<南幌町の魅力、農業の魅力>
平池:
鍋山さんの目から見た、南幌町や農業についての魅力を教えてください。
鍋山:
南幌町は電車やバスなどの交通の便はイマイチだけど、車を使えば札幌から30分くらいで着く、すごくいい場所ですね。空港も近いし。
人口も、昔の話だけど一時期減ったのだけど、今はどんどん増えていっている。特にこの3年はずいぶんと増え続けている。
平池:
冬で雪多いですけども、夏になると緑が多くて気持ちいいですよね。
鍋山:
緑が多くて、山ひとつもないのですよね。まっ平。
僕は農業をやる場所としては最高の環境と思いますね。
農家一件当たりの面積が、日本一ではないかと思っています(笑)
そんな農業に適した地域なんで、後継者もほとんどいますね。だから、耕作放棄地はゼロ。農地が欲しい人は順番待ちになっていて、地価も下がらない。
<NOAHの強みとは?>
平池:
広い面積で農業をされているわけですが、NOAHさんが持つ強みや農産自身が持っている強みって、鍋山さんから見てどんなところがありますか?
鍋山:
南幌町全般に言えるんだけど、祖父の時代から基盤整備やり続けていて、NOAHの地域だと既に3、4回手を入れている。20年に1回くらい。
その分お金かかるけどね。だから、ものすごく土地が強い。前回は平成20年に行ったので、あと8年くらいでまた基盤整備を行う予定。水暗渠が効かなくなってくるので。
平池:
一時、暗渠からメタンガスを抜けないかとか考えたことがあるんですが。
鍋山:
暗渠から水を抜いているんで、それをそのままにしておくと地盤が下がってしまう。
50センチとか。その前に基盤整備をやっているんですよ。
平池:
そういうことですか。
鍋山:
基盤整備をして常に整えておかないと、元の泥炭ではpHが低すぎて作物がうまく育たない。
平池:
長期でみた土壌改良の継続がカギである、と。
鍋山:
例えば10年、20年とか、そういう先で考えた時、南幌町の農業のありようというか、見え方というか「続ける」ことが必要じゃないかと思うんですよ。そういう環境なんで、南幌町でこれから畜産業をする人はいないですね。
平池:
クラウドファンディングの返礼品でもご協力いただいていますね。
鍋山:
ゆめぴりかですよね。
今後、暑さに強い銘柄品を早く開発してくれなきゃ困るかもしれないね。美味しいっていうか、暑さに強い銘柄。今作っているのはあまり暑さに強くないので黒応している。
北海道が「暑さに強い品種を変え作ります」ってなってから何年かかるか、だね。
平池:
暑さに強い銘柄が出てくると、全道的にも作るお米の品質とかも変わってくるでしょうね。
鍋山:
食品がどうなるかという問題はありますね。美味しくないとね売れないから、作っている方も気が抜けない。
鍋山:
南幌町では、若い農家さん達は50~80ヘクタール持っているからね。お米以外でも、麦や大豆を中心に作るという人もいる。全て機械でできるから。
平池:
なるほど。
鍋山:
それこそ、そういうのはスマート農業化していっている最中でですね。
<スマート農業への期待>
鍋山:
スマート農業といえば、お米でもドローン使っています。トラクターも自動操舵何 台もついているし。
平池:
今後、自動化などがもっと進む、というイメージですね。
鍋山:
自動化も、もっとセンサー技術が進んで欲しいですね。同じ田圃の中でも固いところと柔らかいところがあります。今のトラクターの自動操舵じゃそれが判別できない。判別できないと、やはり今は人がついていないとね。
平池:
多分、今の自動化は「人が乗らなくても動く」というのが最初の段階になっているんですかね。地盤の形状の認識とかは、まだこれから。
鍋山:
そうですね。動かすだけの最初の段階っていう感じですよね。スマート機器がどこまで進んでいくかもわかんないけど。これからはもう病害虫防除もみんな、機器とかで見極められるといいけれど。
今は高い精度は求められない。葉の裏を見て初めてわかる病気もあるし。そういう箇所はドローンでは確認できない。
平池:
見つかった時には、もう周りにそのときにはもう映っている可能性があるかも、という感じですか。
鍋山:
そう。そういうときは、周囲含めて全部防除しなきゃならない。
平池:
NOAHさんには結構若い方がたくさんいらっしゃいますよね。
鍋山:
ありがたいことにね。30代40代が多いですね。その中で、作業する機器スキルっていうのがいくつぐらいが限界なのかな、スタートするのに限界あるのかな、とも思っている。
でも、機器を使って作業時間が短くなれば、子育てもできるじゃないですか。あとは、機械いじりが好きだからできる、というのもあると思うけど。
平池:
南幌町後継者はあんまり不自由してないっていう話ですよね。いや、全くしてない。
鍋山:
本当に土地がないからってよその町まで買いに行く人もいるからね(笑)。みんな、いろんな手段を使って農業を続けている。
平池:
活力のある地域なのですね。
<脱炭素の活動>
平池:
田圃といえば、中干でメタンガスを抑制するのもやられているんですよね。
鍋山:
Jクレジットね。結構前からやっていますね。今、田圃以外の場所でも脱炭素のオペレーションをやりたいと考えている。
畑もクレジット活動がありますよね。だからJクレジットの契約している会社に「紹介しに来てほしい」と頼んでいる最中。
平池:
こちらからもご紹介してよろしいですか?
鍋山:
ぜひ。
<NDLの『ウェルFar”M”』プロジェクトへの期待>
平池:
弊社がPoCをお願いしている「ウェルFar“M”」プロジェクトについて、鍋山さんの期待する内容をいただければ。
鍋山:
田圃を維持していく中で基盤整備以外にも目線を向けないといけない。今ある事業と違うことをしないと、費用的にも採択されない。
今、何かないかと悩んでいるんだけど”センサーを使って人の手間を減らすこと”もその中の一つ。
例えば、用水の注水・排水をセンサーで全部自動化させるっていう方向でわかりやすいのかな、と。水の量や温度とか。
平池:
遠隔から圃場の状態を数値や画像で管理・監視できるといい、ということでしょうか。
鍋山:
今あるセンサーは、ほとんどが水位調整ぐらいでね。だから温度差も情報を得られて深水とかを勝手に調整してくれると助かるね。
単純に考えると、天気予報の関係から温度の項目引っ張って、と思うけど、圃場と天気予報はずれるから。
冷害危険期って言って7月出水前から出水半分が終わったぐらい、2、3週間ぐらい深水にするんだけれども、ここ何年間か関係ない状況が続いている。その時は人が見定めしなきゃいけない。
平池:
そういう意味でも、水位や温度とかの機能を持ったセンサーやそのデータを利用した制御が欲しいということですね。
鍋山:
そうです。そのための「第一歩」にしてほしいなって感じですよね。
平池:
スマートウォッチで人の健康を測るというのは、作業する皆さんに受け入れられそうですか。
鍋山:
意外とみんな若いから、健康とか、そうそういうことはあんまり考えたことなかったからね。
平池:
例えば、動けないような「不測の事態」が起きたとき。起きないようにするのが 絶対条件なんですけど、どうしても起きちゃう事故はある。そのときには早く連絡できる手段であるとか、そういうのがあると連絡手段が必要と思って。
鍋山:
そうですね。どっかに赤いボタンとか落ちづらいボタンでねピッと長押しをすると消防署に繋がるとか。
親戚も作業中の事故でけがをして、その時は家族が見つけたから助かったんだけど。
平池:
あと、これからどんどん気温が上がっていく中での作業というのが健康にどう影響するかな、と。
鍋山:
結構ね、年齢関係ないですよ。
作業しだすと元気になっちゃうから、水分を取ることを忘れて、いきなり足が攣って動けなくなるとか。
平池:
そういう意味で、まずは「その時の危険を知らせる」手段として、次に気温や湿度・日照の環境データと心拍集や体温などの身体データから「次に危険が起こらないための方法」を導こうとしています。
鍋山:
1人で倒れちゃったらそれっきりだものね。
<農業の展望>
平池:
今回、弊社のプロジェクトにご協力いただくわけですが、さらに先の農業についてのご意見をいただいていいですか。
鍋山:
やはり、10年先に15年先っていうのを考えると、今、手を出すべきところに早く着手することが必要かな、と。
平成に入ってからずっと大変な思いをしていたけど、平成20年から少しずつ上向きだした。
きっと、これからは農業がいい職業になると思う。今はお米の流通で価格上昇が続いているけど、他の農作物も今後は上がるのではないかと考えている。生産者の人口が減っているから仕方がない。
平池:
最近は生産者の顔が見える野菜がたくさんありますもんね。みんな顔写真入りで。
鍋山:
うん、販売はこれからもどんどん増えていくだろうね。売り方としてそういう方法もある、っていうことですね。
平池:
これから農業自体が発展していくのにも、我々まさにこういうのを使ってさらにお手伝いできれば、と思いますよね。
鍋山:
利用できる農家がどれぐらいいるかな、というところかな。それは私達も含めて。
平池:
その利用を進めるためにもっとわかりやすいようにしていかないと駄目なんだろうな、と常に考えますね。
鍋山:
頑張ってください。期待しています。
平池:
ありがとうございます。
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~健康アプリについて~
農業労働から全国民の健康促進へ:革新的なアプリ開発への情熱
我々ノースDXラボは、農業労働におけるデータ解析とAI技術を応用し、全国民の健康促進に貢献する革新的なアプリを開発したいという強い思いを持っています。農業は、私たちの食生活の基盤であり、健康と密接に関わっています。農業労働者の身体活動データや環境データを解析することで、個々人の健康状態を把握し、生活習慣改善や健康維持に役立つ情報を提供できると確信しています。
食と健康の未来へ
農業労働におけるデータ解析とAI技術を応用したアプリ開発は、食と健康の未来を切り拓く可能性を秘めています。我々は、このアプリを通じて、全国民の健康寿命の延伸と生活の質の向上に貢献したいと強く願っています。
このプロジェクトはその礎になっていくことでしょう。
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平池CEOの思い
私たちの原動力、それは「働く人たちの幸福と充実を追求する」という熱き想いです。
人それぞれ幸福や充実の形は違えど、私たちの行動が、最終的に「人」へ還元されることは間違いありません。だからこそ私たちは、「人」のために、まだ見ぬ課題を掘り起こし、その解決策を粘り強く探求し、実現へと邁進するのです。
今回、私たちは農業生産者の皆様と深く交流する機会を得ました。現状を目の当たりにし、農業を通して「幸福」と「充実」を届けることこそ、私たちの使命だと確信しました。そして、その仕組みを広く社会に展開することで、より多くの人々へ貢献できると信じています。
その第一歩が、情熱を込めて始動する「ウェルFar“M”」プロジェクトです。
単なる「健康」の追求に留まりません。私たちを取り巻く環境、日々の行動、それら全ての情報を集約し、分析することで、一人ひとりの状況に最適な健康を実現する。この壮大な目標に、私たちは全力を賭けます。
「ウェルFar“M”」が皆様の手に届き、新たな幸福と充実をもたらす日を、心待ちにしております。