私の想いが尊重される

■成年後見制度の課題

現行の成年後見制度は国連から「人権侵害の側面がある」とされ、廃止を求められています。それを受け、日本政府は2026年をめどに法改正を行う予定です。現行成年後見制度の問題点は、以下のようになります。

1.自己決定の制限:

後見人に指定された人は、法的に無能力または制限された能力を持っているため、後見人は その人の代わりに法的、医療、財務の問題について決定することになります。しかし、後見人の決定が指定された人の意志と合わない場合、紛争や論争を引き起こすことがあります。

2.権力の乱用:

一部の後見人は、指定された人の財務資源を濫用したり、虐待や無視をするなど、彼らの権限を乱用する可能性があります。これらの状況は、指定された人の利益を損なうことがあり、監督や管理の強化が必要です。

3.資源不足:

成年後見制度は、ライセンス証明やトレーニングなどのコスト、および後見人が指定された人の問題を処理するために必要な時間と労力を必要とします。一部の国の制度は資源不足の問題を抱えており、すべての必要な人々にサポートを提供できない可能性があります。

4.長期的な実施:

成年後見制度は、通常、数年または数十年にわたる長期的な実施が必要であるため、長期的なケアが必要な人にとって特に重要です。これは、後見人と指定された人の生活に大きな影響を与える可能性があり、制度の持続可能性を考慮する必要があります。

以上のように、成年後見制度は重要な法的制度ですが、指定された人の利益を適切に保護し、後見人の権利を保護するためには、監督と管理の強化が必要となります。

当事者団体による成年後見活動

当事者団体による後見活動とは、後見制度を利用する人たちが、自らの権利や利益を守るために組織化し、後見制度に関する啓発や情報提供、支援活動を行うことを指します。

当事者団体は、後見制度を利用する人たちが直面する問題や課題を共有し、経験や知識を共有しながら、後見制度をより良く使うための取り組みを行っています。例えば、後見人の選び方や、被後見人の意思決定支援の仕方、権利侵害の防止策など、具体的なアドバイスや情報提供を行うことがあります。

また、当事者団体は、後見制度に関する政策提言や、法改正を求める活動を行うこともあります。後見制度には改善が必要な点があり、その改善を求めるため、当事者団体が立場を表明し、活動することは非常に重要です。

当事者団体による後見活動は、後見制度に関する正しい知識を広めることにも役立っています。後見制度に関する誤解や偏見があるため、当事者団体が正しい情報を提供することで、後見制度を利用する人たちの自立や、社会的な理解を深めることに貢献しています。

⇒みつわは「当事者団体による成年後見活動」を行います。

みつわが行う成年後見事業

イラスト※富山テレビ放送より

みつわの成年後見事業は障害当事者の親族が主体となる「真に独立した人権機関」として組織されています。

そのことにより、親が元気なうちは「親もNPOの会員となり他の会員と共に本人を支える」⇒将来は「親亡き後も本人をよく理解した若い世代の親たちがNPOで支える」という親族団体として世代を超えた仕組みが築かれ、

・親などの親族が(法律行為・財産管理)している間は、本人の費用負担を「0円」にすることも出来る。

・本人の親も含めた当事者の視点から後見活動を相互監督されるため、権利侵害が生じにくい。

・行政やサービス提供者などによる権利侵害が疑われる状況でも、抑圧や忖度なく改善を求める声を挙げられる。

・本人の意思が十分に尊重された後見活動を、世代を連鎖して長期的に行うことができる。

というメリットがあります。

たとえ難しい課題が生じたときでも、私たちの活動に賛同し協力いただいている司法職や医療職、ソーシャルワーカーなどの、さまざまな立場のプロフェッショナルからサポートを受けることができます。

▶ 事務委任

生前事務委任契約(生きている間の法律手続きを代行)

利用料:NPO法人みつわと契約する場合、2万円/月を基準額とし、推定される業務内容に対して契約者が「妥当である」と納得いただける金額で契約します。「財産管理だけ」「法律行為だけ」といように契約内容によっては、その分安価に契約できる場合があります。

親などの親族が(法律行為・財産管理)している間は、本人の費用負担を「0円」にすることも出来ます。


生前事務委任契約とは、自分が生きているうちに、将来、身体や精神的に不自由になった場合に、必要な事務や手続きを任せる契約のことです。

この契約を結ぶことで、例えば高齢による認知症や知的・精神の障害、病気や事故による障害などにより自分の判断能力に不安がある場合でも、自分が希望する人に自分の代わりに事務や手続きを行ってもらえるようになります。

生前事務委任契約には、以下のような内容が含まれます。

●代理人の選任:自分が希望する代理人を選び、その代理人に自分の代わりに事務や手続きを行ってもらうことができます。

●委任の範囲:どのような事務や手続きを代理人に任せるかを明確にすることができます。例えば、銀行口座の管理や、医療上の決定などです。

●委任の期間:委任期間を決めることができます。一時的なものや、永続的なものがあります。

●契約解除の条件:契約を解除する条件を明確にすることができます。例えば、代理人が亡くなった場合や、自分自身が判断能力を取り戻した場合などです。

生前事務委任契約を結ぶことで、自分が将来的に身体や精神的に不自由になった場合にも、自分の意思を反映した生活が送れるようになります。

死後事務委任契約(身寄りがない方亡くなられた後の法律行為を代行)

利用料:NPO法人みつわと契約する場合、推定される業務内容に対して契約者が「妥当である」と納得いただける金額で契約します。

死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に、残された遺族や相続人が、遺産の管理や手続きなどの事務を代理人に委任する契約のことです。

この契約を結ぶことで、例えば、自分が亡くなった後に遺された家族や相続人が、遺産分割や葬儀の手続き、税金の申告や納付などの煩雑な手続きを代理人に任せることができます。

死後事務委任契約には、以下のような内容が含まれます。

●代理人の選任:自分が希望する代理人を選び、その代理人に遺産の管理や手続きを行ってもらうことができます。

●委任の範囲:どのような事務や手続きを代理人に任せるかを明確にすることができます。例えば、遺産の分割や税金の申告などです。

●委任の期間:委任期間を決めることができます。一時的なものや、永続的なものがあります。

●契約解除の条件:契約を解除する条件を明確にすることができます。例えば、代理人が亡くなった場合などです。

死後事務委任契約を結ぶことで、自分が亡くなった後にも、自分の遺志を尊重した遺産管理が行われるようになります。

生前・死後いづれの委任契約についても契約書を作成する際には、代理人の選任や委任の範囲など慎重に考える必要があります。

▶ 任意後見

利用料:NPO法人みつわと契約する場合、2万円/月を基準額とし、契約者が「妥当である」と納得いただける金額で契約します。

親などの親族が(法律行為・財産管理)している間は、本人の費用負担を「0円」にすることも出来ます。


自分が意思決定ができなくなった場合に、家族や身近な人が任意後見人として指定し、法律的な手続きに基づいて、代理人が必要な医療や日常生活などの判断を行う制度です。

具体的には、任意後見人が必要な医療や日常生活上の判断を行い、その内容を医療機関や関係機関に届け出ることで、意思決定能力を失った人の権利を保護することができます。任意後見人には、親族や友人、弁護士などが就くことができます。

契約を結んだ時点では「任意後見人候補者」です。家庭裁判所に任意後見開始申し立てを行うことにより「任意後見人」となります。申立審判後は後見監督人(要報酬)が必要です。任意後見開始後は止めることができません。任意後見開始前であれば止めることができます。


任意後見には、以下のようなメリットがあります。

●自分の意思を尊重した治療やケアが受けられる

●自分で選んだ人が代理人として指定されるため、自分の意向に沿った判断がされる

●事前に指定することで、後になって揉めることを防ぐことができる

任意後見を申し立てるには、以下の手続きが必要です。

●任意後見人を選定する:自分が任意後見人として指定したい人物を選定します。

●任意後見契約書を作成する:選定した任意後見人と共に、任意後見契約書を作成します。

 >任意後見範囲の指定:任意後見人に代理権を与える範囲を明確にします。医療や日常生活など、どのような判断を任意後見人に委ねるのかを決定します。

 >任意後見期間の指定:任意後見契約の有効期間を決定します。契約期間中は、任意後見人が自分の代わりに判断を行うことができます。

 >任意後見契約の更新方法:契約期間が終了した場合に、任意後見契約を更新する方法を指定します。

 >任意後見人に支払う報酬の指定:任意後見人に支払う報酬の金額や支払い方法を明確にします。

 >任意後見契約の解除方法:任意後見契約を解除する方法を明確にします。

●登記する:任意後見契約書を裁判所に提出し、任意後見登記簿に登録します。

ただし、任意後見人には重責が伴いますので、選定や委託には慎重に検討する必要があります。また、任意後見の費用は、契約書作成費用や登録費用が必要になる場合がありますので、事前に確認することも重要です。

▶ 成年後見

利用費用:家庭裁判所の審判に拠る ※基準額2万円/月 財産が少ない方は市町村が実施する成年後見制度利用支援事業を適用できる場合が有ります。

自分で意思決定ができなくなった場合に、裁判所から後見人を指定してもらい、その後見人が自分の財産管理や生活上の判断を行う制度です。成年後見制度は、高齢化社会において、認知症や障害、疾病などで自分で判断ができなくなった人を守るための重要な制度となっています。

成年後見制度では、裁判所から指定された後見人が被後見人の財産管理や生活上の判断を行います。成年後見人等には、親族や友人、弁護士、司法書士、社会福祉士などが候補者になることができます。

後見人等は、被後見人の意思を尊重して、財産管理や生活上の判断を行うことが求められます。

成年後見制度を利用するには、被後見人自身または四親等以内の親族、必要な時には市町村長が裁判所に申し立てを行います。申し立てには、被後見人の状況や事情、後見人についての情報などが必要となります。裁判所は、申し立てを受けた後、必要な審査を行い、被後見人に最適な後見人を指定します。※必ず候補者が選ばれるわけではありません。

成年後見制度には、自分で意思決定ができなくなった場合に、自分の財産や生活について安心して任せることができるメリットがあります。しかし、後見人には責任があり、被後見人の生活や財産を守るために、常に注意を払う必要があります。また、被後見人自身が成年後見の手続きを行う場合には、自分の意志を尊重して後見人候補者を選定することが重要です。