研究テーマ
"集団心理"の研究:人間集団の光と影
”集団心理”の研究:人間集団の光と影
私,縄田健悟は,いわゆる”集団心理”を研究しています。
「集団における人間の心理と行動」が大きな研究テーマです。
人は”群れ”で暮らす生き物です。古来のサバンナやジャングルで狩猟・採集をしてきたムラ社会から,現代の高度に組織化されたビジネス産業・組織まで,集団で暮らすことが人間が他の種と異なる大きな特徴の一つです。
人は集団の中で,
他成員とお互いに助け合い,
他成員から仲間はずれにされないように人目を気にする一方で,
他成員から賞賛され,高い地位に着くことに喜び,
集団の一員として集団に愛着を持ち,
ときには,他の集団と紛争状態に陥りながら,
生きています。
縄田は集団の光と影の両側面から,人間の"集団心理"にアプローチしています。
(1). 影の側面:集団の暴力と紛争
[1a] 集団間紛争/集団間葛藤
[1b] 集団暴力
(2). 光の側面:高パフォーマンスを生み出すチームワーク
(1)影の側面:集団の暴力と紛争
集団において人が暴力的・攻撃的になる心理を研究しています。
ともに重なるものですが,[1a] 集団間紛争と[1b]集団暴力を主な研究対象として研究しています。
[1a]. 集団間紛争/集団間葛藤
縄田の研究のメインテーマの一つは集団間紛争/集団間葛藤 (intergroup conflict) です。
集団間紛争/集団間葛藤に関する社会心理学的研究の研究はこちらの書籍にまとめているので,御覧ください。
→ 縄田 (2022). 暴力と紛争の“集団心理”:いがみ合う世界への社会心理学からのアプローチ ちとせプレス
2つ(or複数)の集団の間の関係を集団間関係 (intergroup relations) と言います。
そのうち,集団間関係が悪化し,集団と集団が互いに争いあった状態を特に集団間紛争と呼びます。
典型的なものとしては戦争や民族紛争です。戦争ほど大規模なものではなくとも,不良グループどうしの小競り合いや,職場での派閥争い,といったものも全て集団間紛争です。
このように,集団対集団で生じる争いごとがいったいなぜ起きるのか,どのように発生し,激化していくのかに関して,縄田は社会心理学,特にグループ・ダイナミックスの立場からアプローチしています。
集団間紛争に関しては,下記のキーワードに関する研究を行ってきました。
集団間代理報復
→ 縄田・山口 (2011a) 実社心研,縄田・山口 (2011b) 社心研,Nawata & Yamaguchi (2013) AJSP集合的被害感
→ 縄田・山口 (2011) 心研多元的無知と社会規範
→ Nawata et al. (2016) JJAP集団間感情
→ 縄田 (2015) エモーションスタディーズ,感情心理学ハンドブック攻撃者の英雄視と賞賛過程
→ Nawata (2020) GPIR,縄田・山口 (2011b) 社心研,Nawata & Yamaguchi (2013) AJSP名誉文化と暴力・戦争
→ Nawata (2020) GPIR日中関係の質問票調査
→ 縄田・山口 (2011) 心研,Huang, Nawata, et al. (2015) など
[1b].集団の暴力性
最近は集団間紛争のみならず,より幅を広げて集団が持つ暴力性を対象に研究を進めています。
縄田健悟 (2022). 暴力と紛争の“集団心理”:いがみ合う世界への社会心理学からのアプローチ ちとせプレス
研究キーワード:
集団暴行,集団非行,ジェノサイド,暴動,没個性化,集団規範と評判,etc.
(2) 光の側面:高パフォーマンスを生み出すチームワーク
集団の持つ光の側面として,企業組織で働く人のチームワーク研究に関する研究を行なっています。
現在の企業組織において,優れたチームワークを発揮することは極めて重要な課題であり,その心理・行動的メカニズムの解明が求められます。
心理学では個人に着目した研究が多いのですが,特に我々は集団全体が創発するチームレベルの効果に着目した検討を行なっています。
チームワークは,1人のメンバーだけが発揮すればいいのではなく,チーム全体で発揮できないといけません。
チームワークに関しては,下記のキーワードの研究を行ってきました。
チーム・パフォーマンス
→ 縄田他 (2014) 心研,縄田他 (2014) 産組心研,Nawata et al. (2020) TPM,縄田他 (2021)産組心研,
縄田他 (2024) 心研チーム・プロセス
→ 縄田他 (2014) 心研,Nawata et al. (2020) TPM,縄田他 (2024)心研暗黙の協調
→ 秋保・縄田・他 (2018) 社心研,Nawata et al. (2020) TPM対人交流記憶システム(トランザクティブ・メモリー・システム)
→ Nawata et al. (2020) TPMチームレベル効果検証のためのマルチレベル分析(マルチレベル構造方程式モデリング)
→ 縄田他 (2014) 心研,縄田他(2014)産組心研,Nawata et al. (2020) TPM心理的安全性
→ 今から~チーム・バーチャリティ,バーチャル・チーム(遠隔チーム,リモートチーム)
→ 縄田他 (2021) 産組心研,縄田他 (2023) 社心研