができるかを探そうと決めました。
そして彼は自分に何ができるか探すため、新たな旅に出ることにしたのです。