日本より南にある台湾は一年中暖かいと思われるかもしれないが、台湾北部の冬はそれなりに寒いと思う。
寒冷前線が北から来ると、一週間にわたって雨がしとしと降り続き、風もひゅうひゅう吹いていて、実際の温度より寒く感じる。台湾に住んでいた北海道出身の知り合いも台湾の冬は寒く感じるようだった。
だが、前線が去った後しばらくの間はだいたい天気が良く、太陽がさんさん照っていてぽかぽかとした「冬」になる。あくまで個人的な感覚であるが、台湾における冬はどちらかというと、日本の春に似ているかもしれない。
このような寒くなったり、暖かくなったりする天候はだいたい三月の半ばまで続く。その後、だんだん寒い日が少なくなり、湿った南風が吹き始まることで「春」になる。長袖を着て過ごす涼しい日本の春とは違い、春の台湾における平地の温度は20度を上回り、雨も時折降って、どんどん蒸し暑くなっていく。
そして台湾の梅雨の季節である五月になると、北部でも本場的に暑くなり、夏を感じるようになる。台湾における梅雨はだいたい五月と六月にあり、蒸し暑くて災害を起こすような大雨がばらばら降る季節である。
その一方、日本における梅雨の季節は涼しいが、梅雨明けになると台湾にも負けない暑い日が一気に始まる。台湾よりもこんなに北にある日本の夏は意外にも台湾とあまり変わらないように感じる。毎日太陽がじりじりと照りつけていて、夕立が降ったらすこし涼しくなるけど、降らないと夜もむしむしする熱帯夜になる。
さらに台風が来ると、強い風がごうごうと吹き、強い雨がざあざあと降るのも共通点であろう。しかし日本に来る台風は台湾に来る台風より通り過ぎる速度が速く、風は強いが雨はそれほど多くない気がする。
暑さはほぼ一緒である感じられるが、台湾における夏はより長く感じる。五月から暑くなり、十月になっても昼間に太陽がカンカンと照りつける日もよくある。ただ昼間には暑いが、夜の空気はひんやりして、涼しい風がそよそよと吹いていて、すこし暑さがマシになる。
そして十一月前後の短い間だけは昼間にも涼しくなり、雨もあまり降らず、日本と同じような気持ちの良い秋になる。こんな気持ちのいい天気がなんと三ヶ月もある日本が、台湾人にとっては羨ましい。
台湾では涼しい秋が短くて、十二月の半ばに入ると、また雨を降らせる寒冷前線がやってきて、寒い「冬」になる。
今回は台湾と日本における天候を比べたが、あくまで自分が住んでいた台湾の桃園と今住んでいる京都での比較である。あなたの住んでいる街はどうだろう。このようにささやかな日々の天気における変化から季節の移りを感じることを楽しむのはどうだろうか。