私たちの生活には、様々な有機分子が溢れています。これらは、生命に欠かせない医薬品や酵素から、日常生活を便利にするビニール袋やペットボトルまで、さまざまな形で存在します。私の専門である有機合成化学は、これらの有機分子を一から創造し、新たな機能を付加することで、私たちの生活を豊かにする無限の可能性を持っています。
この分野において、私が特に興味を持っているのは、遷移金属触媒を用いた新しい有機反応の開発です。この研究により、生活に欠かせない有機分子を迅速かつ大量に合成できるようになる可能性を秘めています。また他には、生体内で直接的に分子を変換して、病気の治療や発見に役立つことも可能になるかもしれません。これらの夢を実現する上で、遷移金属触媒は非常に大きな力を発揮します。実際に遷移金属触媒をうまく活用することで、誰も想像もつかないような新しい有機反応が次々と発見されています。私たちと一緒に遷移金属触媒を学べば、次の画期的な反応を見つけるのはあなたになるかもしれません。
この魅力的で冒険に満ちた研究に、あなたも参加してみませんか?私たちの研究は、未知の領域への探求であり、その過程で新たな発見を共に体験することができます。
以下に私たちの研究室で進めている研究について紹介します。
ロジウム触媒によるアルケンの異性化を伴うヒドロチオ化
この研究では、アルケンがアルキル鎖上を移動することにより、硫黄原子が窒素原子の隣(α位)に導入される新しい方法を見つけ出しました。これは、従来の方法とは違って、添加剤を使わずに、さまざまな種類のアルケンを変換することができます。この反応により、N,S-アセタールという医薬品の基本となる骨格を作れるため、この発見を応用した医薬品合成などへの展開が期待されます。
Hikida, N.; Yoshimi, Y.; Suzuki, H. Org. Lett. 2024, 26, 2500-2504.