固体材料の分析技術に欠かせないのが、X線や真空紫外線を使った物性評価です。窒化物半導体を使うことで、紫外域の固体発光素子を作れるようになってきました。しかし、波長210 nm以下の発光には、新たな材料開発が必要になります。
本プロジェクトの目的は、真空紫外域の固体発光素子を代表とする、これまでにない光素子を実現することです。
α-(AlGa)2O3を使った真空紫外発光素子や分布ブラッグ反射鏡(DBR)の作製を行っています。α-(AlGa)2O3は、Al組成に応じて波長143 nm~238 nmの光を吸収することができる材料です。Al組成56%までn型電気伝導が得られ、Al組成が大きい場合は理論的には直接遷移型の発光が期待できます。しかし、自己束縛励起子の影響で、実験的にはまだバンド端発光を実現していません。
光学特性評価として、透過率測定、カソードルミネッセンス(CL)測定、フォトルミネッセンス(PL)測定、X線光電子分光(XPS、UPS、LEIPS)測定を用いています。特に、真空紫外域の透過率測定とPL測定は、独自の装置開発から進めています。
また、トンネル接合型GaN垂直共振器面発光レーザー、GaNトポロジカルフォトニック結晶光導波路、AlN深紫外発光素子の作製経験があります。
2025/5/31 "Fabrication of GaN topological photonic crystals", JJAP 64, 066504(2025).
2024/4/1 公益財団法人東電記念財団/基礎研究 「波長可変の真空紫外固体発光素子の開発」