成瀬先生は一流です成瀬先生は、学生時代から剣道をはじめ空手、合気道などさまざまな格闘技を経験してこられました。といっても、その風貌は武道派というよりは気の優しい文の人、ひたむきにあることに取り組んでいる求道者といった風情です。人当たりのとても柔らかな方で、先生が声を荒げたり、大きな声を出したりするのを聴いたことのある生徒は皆無ではないでしょうか? 先生が太極拳と出会ったのは30歳を少し越えた頃、今から20年ほど前のことです。それ以来、太極拳からは離れられなくなりました。先生は太極拳をする中で、とても科学的に人間の身体を捉えています。人間の体と体が、対極し、ある意思を持ってぶつかり合うときに(つまり戦うときに)どうすれば一番効果的に、相手により少ないエネルギーでより大きなダメージを与えうるか?ということを合理的に考えます。しかも、全てシミュレーションでです。このシミュレーションであるというところは、太極拳の重要な要素です。このことの結果として、太極拳は健康維持のための体操を目的とする人からダイエットを目的とする人、本格的な武道研究者までを惹きつける幅の広いものとなっています。
偉大で長大な歴史を持つ中国が生んだ太極拳 「どうしたら一番強くなれるのか?」徒手空拳のみを使って「どこまで小はよく大を制することができるのか?」この疑問を2千年とか3千年とかのオーダーで問い続けてきた結果として、今の太極拳の大元となる陳家太極拳が生まれました。想像していくと素晴らしくロマンティックではありませんか。太極拳は安全です。太極拳をやっていて怪我をしたと言う話はあまり聞いたことがありません。競技会で賞を取るために練習をやりすぎたりすると、故障をすることはあると思いますが、普通に練習をしていてどこかを痛めたり、心臓に極度の負担がかかったりすることはありません。この心臓への負担がかなり少ないということは特筆すべきことです。心臓の鼓動がゆったり普通に安定して打っているのに、全身からは汗が噴出してくるのです。こんなこと他のスポーツで考えられるでしょうか?だんだん慣れてくると、姿勢を低くして練習していくことになります。すると下半身の筋肉が時には悲鳴を上げるぐらいになることもあります。しかし、心拍数は上がりません。なぜでしょう?それは動きが遅いからです。ゆっくりした動きの中で、自分に合ったペースで好きなだけ負荷をかけることができるのです。 この超優良有酸素運動ともいうべき太極拳が、お子さん(集中力が続けばの話です、実際問題、お子さんにはゆっくり過ぎてあまり人気がありません)からお年寄りまで全ての人々に受け入れられる素地がここにあるのです 全ては自分で自分をコントロールすることから始まり、そこに終わります。たとえば練習のし過ぎでどこかを故障してしまっても、それは先生や仲間が強制したからではなく、自分で自分をコントロールできない結果としてそうなってしまうのです。太極拳は追求していくと奥行きが深く、取り組んでいくと、その時々のテーマが目の前に現れてきます。長く続ければ続けるほど面白くなりますよ。 (文責・烏山教室 元リーダー須田)