研究内容
Research
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■ 研究テーマ
(1) 環境負荷の小さい次世代半導体材料・デバイスの作製と評価
(2) 新規透明導電膜を用いたフレキシブルデバイスの開発
(3) 次世代低消費エネルギー不揮発性抵抗変化メモリーのための材料開発
(4) プラズマ化学反応による新奇物質合成・変換技術の開発
(5) プラズマによる新規炭素固定技術・窒素固定技術の開発
(6) 気液界面プラズマの農業・医療応用
研究トピックス
(1) 酸化物エレクトロニクス材料薄膜の開発とデバイス応用
スパッタ法、パルスレーザー成長(PLD)法、化学気相成長(CVD)法など様々な手法を駆使して酸化物エレクトロニクス材料薄膜を作製し、これらの薄膜の新規エレクトロニクスデバイスへの応用などを手がけています。
①磁性透明導電膜の作製技術の開発とデバイス応用
磁気機能を付与した透明導電膜(磁性透明導電膜 [例:MnドープITO薄膜])を開発しています。透明導電膜の高いキャリア密度に着目し、磁性透明導電膜における非局在キャリア誘起強磁性発現のメカニズムの解明に向けた研究を進めています。磁性透明導電膜を用いたデバイス応用技術は、既存の透明導電膜利用デバイスの生産ラインにもスムーズに導入できるなど事業化面でのメリットも大きいです。ポリマー基板上への作製にも成功しており、透明フレキシブルデバイスの開発にも取り組んでいます。
「磁性透明導電膜」の位置づけ
「磁性透明導電膜」は、透明導電膜、磁性半導体、磁気光学材料といった従来の材料に新たな価値を付加する材料です。
② 抵抗変化型不揮発性メモリーの開発
次世代ユニバーサルメモリーの有力候補である抵抗変化型不揮発性メモリー(ReRAM: Resistive Random Access Memory)の実用化に向けて、印加パルス電圧の極性に依存して巨大かつ安定な抵抗変化が生じる複合マンガン酸化物薄膜の作製技術(MOCVD法、スパッタ法、PLD法など)を開発しています。抵抗スイッチングのメカニズムを解明し、素子構造の最適化の指針を得ることを目的に研究を進めています。
(2) 気液界面プラズマによる新しい物質合成・変換プロセスの開発と応用
大気圧非平衡プラズマと液体から成る新たな反応場(気液界面プラズマプロセス)を開発しています。特に、気液界面プラズマを用いた炭素固定ならびに窒素固定プロセスの開発を進めています。気液界面プラズマ反応のメカニズムを解明し、さらなる物質変換効率の向上を進めるとともに、プラズマ生成物の特性を活用し、農業・医療応用など、さまざまな分野への応用の可能性を探究しています。
① 気液界面プラズマによる新規炭素固定法の開拓と医療応用
二酸化炭素の削減・固定化のための技術開発の必要性が高まっています。ただ、熱力学的に安定なCO2分子を人工的に活性化して他の有用物質に変換するためのハードルは学術的にも非常に高いです。中村研究室では、高エネルギー効率でCO2を物質変換できる革新的プラズマ反応場の開発を進めています。さらに、プラズマ合成により生成した過酸化物の医療応用のための研究にも取り組んでいます。
密閉型気液界面プラズマを活用した新たな反応場の開発とプロセス応用
二相混合ヘテロ媒質でのマイクロ放電プラズマ生成技術の発展として、密閉型CO2(気)/H2O(液)界面プラズマ反応を利用したCO2固定化技術の開発を進めています。独自に開発した密閉型気液界面プラズマを活用することによって、消毒・殺菌に有用な過酸化物を生成できることから、汚水処理等の環境浄化や工業用酸化剤としての利用に加えて、優れた酸化・殺菌力を生かした高付加価値な新規用途(食品産業、医療等への適用)の開拓にも取り組んでいます。
気液界面プラズマのin situ分光診断
気液界面プラズマ中でどのような化学反応が生じているのかを調べるための分光学的手法の開発を進め、その反応メカニズムの解析を進めています。プラズマ反応の特性(プラズマパラメータ、活性種の種別・空間分布・寿命など)に関する基礎的実験データを蓄積し、所望の化合物を選択合成可能なプロセスの実現を目指しています。
② 気液界面プラズマによる新規窒素固定法の開拓と農業応用
窒素を含むガスと水を用いれば、気液界面プラズマ反応により過酸化物とともに窒素肥料として用いることのできる活性窒素種も同時に生成することができます。気液界面プラズマによる生成物水溶液は、植物の成長を阻害する菌や微生物を過酸化物により不活性化することに加えて、窒素酸化物により植物の成長を促進できる機能を合わせ持つことから、その農業応用のための研究に取り組んでいます。
気液界面プラズマによる活性窒素種の選択合成プロセスの開発
プラズマを用いた窒素固定に最適な気液界面放電方式の開発を進めています。ワイヤー・イン・ノズル放電方式など独自に開発した気液界面プラズマにおいて、プラズマ生成条件を制御することにより、空気と水のみから硝酸(硝酸イオン、あるいは、硝酸態窒素)と亜硝酸(亜硝酸イオン、あるいは、亜硝酸態窒素)などを生成し、その生成量の比を系統的に制御できる技術を開発するなどの成果を上げています。
気液界面プラズマによる窒素固定プロセスの反応解析
種々の分光学的手段を駆使して気液界面プラズマをその場診断することにより反応メカニズムの解明を進めています。得られたデータを駆使して放電条件を最適化し、亜硝酸イオンや硝酸イオンやアンモニウムイオンなどの各種窒素化合物イオンの選択合成を実現することにより、プラズマを用いた新規窒素固定法の開発に取り組んでいます。