大地が生み出した優しい使い心地の粘土
ナイアード
ガスール(Ghassoul)
ガスール(Ghassoul)との出会い
ガスールとの初めての出会いは 1995年頃。デンマーク人の友人が 私が日本のねんどでボディクレイをやっている事を知って 彼女が愛用しているという茶色いねんどのかけらを一袋くれたのです。
彼女は世界中を旅しているステキな女性で、これは デンマークで買ったもので、髪も身体も顔も洗えるし、持ち運びしやすくて重宝している、ということでした。
わたしも この素朴さ、シンプルさは一目で気に入ったし、使ってみると もっと気に入ったので、これはどこで手に入るんだろう、どこで採れるものかしら、とずっと気に掛かっていて すごーく大事にちょっとずつ使っていたものです。
粘土科学研究所にも これを輸入しない?と提案したこともあるし、ナイアードに入った頃から これを探して輸入したい、と話したりはしていたのですが、どこのものとも分からなかったし、たぶん私以外には あまりリアリティもなかったのか、そのまま月日が過ぎて・・
ところが2000年のお正月に モロッコに旅行した人が 私が粘土をやってるからと お土産に持って帰ってくれたのです。なんと!ずーっと探していたあの粘土ではありませんか。
わーい、これは モロッコのものだったんだ、と云うことで ナイアードの3人(当時は私もナイアードのスタッフでした)で はるばるモロッコに出かけていったのが 2000年の四月でした。
モロッコの市場に行くとガスールという名前でお店には並んでいるのに これはどこから来ているのか、と訊いても、あっちの山から、というような なんとも要領を得ない返事ばかり。 前途多難な感じだったのですが、、、。
でも私の『たべものや』*時代の古い友人で モロッコにはまっている岡本翔子さん(占星学・・雑誌や本でおなじみ)の伝手をたどっていって 日本語の堪能なガイド、ドリスさんに出会うことが出来たのです。
彼は昔、フジテレビで「なるほど・ザ・ワールド」のコーディネーターをやっていて、当時番組でこのガスールを取材したことがあって、その産地にも行ったことがある、とか。ラッキ~!
おかげで遠路はるばる、アトラス山脈の採掘現場まで連れて行ってもらうことが出来ました。舗装道路からはずれて悪路と長時間の運転で 始めは機嫌のよかったベルベル人の運転手さんも最後にはもううんざり、という表情になってしまうくらいの強行軍でしたが。
やっとついたところは 採掘をしている作業員たちの宿舎や技術者の作業所があるだけで 採掘現場はそこから又遥か、むこうの山々。でも見渡す限りの山やまには ガスール採掘のためのトンネルのような穴がずっと見えていました。
そこであったフランス人の技師に このねんどはなに?と訊いたら「モンモリロナイト」とのこと。え~!と又、驚いてしまいました。ボディクレイと同じ種類のねんどだなんて!
ボディクレイのねんどは 日本列島が隆起する前の火山灰が永い時間をかけてできたナトリウム・モンモリロナイト、ガスールはモロッコの背骨といわれる古い山脈、アトラスにしかないマグネシウム・モンモリロナイトなのでした。
---後で 粘土学会の人に調べてもらったら、これはスメクタイトの一種スティブンサイトという粘土ではないか、とのことですが。(モンモリロナイトもスメクタイトの一種)
とにかく珍しい種類には違いありません。----今でも使われ続けていますが、かってのモロッコのハーレムでは ガスールとヘナは美容には欠かせないものだったようです。
ベールに覆われていても ハーレムの女性達の肌は ガスールやヘナに加え、いろんな薬草や果物を使ったスキンケアで ぴかぴかに輝いていた、ということです。
参考文献:「ハーレムの少女ファティマ」「Beauty of East」
ガスールの生まれ故郷
アトラス山脈麓の礫砂漠の中にある鉱山で、ガスールはここでのみ産出する、非常に珍しい粘土です。
私達は、鉱山まで訪れて、これが学術的にはマグネシウム・モンモリロナイトだということを知りました。
粘土学者の見解では、モンモリロナイトと同じスメクタイトの仲間、スティブンサイトではないかということですが、これもとても珍しい鉱物だそうです。
鉱山では、ガスールといっしょに貝の化石、瑪瑙や珪素などの鉱物の結晶が沢山産出します。これは、この鉱山がかって海の底だったという証しで、ミネラルの豊富な粘土が生成されたのもふしぎではありません。
地質学的には、ガスールはジュラ紀に由来する湖起源の沈殿物に火山岩の水和作用が加わり、長い年月をかけて、マグネシウムと珪素、カリウム、カルシウムが豊かな状態が地下に生まれ、ミネラル分を多く含んだ粘土の地層が生まれたもののようです。
採掘の歴史は非常に古く、鉱夫は、普段は鉱山の近くに診察室や、床屋さん、モスクもある宿舎で暮らし、金曜日(ムスリムの安息日)に家へ帰る。という生活を送り、今も昔ながらの手作業で、トンネルを掘って採掘をおこなっています。
製品は、この掘り出した粘土の中から質の良いものを選別し、水に溶かし、専用のテラスに薄くのばして、天日干しにしたものです。
ガスールの成分とはたらき
ガスールは、モロッコでは昔から洗浄剤として使われてきたミネラル分を多く含んだクレイです。ガスールを水に溶かすと泥状に溶けますが、粘土のマイナスイオンが汚れを吸着し、取り去る一方で、マグネシウムやカルシウムイオンなどのミネラルは、皮膚や髪に潤いをあたえ、敏感肌を整えるなど美容の効果をもたらします。
特に、ガスールに多く含まれている、マグネシウムイオンと、カルシウムイオンは、マグネシウムイオンはダメージを受けた角質層のバリア機能を自発的に回復促進すること、更に、カルシウムイオンがそこに加わると、皮ふ本来のバリア機能が改善することが、近年の研究で明らかになっています。
ガスールの用途
髪に:ガスールはヘアケアに使用することができます。
ねんどが皮脂や汗などによってできた汚れを吸着することで、髪のケラチン質や、頭皮を傷めることなく、汚れを取り除くことができます。まさに天然のシャンプーというわけです。顔に:ガスールは、皮脂や汗、角質から生まれる皮膚の汚れ、頭皮の汚れ、化粧品による汚れなどを吸着し、取り去りますが、マイルドに働き、取りすぎることはありません。また髪と頭皮のうるおいのバランスを維持します。石鹸などでも刺激を強く感じる敏感肌にも使用できます。パックとしてもご利用いただけます。からだに:ボディーパックとして全身に用いることができます。
フランスの粘土療法では、ラスール(ガスールのこと)は痩身作用のある粘土として知られているようです。ジュニパーやローズマリーなどより効果を高める精油をいれてパックに使います。
入浴剤として用いても 効果があります。(循環式の風呂ではご使用になれません。)
・ 身体のほか、食器などの油汚れもきれいに落とすことができます。
ガスールの使い方
基本的には 容器にガスールを入れて水、またはお湯を注ぎます。
ガスールの重さの2倍くらいの水分で泥状になりますが、もっとゆるく乳液状に溶かしても大丈夫です。水が多いと、しばらくすると分離してきますが、上澄みにもミネラルは溶け出していますから、入浴剤やローションとしてお使い頂けます。
お好みで、水の代わりにハーブウォーター(ばら水等)やお茶なども使えますし、精油やオイルを加えてより効果を上げることも可能です。保存:添加物なしの素材そのものなので、水を加えない状態では、永久的に保存できます。
水だけで溶かしたガスール(鉱物+水)は 蓋をして清潔に保存すれば、ある程度日持ちします。
他のものを加えたガスールは、早目に使い切るようにしてください。
ガスール(タブレットタイプ)
アトラス山脈の麓で採れた粘土ガスールの岩石を水で溶かし、それをテラスに拡げて天日で干しあげるとひび割れてかけら状になります。
大昔からモロッコの人々がやってきた素朴な製法です。
水に簡単に溶けるので、泥状にして使います。
ガスール(粉末タイプ)
タブレット状のものを機械で細かく粉砕し、細かい粒子の粉末にしたものです。
洗い流した後の使用感は、タブレット、粉末共に変りませんが、より溶かしやすく、使い心地もなめらかです。
当初はモロッコの国営工場で一括して製造されたものを販売していましたが、現在は、現地のナイアードの工房で ナイアードだけのために よりきめが細かく、質のよいガスールを作っています。
①器に用途に合わせた適量のガスールを入れます。
②用途に合わせた適量の水を加えます。 分量は、後述の各用途に参照してください。
③3分ほど待ちます。ガスールが水を含み、膨らみ始めます。※「ガスール粉末」は、水を加え混ぜるとペーストになります。
④触れて柔らかさを確認、肌や髪になじませます。