RESEARCH

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生殖幹細胞・エネルギー恒常性・発生タイミング・寄生の器官連関メカニズムの解明

当研究室は、生殖幹細胞増殖・エネルギー代謝・発生タイミング・寄生成立といった様々な生命現象が、個体内外の環境の変化に対応して適切に調節されるために、個体の持つ神経、内分泌器官、そして様々な末梢器官が連動するメカニズム(器官連関メカニズム)に関心を持っています。さらに、これらの基礎的知見に基づいた創農薬を目指した研究を行なっています。共同研究者のお力も得ながら、研究手法にはあまりこだわりなくチャレンジするようにしていますが、現在の主なアプローチは分子遺伝学、発生生物学、細胞生物学、生化学、生理学、構造生物学、そしてバイオイメージングに基づくものです。

研究対象は昆虫です。主にはキイロショウジョウバエ Drosophila melanogaster と寄生蜂 Asobara japonica、また系によってはネッタイシマカ Aedes aegypti やカイコガ Bombyx mori を導入しています。最近ご無沙汰ですが、線虫 Caenorhabditis elegans も使えます。

生殖細胞形成とエネルギー代謝の恒常性の臓器連環メカニズム

多細胞生物にとって、生命体の恒常性を適切に維持することは極めて重要です。我々は、古典的な神経-内分泌経路、さらには腸などの器官からのシグナルが、生殖幹細胞の増殖やエネルギー代謝の恒常性の制御に大きな影響を及ぼすことを解明しつつあります。また、これらのシステムが老化に伴う生殖機能低下やエネルギー代謝低下とどのように結びつくかの解明にも関心があります。 筑波大学注目の研究のここここの記事をご参照ください。

脱皮と変態のタイミング

昆虫ステロイドホルモン「エクジステロイド」の生合成のメカニズムの解明を中心に、研究を進めています。また、エクジステロイド生合成活性を前胸腺と脳神経系などとの間の器官間相互作用の解明を進め、特に栄養と発生の関係("Nutri-Developmental Biology")に興味を持っています。これまでの研究のアプローチについては、農芸化学奨励賞受賞講演要旨生命環境科学研究科のサイトにまとめました。また恥ずかしながら、YouTube でインタビューが公開されています。太田出版『ケトル』の記事、島田による TSUKUBA SCIENCE のインタビュー記事も参照下さい。

寄生蜂

野外においては、多くの昆虫が寄生蜂による感染を受けています。ショウジョウバエに関していえば、野外では実は50%もの個体が実は寄生蜂に乗っ取られているとの見積もりすらあります。我々は、ショウジョウバエを宿主とする寄生蜂を用いて、寄生蜂の寄生成功のためには宿主発生がどのような変化を遂げる必要があるのかを、分子遺伝学やオミクスの手法によって研究をはじめています。ショウジョウバエだけの観察では決して見ることのできない生物ー生物間相互作用の新しいモデルになると期待しています。

創農薬へのチャレンジ

さらに我々は、昆虫発育に関与する分子を効率よく阻害する化合物を探索することで、環境調和型の農薬の開発という萌芽的研究にも挑戦しています。本研究は、東京大学創薬機構高エネルギー加速器研究機構などとの共同研究であり、大規模化合物ライブラリーを用いたケミカルスクリーニングやX線結晶構造解析に着手しています。