概要
新しい技術やシステムを開発しても、現場で使ってもらえなければ意味がありません。データ知識構造化も同様で、現場に埋め込む活動をデザインする必要があります。
私達の研究室では、情報デザイン研究者と連携し、新たな技術と活動のデザインという社会実装を実践します。現場での実践を通して、方法論を改良します。また、人と人、人とロボットなどの対話やインタラクションを分析し、認知的な人の特性を明らかにし、活動のデザインや知識の形式化や提供のためのユーザインタフェースの研究、ARやVR空間の構築に役立てます。
サービスインテリジェンス
各コミュニティの人々のインテリジェンス(観察、判断、協働力)を高める技術を開発しています。
具体的には以下のようにアプローチします。
・人の行動や身体動作の計測技術と人の気づきなどの情報共有技術により観察力を高めます。
・活動の知識を体系化して人の判断応力を向上することを支援する知識構造化技術により判断力を高めます。
・生活現象モデリング技術と新サービス設計技術によりコミュニティの内外ともに協働力を高めます。
例えば、ファシリテータによる知識構造化ワークショップの実践[8]では、次のようなことが起こります。
・目的を語ることで、その行為を行う想いや熱意が表出!
・その行為の根拠を語ることで、身に迫る体験が共有!
・想いと体験の共有により知識と意識が変革!
・意識が変わる、見方が変わる、行動が変わる!
この技術により、リスク低減、生産性向上、品質向上を目指しています。 コミュニティとしては、介護、看護、健康増進だけでなく、教育、製造業なども対象としています。
学習支援システム
専門家の知識構造化をもとに、様々な情報を加味し、学習の最適化とテーラーメイド化する方法を研究します。これにより、自発的な行動を引き出すコーチングを実現します。
将来的には、AIによるコーチングを目指します。なんでも教えてくれる「生き字引AI」ではなく、人の進化を支援する「哲学AI」「禅問答AI」を目指します[7]。
参考文献
[7]. 西村拓一. サービスインテリジェンス研究チーム [Internet]. 人工知能研究センター. 2019 [cited 2023 Apr 25]. Available from: https://www.airc.aist.go.jp/sirt/
[8]. 山下積徳, 梅村浩之, 三宅正人, 西村拓一. 産業技術総合研究所(産総研との共同研究 [Internet]. りんご教室. 2019 [cited 2022 May 15]. Available from: http://www.tsuminory.jp/images/contents/collaboration/20190523data.pdf
健康増進のための運動・栄養・メンタルの知識構造化および行動変容支援技術や、健康増進ベースの地域活性化支援、オリンピック選手を支援する身体知基盤など、現場に密着して健康増進に関する研究をします。
体験型健康医学教室(りんご教室)との共同研究[8]の例では、りんご教室を実施できる健康医学士の育成を加速し多数の教室でも高品質で展開可能できることを目指し、りんご教室指導者の莫大な知識をオントロジーで構造化し、対話的な人材育成支援AIを開発しようと試みています。りんご教室では、ほぼ全員の教室参加者が、学んだ運動、栄養、精神、医学の知識を自分ごととして捉え健康習慣を身に着けています。しかしながら、指導者に莫大な知識や実践力が求められ、体験型にするための道具やプログラムも複雑なため、現在数教室で展開するのみです。地域の包括ケアだけでなく民生委員、薬剤師、保健師、警察、消防などに参加いただき、全住民にリーチするなど、生涯活躍する地域の人々の活動のデザインを情報デザインの研究者と連携して進めていきます。
また、研究増進のためのダンスサークルを立ち上げています(https://jaistdc.com/)。各自が好きな動きを持ち寄り、音楽に合わせて皆で実践することで身体知の研究を行う研究サークルです。
参考文献
[7]. 西村拓一. サービスインテリジェンス研究チーム [Internet]. 人工知能研究センター. 2019 [cited 2023 Apr 25]. Available from: https://www.airc.aist.go.jp/sirt/
[8]. 山下積徳, 梅村浩之, 三宅正人, 西村拓一. 産業技術総合研究所(産総研との共同研究 [Internet]. りんご教室. 2019 [cited 2022 May 15]. Available from: http://www.tsuminory.jp/images/contents/collaboration/20190523data.pdf