教室に「リアル」を持ち込む―第二言語(外国語)のコミュニケーション能力を育てるにはどうすればいいのか―
「富士山に登ったことはありますか。」「いいえ、ありません。」
「カープの試合を見に行ったことがありますか。」「いいえ、ありません。」
私が外国人向けの日本語授業の指導アプローチを大きく変えるきっかけとなったのは、授業中の会話練習でした。学習者がとてもつまらなさそうにパターン練習を繰り返しているのです。ローカルな話題に改善すれば盛り上がるかも?と思い、「カープ」を例文に加えてみましたが、あまり効果はありませんでした。
学習者が心から話したいことはなんだろう?話したい内容を話せる授業はどうすれば実現できるのだろう。本講演では、従来の外国語教育の問題点を取り上げつつ、第二言語習得研究(SLA)の成果をもとにした「タスク・ベースの指導法(Task-based Language Teaching)」を概観し、教室活動を「リアル」にするコツをお話ししたいと思います。