多機能型重症児デイサービスを知ったのは10年前でした。
2013年、ピアニストとして甲府支援学校から国立病院の重心病棟に入院している子どもたちに「春のつどい」というコンサートをしてほしいと依頼がありました。
ちょうどピアノを教えている生徒のお母さまが甲府支援学校で働いていたので、どんなコンサートがよいのか、どんな子どもたちがいるのかを聞き、顔写真と名前を教えてほしいとお願いしました。
あまり大きい音を出すとびっくりしてしまうとか、もしかしたら呼吸がうまくできなくて途中で退出してしまうかもしれないとか注意点を教えていただき、重症児とはどんな状態なのか、どんなことに喜んでもらえるのか心配しながらも全力でがんばろうと思いました。
コンサートが始まり、先生方が歌を歌ったり、お芝居をしたりして、私のピアノ演奏でした。1人1人の名前と顔を覚えていったので名前を呼んではその子どもの手を握り、言葉をかけて、その子の雰囲気に合った曲を演奏しました。すると保護者の数人が泣いていたのです。
コンサートが終わり少しの時間保護者の皆様とお話する時間がありました。
「子どもたちの名前を覚えてくれてありがとうございます」
「子どもたちに触れてくれてありがとうございます」
普段病院でずっと過ごしている子どもたちはあまり刺激がありません。
呼吸などの状態でなかなか刺激を与えることも難しいのです。
でも、保護者は子どもたちが健常者と同じように音楽を聴き、手をつなぎ、声をかけられ、抱きしめられることを望んでいるのだと思いました。
私は衝撃を受けました。
この子どもたちのために何かしたい!保護者の皆様に少しでも安心と癒しを感じてもらいたいと思いました。
それから7年コンサートは続きましたが、コロナにより中止になってしまいました。
私の心になんだかぽっかり穴が空いた気持ちになり、子どもたちがどうしているかずっと気になっていました。この3年間、やはり障害を持った子どもたちを支援したいと思い、放課後デイサービスで働き始めました。
障害を持つ子どもがとても多いこと知り、ただの預かりでなく、子どもたちが少しでも様々な経験ができるよう支援していきたいと強く思うようになり、児童発達支援管理責任者とサービス管理責任者の資格を取りました。子どもたちにやってあげたいことや一緒にやりたいことがどんどん増えてきましたが、会社の中ではなかなか思うようにはできず、
だったら自分で施設を作ろう!と決意しました。
具体的にどんな施設を作ろうか考え始めると、重心の子どもたちのことを一番に思い出しました。私の「障害を持った子どもたちの力になりたい」という気持ちになった原点である重心の子どもたちとの出会い!
すぐに重症児デイサービスの事業所に連絡し、「多機能型重症児デイサービスを作るので研修させてください」とお願いし、働かせていただきました。
コンサートという外からの支援とはまったく違う支援に始めは戸惑いましたが、すぐにやりがいと喜びを感じ、心が浄化されていく気持ちになりました。
子どもたちに体験してほしいことや体験できることをたくさん見つけて共に楽しみ、共に喜び、保護者の皆様に安心して、時には羽を休めていただけるよう、残りの人生をかけてがんばっていきたいです。
小野 けいこ
準備を始めて約7カ月という短期間でしたがここまで形にすることができました。 たくさんの方にご理解、またご協力いただき、それらの方々の思いにこたえられるよう、スタッフ一同頑張っていきます。 スタッフの関係者様から立派なお花もいただきました。ありがとうございます。 多機能型重症児デイサービス「ぱるぽるか」をよろしくお願いいたします。
今回の開業にあたり、研修等大変お世話になった「笑む」様からもお花をいただきました。「笑む」での経験があったから今があることに感謝しかありません。それぞれの施設で児童のためにできることを今後協力していけたらと思います。笑むの皆様には今後もお世話になると思いますが、ご指導よろしくお願いいたします。
オープン後3か月が経過し、利用者様からも感謝のお言葉をいただけるようになりました!
初心を忘れず、スタッフ一同、利用者様それぞれの療育をこだわって行っていきます。
仲間になって大活躍です。
様々な感情や感覚を刺激できるように働いています。