「そぞろ歩きNo.45」と関連PPTをUPしました。IOCとJOCの女性新会長の誕生ですね。さらに、No.46としてJOC橋本聖子新会長の誕生に関して私見を掲載しました。
各スライドの下に解説を載せています。右端の「V」をクリックしてご覧下さい。
・参考websiteスイス政府情報:
https://www.myswitzerland.com/ja/experiences/the-olympic-museum/
・参考:TOMのwebsite:
・参考:2020年ローザンヌ冬季YOG視察時のTOM訪問記:JOA
JOA Review Online » 2020年ローザンヌIOCオリンピック・ミュージアム視察報告 (olympic-academy.jp) (埋め込み記事参照)
・1998年長野冬季大会の招致に向けて、当時の堤義明JOC初代会長を先頭に日本の財界から約30億円寄付を募りIOCのサマランチ会長時代の1993年に建設。当時には「長野ルーム」や「大坂ホール」などの名前の付いた部屋も存在しました。いわば日本から長野招致のためのプレゼントでしょうか?
・2013年にリノベートし、現在のような展示スタイルに!日本語のパンフレットがなくなるのは日本からの入場者が少ない故かも?
・ミュージアムの回りは、丘を利用した公園になっていて、入り口まで登っていく庭園には様々なスポーツ芸術作品が展示されています。階段には歴代の大会の開催年と開催都市名が刻まれています。
・ミュージアムの入り口横には、聖火が燃え続け、その奥のクーベルタンの銅像もレマン湖を眺めて立っています。
・正面左を登るとオリンピック研究センター(OSC)があります(以前はミュージアムの地下にあったのですが移転しました)。
・時折、特別企画展示も行われ、訪問するたびに違う姿を見せてくれます。
・入り口には子どもたちが展示を見ながらオリンピズムやオリンピックの歴史などを学んでいくことができるようなパンフレットや学習ガイドが用意してあります。音声ガイドにも日本語がなくなったと記憶しています。
・2020年ローザンヌYOGの際に、JOAのwebsiteに寄稿したTOMの視察報告です。
・参考:JOAwebsite
JOA Review Online » 2020年ローザンヌIOCオリンピック・ミュージアム視察報告 (olympic-academy.jp)
2020 年 3 月 30 日
1.オリンピック・スタディーズ・センター(OSC)
1月9日の午前中、先ずレマン湖側から坂を上ってTOMに隣接するオリンピック・スタディセンター(OSC)を訪問した。事前に依頼していた研究課題に応じオリエンテーションを受け、1976年前後のIOC理事会と総会の議事録を閲覧する。データをコピーしてはいけないという方針に変更になったそうなので、限られた時間での調べが大変であった。OSC研究部門長のNuria Puqiさんに再会し、2020年設置予定のJOA HOUSEを説明し、その宣伝を依頼した。残念ながら、IOC HOUSEの見学要望は叶えられなかった。丁度今はIOC理事会や総会が目白押しで、見学などとても無理だと言うことであった。
あまり知られていないが、このOSCの駐車場にはフィリップ・ノエル=ベーカー卿がノーベル平和賞を受賞した記念レリーフが飾ってある。彼はイギリスの著名な政治家であり、国際的な軍縮運動で活躍した外交官でもあった。特に、1920年のアントワープ大会の男子1,500mの銀メダリストであり、1959年のノーベル平和賞受賞者した唯一のオリンピックメダリストである。このレリーフには「Man of Sport ・ Man of Peace」という文字が刻まれている。また、これと同じレリーフが広島経済大学の体育館に1994年のアジア大会時に掲げられていることもあまり知られていない。実は、ノエル=ベーカー卿は広島の核兵器廃絶運動にも賛同し、5回も来日している平和活動家でもあるのだ。TOM訪問の際には、是非立ち寄って欲しい所である。残念ながら雨ざらしであるのだが。
2.オリンピックのシンボルマークとIOC旗
続いて、TOM再訪。5度目の入館であるが、展示が相当入れ替わっているようである。先ず、気になったのが古くて大きなオリンピック旗(IOC旗)の展示コーナーである。1913年にクーベルタンがオリンピックのシンボルマークを考案し、それを初めて手紙に5色で描いて送ったとされるシンボルマークであるが、その時の手紙も展示してある。別の形に5つの輪を描いたデッサンも残っている手紙も展示してある。写真の大きなIOC旗は、IOC設立20周年を記念して、1914年にアレキサンドリアのスタジアムに旗の形で初めて掲揚されたオリンピック旗である。この年には20周年記念IOC会議がパリで開催されたが、その際にクーベルタンはこのシンボルマークを描いたIOC旗を500本パリの百貨店に作らせ、会議終了後に、参加者達にお土産として世界各地に持ち帰らせた。これで、オリンピックのシンボルマークを世界に一気に周知したと言われている。素晴らしい広報マンぶりを物語るエピソードである。
今回の目新しい展示は、クーベルタンがこのシンボルマークを考案した際に参考にしたといわれているトリコロールカラーのデザインの帽子とフランスチームのユニフォーム姿の写真である。1890年、クーベルタンがフランスの2つのスポーツ団体(USFSA)をまとめて統一チームとして国際大会に出場した際に、青と赤の2つの輪が交差したシンボルマークを作成したのである。このマークは、下地の白色と合わせて、フランスの三色旗のトリコロールカラーになっている。つまり、2つの団体の連帯や団結を意味するシンボルマークなのである。そのため、オリンピックの場合には五大陸の連帯なので、クーベルタンは5つの輪が交差したシンボルマークがふさわしいと考えたのであろう、と推察されている。
3.聖火リレー関連
次に気になったのが聖火リレーのコーナーである。このコーナーは「オリンピックの火Olympic flame」と表記され、「聖火sacred fire」とは表現されていない。これは、現在の「オリンピック憲章」でもそうであるが、以前は「オリンピックの聖火Olympic sacred fire」と憲章上でも表記されていた。しかし、このコーナー紹介メッセージには「これは古代オリンピアの神殿に絶えることなく祀られていた聖なる火sacred flameを想起させ、Olympic flameオリンピックの火は、平和、団結、友情のメッセージを伝える」と記されている。このコーナーでは、主に1992年バルセロナ大会を中心に展示されていた。
ここで珍しいものは、1992年バルセロナ大会の採火式で採火された火を保存する火釜(火の飾り坪urn、ギリシャ語でlychnosリクノス)である。これは、パンアテナイ祭で行われていた「たいまつリレー競争」の様子が描かれた壺絵を模して作られたものである。また、この92年大会では障害者アーチャーのレボジョ氏が、アーチェリーの矢で聖火台に点火したが、その時の矢のレプリカも展示してある。さらに、別のコーナーではあるが、飛行機で聖火を開催国まで運ぶ「安全灯safety torch」(フランス語ではランプと表記、東京では「聖火筒」と呼んでいた)の展示も見られた。
4.オリンピックの平和運動関係の展示
最後に、オリンピックの平和運動関係の展示を紹介しておこう。現在のオリンピックの開会式では、「象徴的放鳩 Symbolic release of Dove」を実施することが「オリンピック憲章」で定められている。この開会式の演出では、本物の鳩を飛ばさないで平和の象徴である白いハト(dove)を飛ばして、平和の祭典であるオリンピックを表現し、世界平和希求を演出するのである。そのために、このコーナーでは大きなビデオスクリーンに、いくつかの大会のその模様が映し出されていた。
地下の展示室には、「オリンピック休戦Olympic Truce」のコーナーが以前と同様に継続展示されていた。ここでは、2012年ロンドン大会時の「Olympic Truce Wallオリンピック休戦の壁」の10本の内の5本が展示されていたが、以前と違って照明がブルー系に変更になっていた。その分、展示自体は明るくなったが、選手達のサインを写真に撮るには不向きの照明になってしまったようである。
この「休戦の壁」は、2016年リオ大会からは「Olympic Truce Muralオリンピック休戦の壁画」と名前を変えた。「壁」では、立ちはだかる障害のようなマイナスイメージがあるとして、「壁画」に変更されたのである。しかしながら、2020年東京大会の組織委員会のウェブサイトでは、これを未だに間違って「壁ムラール」と表現している。それはさておき、東京2020大会では、一体どのようなデザインの壁画を設置し、それが大会後どう利用されるのであろうか? 大いに関心があるところである。
最後に
このローザンヌのTOMには、用具やユニフォームなどを含めたオリンピアン達の活躍ぶりだけでなく、オリンピックに関わる様々な歴史・文化的な側面の展示が多く見られる。古代ギリシャのオリンピック関連の展示から始まり、クーベルタン関連、聖火やトーチリレー、メダルやマスコットなどの歴史、歴代の文化プログラムのポスター、大会に向けた環境対応や都市開発のレガシーなどの展示も見ることができる。ビデオ映像で分かりやすい展示も工夫されているし、体験ゾーンもある。さらに企画展示も行われているし、クイズも取り入れ、子ども達に飽きさせずに学ぶ工夫もされていた。オリンピズムやオリンピック・ムーブメントを学ぶ学習帳や音声ガイドも準備されている。いかにも世界に開かれたTOMの方針がよく分かる展示状況と対応ぶりであった。最後に立ち寄るであろうTOMショップには、東京2020大会グッズも多く売られていた。
さて、このTOMは、2020年ローザンヌYOG大会期間中は無料で開放されていた。小学生達も学校の先生に引率されて鑑賞に訪れていた。では、今年の東京都内の各種ミュージアムは入場料無料で開放するのであろうか? 日本橋にはIOC肝いりの「オリンピック・アゴラ」が設置され、様々な催し物や展示も計画されているが有料のようである。せめて、JAPAN SPORT OLYMPIC SQAURE (JSOS)に設置されたJOCのオリンピック・ミュージアム(JOM)だけでも、大会期間中は誰にでも無料開放して欲しいものである。
・1915年4月10日にクーベルタンはローザンヌの市有地にIOC本部を移しました。 今でもシャトー・ド・ヴィディと呼ばれて保存されています。
・2019年に竣工した新IOC本部ビルは「オリンピック・ハウス」と呼ばれ、レマン湖畔のヴィディ地区に建っています。この新ビルは、157億円掛けて建設され、2万2千㎡のガラス・スチール製の現代的な建物で、500人のスタッフが働いています。
・この新ビルは、IOC誕生125周年に合わせて6月23日のオリンピックデーに開館記念式典が挙行されました。環境に配慮したサステイナブルなエコビルとなっています。
・新本部ビルが完成してからは内部には入っていませんが、旧本部ビルには何回か見学のために入館しています。スライドを参照下さい。
・旧本部内には、スポーツを題材とした芸術作品が多く展示されていました。
・参照:IOCwebsite https://olympics.com/ioc
・クーベルタンのお墓はIOC本部近くの墓地にあります。しかし、どこに墓があるか?彼のお墓に関して看板や案内版がありませんので要注意です。墓地の入り口の建物の小さな案内図が一応参考になります。
・レマン湖沿いには、様々なスポーツ施設、散歩道やサイクリング道路があります。案内版にもオリンピック首都なりの工夫が、、。
・対岸のエビアンと結ぶ港や遊覧船乗り場のウッシー港。すぐ側のウッシー城もホテルに改装されています。
・c・チャップリンも愛した街だそうで、彼のモニュメントもあります。
・少し足を伸ばすと、オードリー・ヘップバーンが晩年を過ごしたトロルシュ村があります。
・ローザンヌのすぐ側のラ・ヴォー地区には有名なワイナリーが沢山あります。UNESCOの世界遺産に登録された名勝です。レマン湖面の太陽の光が反射されるのだそうで、特に白ワインが絶品です。是非ともお求め下さい。(日本には輸入されていないようです。)
・2020年1月にローザンヌで第3回ユース・オリンピック冬季大会が開催されました。コロナのパンデミックが始まる直前でした。
・その際の視察報告をJOAのwebsiteに寄稿しましたので以下のURLからもご覧頂けます。
・参照:JOAのwebsite
JOA Review Online » 2020年ローザンヌ冬季ユースオリンピック視察報告 (olympic-academy.jp)
2020 年 3 月 30 日
1月7日(火)-8日(水)
・東海大学の大津先生(JOA理事)と一緒に羽田空港からドバイ経由でジュネーブに向かう。ジュネーブ空港ではメディアカウンターで受付後、列車のフリーチケットを入手し、ローザンヌに向かう。ローザンヌ駅からは、YOGの選手達と一緒にシャトルバスでメイン・アクレディテーション・センターへ。
・メディア用のIDを取得した後、YOGの選手村を見学。アスリート・エデュケイション・プログラム(AEP、以前のCEP)もほぼこの中で開催されているが、文化的側面のブースがほとんどなく、競技面のサポートブースが多くなってきているのが今回の特徴。JOCスタッフの藤沢さんと面談。
1月9日(木)
・午前中にIOCのオリンピック・スタディセンター(OSC)を訪問。10時に予約し、JOAの大津、三浦、石塚氏の4人でEvelyne Sassiさんと面会。事前に申請しておいた研究課題についてオリエンテーションを受け、1976年前後のIOC理事会と総会の議事録を閲覧する。データをコピーしてはいけないという方針に変更になったので調べが大変。
・OSC研究部門長のNuria Puqiに再会し、2020年設置予定のJOA HOUSEを説明し、その宣伝を依頼する。
・IOCのオリンピック・ミュージアム(TOM)再訪:5度目の入館。展示が相当入れ替わっている。2012年ロンドン大会時のオリンピック休戦の壁は5本揃っていたが、照明がブルー系に変更になっている。明るくなったが、選手達のサインを写真に撮るには不向きの照明。平和運動としてのオリンピックに関するポスターも展示されていた(別稿参照)。
・午後14時からメディア・センターでメディア向けブリーフィング。今回の2020ローザンヌYOGでは、3つの大会コンセプトを掲げている。1.New Games, 2.New Talent, 3.New Switzerlandである。、異文化交流は?
・知人の研究者である英国のAndi MiahとPhilip Barkerとメディア・センターで情報交換。JOA HOUSE計画を紹介し参加要請する。JOA理事で読売新聞の結城和香子氏とも出会う。YOG視察の意味と活用について質問され、将来のYOG大会の広島誘致とオリンピックの原点回帰運動のための視察だ、と返答。
・残念ながら、開会式のチケットは入手できずに予定変更。Flon駅近くのIOAのブースを探すが見つからず。このFlon駅近くはローザンヌ市の中心街、様々なスポーツの導入プログラム(イニシエーションプログラム)の会場の設営が続いていた。地下鉄でMalley駅まで行き、クーベルタンの墓地に向けて公園内を下る。クーベルタンの墓には、あまり人が訪れた雰囲気もなく、また新しい花輪もなく、少々残念な気持ちになる。IOCや組織員会LYOGOCは、YOGに際して花輪を捧げなくて良いのだろうかと訝しがる。その後、すぐ近くのIOCのOlympic Houseに向かう。IOC総会や理事会など諸会議が目白押しのため、セキュリティが厳しく内部撮影も不可。外から写真撮影をし、バスでホテルに戻る。メディア用IDで公共交通は全て無料。随分助かる。逆に、東京2020大会の交通が心配になる。
・帰りに、Flon駅近くで偶然開会式のPVのスタンドに遭遇。地元のテレビ中継で開会式の様子を観て愉しむことができた。PV用に準備をしてこなかったので、少々寒い。早々にホテルに帰り、部屋でニュース確認することに。
1月10日(金)
・午前中、国際オリンピック・アカデミー(IOA)と国際オリンピック休戦センター(IOTC)のブースを探して中心街のFlon地区に向かう。先ず、駅前に設置された聖火台をカメラに収める。大会マップを頼りに子どもたちへのスポーツ・イニシエーション会場巡り。フィギュアスケート、カーリング、ブレイキン、リュージュ、スキー、モータースポーツなどの会場を巡る。市民用イベントはスポーツ中心である。多くの子どもたちが学校の教師に引率されてやってきていて、大騒ぎで体験している。Flon駅近くの坂道、でようやくIOAとIOTCの共同テントを発見する。
・IOTCのFilis所長他2人のメンバーと再会を喜ぶ。子どもたちは手の甲へのタトゥなどで愉しんでいる。IOAのブースではデジタルを用いた学習をしている子供達、彼らも映像でインタラクティブに愉しんでいる。IOTCのFilis所長には、JOA HOUSEの件と「オリンピック休戦の壁」の写真をIOTCのwebsiteに掲載するように話しておいた。
・IOAスタッフのAlexandra Karaiskouさんと再開。今年は7月以降にIOA施設が改築になるので武蔵野大学の学生と9月に訪問したときは閉鎖中とのこと。残念!ディレクターのGangas氏とも久しぶりの再会。JOA HOUSEの案内をすると、午後のIOCでの会議で話しておくと言っていた。ここで皆と話していると、IOAのスタッフ達がクーベルタンのお墓の場所を知らないのに驚く。地図でお墓の場所を教えておいた。
・その後は、スポーツ・イニシエーション会場の視察。今大会新採用のスキー登山(SkiMoと呼んでいるようだ)では、スキー用シールの取扱を教えていた。スキーブーツのまま登っているので大変そう。挑戦している子供たちは、下りはおそるおそる滑り降りている。スポーツクライミングに興じる子どもたち。食事と寒さ避難用のピクニックテント内では子どもたちが昼食を取っている。学校の先生達が午前中に引率してきているようである。スイススキーのスキー学校がアルペンスキーの体験コースを造っているが、スタート地点の上に上がるためには、通りに隣接したデパートのエスカレーターで3階まで上がるという方法を利用しているアイデアには驚かされた。子どもたちは大歓声をあげて滑る人たちを応援している。その後はバイアスロン会場に。丁度お昼で終了したところ。COOPが出していたNatural コーナーでクイズなどを体験してポイントを稼ぎ、COOPのプレゼントを多数ゲット。
・午後:フィギュアスケート場の視察:フィギアのペアを観戦しに地下鉄のMallay駅に。この会場でも大勢の子どもたちが引率されて観戦中。大歓声をあげ、足踏みしながら地鳴りをさせながら応援している。小学生達だが引率の先生方も大変であろう。近くの小学校だけなのだろうか?スイス全土から来ているのであろうか?会場を出るとマスコットのYodliヨドゥリと子どもたちが遊んでいる。また各学校でヨドゥリとの記念撮影に忙しい。
・近くの開会式が行われたホッケー会場に向かう。SUMUSUNGなどのブースが設置されている。相変わらずのVRの会場は人気だ。小さなYOGオフィシャルショップがあったのでマスコットのヨドゥリとキャップを購入。屋外展示の5人のカメラマン達の作品をチェックして、元のフィギュアスケート会場に戻る。男子ショートプログラム、日本期待の鍵山君が演技する。橋本聖子オリンピック担当大臣も応援に駆けつけていた。鍵山君は連続ジャンプでフェンスにぶつかって点が低い結果となった。躓きのスタート、2日後のフリーに期待するしかない。
・最終演技者を残して、19:00のメダルセレモニー会場に向かう。会場は未だ人がまばら、小さな女の子が音楽に合わせてキレキレに踊りまくっている。LYOCOGのニュースでメダル第1号はスイスの女子選手。新種目のスキー・マウンティニアリンッグ(SkiMoスキー登山)はさすがに男女ともスイス選手。男子は双子のBussard兄弟が1,2フィニッシュ、メダルセレモニーは大混雑になりそうとの予想で早く良い場所を確保。予想通り、大観衆がスイスの勝利を祝福していた。最前列の特等席はフォトグラファー用。中にはiPhoneだけの映像で放送するペアのメディア陣も。こんな時代になったのだと痛感する。
1月11日(土)
・午前中にYOVを再訪。Athlete Education Programの調査。YOV内は競技成績の向上のためのプログラムが目白押し。せいぜいWADAのPlay Trueのプログラムが文化関係と言って良いだろう。NOC関係の人たちがガイドツアーに来ていた。医学関係、トレーニング関係、chat with championのようなセクションを見て回る。中庭のYodli Caféは選手しか入れないので残念。入り口で写真を撮っておく。
・アイスホッケー会場前のSUMUSUNGのブースを訪問。4ヵ所を回るとpinとトートバックをくれる。しかし、VRで思ったより時間がかかる。何とか4ヵ所回ってピンとバッグをゲット。知人の研究者であるAndi MiahがSUMSUNGのブースのVRを写真撮影に来ていて驚く。
・午後はフィギュア会場にてアイスダンスと女子フィギュアスケートの競技観戦。スイスでは人気種目なのだろう。土曜日なので、家族連れで子どもたちも多く観戦来ている。スイスチームへの応援は予想通りに凄いが、さすがにロシアの選手達が上位を占める。アイスダンスでは日本選手は6位であった。NHKの取材スタッフの鬼澤氏が私が日の丸を振っている姿を見つけて、女子フィギュアでも応援していたら写して良いかと許可を取りに来たので、どうぞと答えておいた。
・後半の女子フィギュアは総入れ替えだが、やはり多くの子どもたちがやってきていた。隣の席にはスイス国旗を持った多くの応援団が陣取った。スイスの選手が登場すると大歓声。しかし演技の方は地元の観客の期待に追いつかない。
・日本選手の河辺愛菜さんは、これまでの自己ベストを10点以上も更新する自己ベストの65点台。スタンドのあちこちで日の丸が振られていた。昨日は橋本大臣をはじめ多くの日本応援団がいたのだが、、、。最終滑走組はやはり強い。ロシアと韓国選手のユ・ヨン選手が70点台を出す。さすがとしか言えない。
・最終滑走者を待たずに街中に移動。Flon駅前は大勢の人が繰り出している。メダルセレモニーに向かう選手達も多い。Flon駅前は、ホコ天に変わりサーキット場が造られている。インラインスケートもここでやっていたようである。ビッグエアー会場もホコ天の道路の真ん中に設置してあったが、既に終了。PV会場は満席でパーカッションの演奏を多くの人たちが愉しんでいた。この土曜日の夜は、大勢の人たちにとってはお祭りのようである。スポーツのイニシエーションプログラムに文化プログラム。屋台のようなものも出ている。COOPの会場も子どもたちが愉しんでいる。ヌーベルバーグと題した会場では、ロックバンドの演奏。一方、市内と逆の湖畔のウッシー地区は閑散としていた。
1月12日(日)
・午前中は、先ず市内の文化プログラムサイトの一つe-Sportのコーナーに向かう。10時開始のTVゲームミュージアムである。e-Sportと名付けているが、スポーツ版TVゲームの対戦コーナーではない。TVゲームの古い物から今のものまでの展示ミュージアムでローザンヌ大学の支援のプログラムであった。任天堂のマリオやプヨもおいてあったし、初期のピンポンゲームもあった。子どもたちが遊べるコーナーもあったが、朝早いせいか、まだ人は少ない。
・最近若野達の間で人気のパルクールが10:30開始と言うことなので会場を探していくが、見つからず。インフォメーションで聞くと、ブレーキン(ブレイク・ダンス)をやっていた屋内の建物だということで、そこに向かうが、まだ会場の準備中で始まっていない。他の所もゆった意図始まる日のようである。
・道の途中にIOAとIOTCのブースがあったので再度立ち寄り、昨日の土曜日の人手の様子を聞いてみる。残念ながらあまり忙しくはなかったそうである。月曜日は子どもたちがまたやってくるとのこと。この場所はFlon駅の好位置なのだが、ブーステントの背後に何の展示ブースか分かるようなサインが必要であろう。特に、Mapへの記載が必要であろう。
・その後、急ぎフィギュアスケートのペア観戦に向かう。Malley駅で地下鉄を降りたところで日本の男子シングルの鍵山君にばったり遭遇。公式練習が終了してYOVに帰る所であろうか。
・会場は既に多くの人たちが入場している。メディアパスのおかげで良い席に座ることができる。しかし、いつもの席に移動して陣取ることに。8組しかフィギュアスケートのペアはないが、会場は大人気である。良い演技にも失敗した後の励ましの拍手もたくさん送られる。さすがにロシアのペアは強い。1,2位を占めた。シーズンベストを出すペアが多くて観戦は大いに楽しめた。
・午後:男子シングルスのフリーの観戦。日本期待の鍵山君が最終滑走者。さすがにロシアの二人が強かったが、鍵山君は美事3位から逆転優勝。ARM(アスリート・ロール・モデル)のパトリック・チャン選手が近くにいたので記念撮影させてもらった。IOC元副会長の猪谷さん夫妻も来場、挨拶しておいたが、バッハIOC会長が来ると大騒ぎに、、。簡易表彰式のマスコットギフトセレモニーを観て退場。本番の表彰は夜19:00メダル・プラザだ。
・夕方17:30からはアイスホッケーの3 on 3の観戦しに移動。初めて入ったボードワースアリーナは大きい!新しい!しかし、観客は思ったより少ない。メディア用の部屋が最上階に設けてあり、そこで試合開始まで待機。
・このローザンヌYOGで初めての導入された種目の一つである3on3だが、選手は1分交替、キーパーも半分の8分で交替、1チーム15人編成でNOCミックスである。同時に2コートで試合進行、反則などの扱いがあるのに同じ時間進行で良いのかと悩む。キーパー交代時にスキを狙われないかと思ったら、案の定、得点されてしまったチームがいた。
・日本選手達はブラックVSオレンジの試合で対戦していた。NOCミックスで国別メダルカウントを無意味にする競技方式であるが、やはり自国選手のプレーに目が行く。しかし、この新種目はきっと人気が出ないだろうと推測する。1分交替では早すぎるし、コンビどころではないだろう。3分の1のコートなので狭すぎる感もある。オフサイドもないので、通常のアイホのゴール前の攻防戦という所か。
・NHKのメディアスタッフ(鬼澤氏と櫻山さんら)も来場していた。櫻山さんから挨拶されたが、さてどのような報道をするのであろうか? 帰国したら楽しみである。(注:後日のNHKのローザンヌYOG特集ではメダルラッシュとメダル至上主義の報道で少々がっかり)
1月13日(月)
午前中にホテルをチェックアウト。地下鉄を使ってローザンヌ駅から列車でジュネーブ空港へ。帰国の途に着く。無事な旅を!今度は荷物が無事に到着することも願う!
<総括>
・競技中心のAEPになっていたのが気がかりである。町中のプログラムもスポーツ志向。異文化理解や国際交流の文化プログラムがないことが残念である。バッハ会長に代わってからの傾向であると確信した。これまでのヤングアンバサダーも競技経験者になってしまった。
・選手村への入村も半舷上陸。これでは、YOG選手達は競技が終了後に応援や異文化理解・交流プログラムの参加できる機会がほとんど無い。経費節減かもしれないが、YOGの大切な目的を見失っている。
・会場が他地域に分かれているため、選手村も分村。これもYOG選手達の学びと交流の機会を損ねている。残念!
・2020年ローザンヌ第3回冬季YOG:2020年1月9日-22日、79NOCs、参加選手1,784名(男子915名、女子869名)、ボランティア3,300名、メディア1,126名、ARM24名(Patrick Chanも)、YOGreporter15名、Young Change-maker11名、マスコット:ヨードゥリYodli、8競技16種目
・日本選手団:選手72名(男子29名、女子43名)、役員45名。鍵山優真選手がこの大会で活躍
・新種目:スキー登山(SkiMo=コルティナから冬季大会にも採用)、女子ノルディック複合、ホッケー3x3
・Learn & Share(旧CEP)プログラムはパフォーマンスアップや心身のケアプログラム中心で異文化相互理解のための文化プログラムが少ない。
・市内各地で子どもたち用のスポーツ・イニシエーションプログラムを展開。学校単位で教師が引率して体験していました。
・選手村は新築のローザンヌ大学の学生寮。選手達は前半と後半で入れ替わる方式を初採用。そのため滞在期間が従来から半分となり、異文化理解交流プログラムなどの交流体験が制限されるのが残念ですね。YOGが競技中心にシフトしたのはバッハ体制の特徴的な傾向ですね。