MarianS

(関連作品)

1・MarianS

2Midnight;pooL

3・Merry rebirthdaY

4・Missing/hanD

5・Mixing・desperadO


(登場人物)

・メアリアン:♀

元傭兵、現殺し屋の女性。


・マリアン:♂

情報屋の男性。


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(役表)

メアリアン:

マリアン:

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メアリアン:Hello, hello. I'm home.

      Hello ?

      マミーのお帰りだよ、さっさと開けろよ。


マリアン:合言葉は。


メアリアン:……はァ?


マリアン:合言葉は。


メアリアン:おいおいなんだ、いつからテメェはオートロックの商売を始めたんだ?


マリアン:うるせェ、合言葉は。

     10秒以内に答えろ。


メアリアン:ハ、くっだらねェ。

      いいご身分だなオイ。

      テメェからお呼び立てしといて、通せんぼとはよ?

      クッセェ棺桶の中で食うチキンは美味いかよ、えェ?


マリアン:次関係ねェ事抜かしたら、スラッグがその小奇麗な顔をケツの穴にするぞ。

     最後のチャンスだ。

     合言葉は。


メアリアン:あーあー、ハイハイ。

      壊れたレコードかテメェは、アイコトバアイコトバってバカみてェに。

      だったらテメェが先に、さっさと口上を垂れろ。

      パスワードはテメェからだろうが。

      鍵が欲しけりゃ、錠を先に出せってんだよ、クソボケ。

      こんなしょうもねェギャグこれ以上続けるンなら、

      こッからRPGブチ込んで、ミートソースにしてやっても良いんだぞ。


マリアン:あいよ。

     全く相変わらず、小粋なジョークも通じねェ駄犬だな。

     「Who crashed "Humpty Dumpty" ?」


メアリアン:「I, said the "bloody Mary".」

      これで満足かよ。


マリアン:オーケイ、入りな。

     Welcome back, sweet Mary.


メアリアン:フン、いい気なモンだな。

      相も変わらず、イか臭ぇ窖に閉じ篭って待ち商売。

      テメェは何年物のワインだ?

      今年の葡萄はよく熟れたかよ。


マリアン:いい気なモンなのはどっちだかな。


メアリアン:あん?


マリアン:テメェ、また依頼に無ェ「お仕事」をしやがったな。

     テメェのそのユルいケツを、毎度毎度拭くのは誰だと思ってやがる。


メアリアン:さァ、知らないね。

      私は仕事の邪魔をするバウンサー気取りに、教鞭振るってやっただけだ。

      むしろ、教育費をボーナスとしてせしめたいくらいだね。


マリアン:……詭弁にもなっちゃいねえぜ、トリガージャンキー。

     次やったら、ヘソを2つくらい増やしてやるからな。


メアリアン:おお、怖い怖い。

      せいぜい気を付けらァな。

      ワザとじゃなく、事故にする努力をしようか。


マリアン:面倒は御免だ。

     テメェのケツはテメェで拭きやがれ。


メアリアン:火消しもテメェの仕事だろ、役回りってのを弁えな。

      ……で?


マリアン:あ?


メアリアン:あ? じゃねェよ。

      仕事の話をしに、こんな肥溜めくんだりに来てやってんだろうが。

      さっさと次のターゲットを教えなって言ってんだよ。

      私はテメェと違って、毎日毎日ハッピーサンデーってわけじゃねェんだ。

      Can you understand, baby ?


マリアン:いつまで経っても口の減らねェ……

     俺は俺で忙しいんだよ、アホみてぇに鉛弾ぶっ放すだけのシリアルマーダーと違ってな。

     歯車はせいぜい、大いなる労働ってやつに感謝してろ。


メアリアン:ハッ、大いなる労働ねえ。

      それはそれは尊すぎて、犬のクソが金の延べ棒に見えちまうね。


マリアン:それとな、ここは全席禁煙だって何度言ったら分かるんだ、クソ気分悪ィ。

     さっさと消せ。


メアリアン:おいおい、未だにテメェは無病息災元気なコってか、軟弱モノ。

      そんなに嫌いかよ、私のライト・メンソールは。


マリアン:ああ、嫌いだね。

     腐れビッチのゲロでも嗅いでたほうが、まだ気も晴れるってモンだ。


メアリアン:そうかよ、そいつァ結構な贅沢品だことで。

      ……で、さァ。


マリアン:あん?


メアリアン:こんなんじゃ、いつまで経っても話が進まないんだよマリアン。

      もう一回だけ言ってやるよ、さっさとデータを寄越しな。


マリアン:……ああ、全くもって生憎ながら同感だ、メアリアン。

     テメェが毎度毎度フッカケてこなきゃあ、もっと穏便且つ迅速に、仕事の話が出来るんだがな。


メアリアン:ハン、私のせいかよ。

      いつからそんなケツの小さい男になったんだよ、マリアン?

      もう少し拡張でもしようか、いいカマバーを紹介するよ?


マリアン:余計なお世話だってんだ。

     ほらよ。

     ソイツが次のターゲットだ、しっかり眼に焼き付けとけ。


メアリアン:……おい。

      おいおいおいマリアン。

      なんなのさこりゃァ、ええ?


マリアン:どうした。

     雇われ傭兵の分際で、依頼主サマに文句でも?


メアリアン:どうしたもこうしたもねェだろうよ。

      ターゲットがこんな小便臭ェ餓鬼だなんて、冗談じゃないね!

      私の相棒を何だと思ってやがる!


マリアン:テメェが何と言おうが、俺はお前のクライアントで、

     そしてその小便臭ェ餓鬼は、俺のクライアントが消してくれってんで回ってきた、仕事のターゲットだ。

      下働きの犬畜生風情が、ターゲットを選り好みしようなんざ、パブでの笑い話にもなりゃしねェ。


メアリアン:テメェ……


マリアン:相棒だかなんだか知らねェがな、世間様から見りゃあ、俺もお前も血腥いクソッタレな殺し屋で、

     その相棒なんてのは、金で命を吸ってる死神の鎌だ。

     誇りだのプライドだのは、コンクリートに詰めて流しとけ。

     二束三文にもなりゃしねェ芥屑だ、くだらねェこった。

     身の程を弁えろ、狂犬。

     Can you understand, baby ?


メアリアン:あーあーあーあーあー、御高説どうもありがとうよ。

      おかげで最高にクソッタレな気分だ、ああ最高だね。

      そんで、その餓鬼はどう殺すんだ、えェ?

      刺殺、絞殺、轢殺、撲殺、銃殺、焼殺、爆殺、

      その他諸々、お好きなコースをお選びくださいよマダム。

      今なら特別コースで、シャブのフルセットもお付けしましょうか?


マリアン:落ち着けよ。

     ここでワンワン吠えたところで、何も始まらねェぜ。

     いつもの通り始末して、いつもの通り報告しろ。

     オーダーはそれだけだ、分かりやすいだろうが?


メアリアン:ああそうかいそうかい。

      Sir, yes sir .

      このような任務に従事することが出来、光栄の極みでアリマス。


マリアン:とことん捻くれてやがるな。

     ……仕方ねェ、もう少し色を付けてやろうか。


メアリアン:色ォ?

      なんだよマリアン、報酬に自腹切ってくれんのか、優しいねェ。

      ちゃんと口座に米ドルで振り込んどけよ。

      ポンドなんていらねェからな。


マリアン:んなわけねェだろ、銭亡者野郎め。

     そのターゲットについて、懇切丁寧に教えてやるっつってんだよ。


メアリアン:誰が銭亡者だ、同じ穴の狢が。

      必要ないだろうよ、そんなモン。

      三日後にゃキリストの元へ導かれてるような奴の事なんざ、知りたくもねェし興味もねェよ。


マリアン:If you know the enemy and know yourself, 

     you need not fear the result of a hundred battles.


メアリアン:……ンだよ、そりゃ。


マリアン:前に行きずりの日本人に教わったんだよ、向こうの国の諺だとよ。

     なんともサムライの国らしい、素晴らしい心構えじゃあねェか。

     学の無ェテメェでも、タマ奪ったり奪われたりで生き延びてんなら、その意味くらい分かんだろ。


メアリアン:……くっだらねェ。

      今回のその「敵」とやらに、警戒する要素があるかよ?


マリアン:さあな。

     だが、こっちのルートで手に入れた追加情報にゃァ、

     シャーロック・ホームズも喉から手を出しちまう、とびきりのネタが載ってるぜ。


メアリアン:へーぇ、そうかい。

      それはそれは、興味を唆られるね。

      聞かせてみろよ。

      内容によっちゃ、今日中にカタしてきてやるからよ。


マリアン:フン、仕方ねェ。

     普通なら、特別情報料として、金一封でも請求するとこだがな。

     同業の誼みで、サービスしてやるよ。

     その代わり、必ず今日、遅くとも明日中に仕留めろ。

     さもなきゃ、テメェに回す仕事は、今後一切無くなると思いな。

     テメェが自分で言い出した事だからな。

     ついでに、ケツの穴でそのライト・メンソールを1カートン吸わせてやる。


メアリアン:オーライ。

      耳かっぽじって、しっかり聞いてやらァ。


マリアン:ターゲットの名前は、アントニー・フォー・クレンセント。

     由緒正しきクレンセント家の、次期当主予定だそうだ。


メアリアン:ケッ、由緒正しき、ねェ。

      血統書付きのペルシャ気取りか。

      ニャーニャー鳴いてりゃ、価値が上がったりすんのかね。


マリアン:どうだかな、興味もねェしくだらねえこった。

     続けるぜ。

     現在12歳、10人兄弟の末っ子。

     金持ちと子沢山ってえのは、切れねェもんだな。​

     2、3人くらい、現場で汗水垂らしてる俺らにも分けて欲しいモンだ。

     そうは思わねェか、メアリアン?


メアリアン:ああ全く。

      ちょいと手頃なビッチに股開かせて、ワンコイン挿れりゃァ一丁上がりって寸法だろ。

      少子化の御時世に随分とまァ、クソ素晴らしいインスタントマシーンじゃねェか。

      ノーベル賞も裸足で逃げ出すぜ。

      ……で?


マリアン:あん?


メアリアン:あん? ってお前。

      何ヤり遅れた間抜けな娼婦みてェな声出してんだよ。

      話をさっさと続けろよ。

      まさかとびきりの情報ってのが、たったのそんだけとか寝言は言わねェだろ?

      こちとらこれから、その糞餓鬼と、プレジデント・ウィルソンでマッチメイキングなんだよ。

      「お仕事は何をされてるんですか」、

      「これからテメェを殺す事等を少々です」だ、アホめ。


マリアン:そんな事になった日にゃァ、仲人役も感激のあまり小便垂れ流して泣いちまうぜ。

     テメェが口挟まなければ、もっと面白い情報が飛び出てたトコだよ。

     落ち着いて聞けよ、早漏野郎は嫌われるぜ?


メアリアン:ああそうかい、そりゃあ悪うござんした。

      お話の続きをどうぞ、ティーチャー。


マリアン:オーケイ、素直な生徒は好きだぜ。

     で、だ。

     今言った情報は依頼主、つまりターゲットの「兄」から貰ったモンだ。

     何番目の、なのかまでは知らねェけどな。


メアリアン:兄?


マリアン:ああ。

     なんでも件の餓鬼は、正式に血を引いてるワケじゃあないらしくてな、

     本来は、跡を継げるようなヤツじゃあねェらしい。

     ところが、何をトチ狂ったか、依頼主の父親は、そんな餓鬼を後釜に選んだ、って話だそうだ。


メアリアン:で、ケツの穴の小せェ兄ちゃんは、それが気に入らなかったってワケか。

      二流コメディアンのネタが、チャップリンに見えてくらァ。


マリアン:ああ、全く。

     笑える話だろ?

     セレブの兄弟が自分の立場を守るために、俺達みたいな貧乏人を雇って、

     一家巻き込んでパーティーさせてんのさ。

     酔い潰れた奴から、あの世行きって寸法だ。

     勿論、バレても一発アウトなチキンレース。

     ブルってきちまうだろ?


メアリアン:そりゃあ随分とまァ、魅力的な催しだこって。

      金持ちの道楽ってえのは一生分かる気がしねェな。

      私らなんかは、コイントスでも一晩明かせるってのによ。


マリアン:違いねェ。

     そんで、ここからはもっと面白いが、同時に結構スパイシーな内容になってくるぜ。

     どうする、最後まで聞いちまうか?

     ここでおあずけにしといてやってもいいが?


メアリアン:……カマのかけ方を、百遍学んで出直して来いよ、マリアン。

      テメェは、ファックを寸止めする趣味でもあんのか?

      淫売もイかせられねェ男は、一生報われねェぞ。


マリアン:やれやれ、親切で言ってやってんのに容赦ねえなァ。

     知らねェぞ。

     この話を聞いて嫌な気分になったとしても、俺は警告したからな。


メアリアン:要らねえ世話だよ、三流セールスマンが。

      いいからお話の続きをとっととどうぞ。


マリアン:はいはい。

     せっかちの相手はめんどくせェな全く。

     じゃあよ、メアリアン。

     その写真見て、何か気付くことは?


メアリアン:あん?

      何かってなんだよ、最初にも言ったろ?

      こんなもんは、小便臭ェ餓鬼だよ、くだらねェ。


マリアン:そりゃァただの、お前の偏見だろうが。

     見た目を見ろ、見た目を。


メアリアン:見た目ェ?


マリアン:そうだ、見た目の話だ。

     アンティークみてェな薄汚れたブロンドに、濁った碧いガラス細工を両目に拵えてよ。

     誰かに似てるとは思わねェか、なァ?


メアリアン:……さあ、そんな知り合いに覚えはねェな。

      いたとしても、そいつァ既に、この世にゃいねェだろうよ。


マリアン:まだ分かんねェか、それともすっとぼけてるだけなのか。

     もう少しヒントが要るようなら、やらんこともねェぞ?


メアリアン:セールスの次はチェアマンか、マリアン?

      職を探すにしても、もっとマシな物を考えな。


マリアン:泣き黒子。


メアリアン:……何?


マリアン:その餓鬼の右目の下にあンだろ、泣き黒子が。

     知ってるか、黒子なんてなァ、結構遺伝率が高いらしくてな。

     グランマからママに、ママから餓鬼に。

     三代に渡って、全く同じ位置の黒子が、遺伝した例もあんだってよ。

     ……ちょうどテメェの母親から、テメェのその右目の泣き黒子が、遺伝したみてェにな。


メアリアン:何が言いたい。


マリアン:10年くらい前だったか?

     泥臭ェスラムの片隅で、溝鼠だかボロ雑巾だかに見紛うくらい汚ェテメェを拾ったのはよ。


メアリアン:……今その話が、何か関係あンのかよマリアン。

      関係ねェなら今すぐ止めろ。

      折角のタバコが、ゲロみてェな味になっちまう。


マリアン:ただの昔話だよ。懐かしいよなァ。

     枝みてェな躰のくせして、一丁前にお偉方を殺そうだなんて分不相応な真似してよ。

     その先に待ってたモンは、それはそれは酷ェ現実だったよな?


メアリアン:マリアン、黙れ。


マリアン:殴られ蹴られは序ノ口、肉を削いで爪を剥いでをオードブルに、

     イエス様も真っ青の、男囲っての大パーティー開いてたじゃねェか。

     今思い出しても笑えるぜ。

     その蛇みてェな眼が、打ち捨てられたプードルよろしく、真っ黒に染まってた様はよ。


メアリアン:テメェ……

      知らない間に、随分と饒舌な野郎になったじゃねェか、ええ?

      喋りたい事は全部喋ったかよ?

      まだ足りないってんなら、脳天に口をもう一つ増やしてやろうか?


マリアン:そいつァ有難い提案だが、今は遠慮しておくぜ。

     言ったろ、俺がしてんのは、ただの情報提供だ。

     だが、それだけじゃあ味が足りねェ。

     少しばかりのスパイスをって、ささやかな心遣いだよ、オーケイ?


メアリアン:ああ、そうかい。

      そりゃあお気遣いありがとうよ、ディッキー・シェフ。

      お陰様で、最近一番のクソッタレな気分だよ。

      メインディッシュは、テメェお手製のミートパイをお願いしたいね。


マリアン:早まるなよ。

     もう少しだけ続きがある、最後まで聞いてみたらどうだ?

     それを聞けば、その火照りもすぐに収まるだろうよ。


メアリアン:誰のせいで火照ってると思ってんだ。

      これ以上テメェの口からは、何も聞きたかねェよ。

      喋りたいなら、ラスベガスのバーテン相手に、ラムでも傾けながら謳ってな。


マリアン:そんじゃァここからは、ただの俺の独り言だ。

     その鉄砲玉をトチった娼婦はスニッチに拾われ、血で血を洗う稼業への転職を余儀なくされた。

     だが、ガン・カタをキメる上で、「そいつ」は酷く邪魔だった。

     件の輪姦パーティーで授かった餓鬼はな。

     そして、愛より銃を選んだ女は子を港に置き捨て、魚の餌にでもしてやったと思い込んだ。

     実際、俺もそうなったと思い込んでたがな。


メアリアン:………………


マリアン:……ところがどっこい、その餓鬼はちゃっかり生きてやがった。

     スーツケースにでも詰めてやらなかったのが、失敗だったのかもな。

     過程がどうあったか知らねェが、フッカーがクソひり出すみてェに産み落とした餓鬼は、

     この国きっての四大財閥の一角、クレンセントのヘッド候補にまで上り詰めてやがった。

     ノヴェルのネタにしたら、ノイシュタットの審査員も笑い飛ばすだろうぜ。


メアリアン:……ああ、全く。

      そうかよ、そういうことかよクソッタレ。


マリアン:どうだい、メアリアン。

     餓鬼一人始末するだけのお手軽任務にしちゃあ、弾むカネも高いと思ってたろうが、

     これで納得も出来ただろ?

     元々の報酬は、この4分の1にも満たない端金だったのを、俺が無理言って引き上げたんだ。

     サービス料込み込みでよろしく、ってな。

     出来るサービスマンだろう?


メアリアン:ハ、お笑いだな、マリアン。

      札束で暖をとってるような連中相手に、商談もクソもあるかってんだ。

      ボロい商売だったろうよ。

      これだから金持ちは、いつまでたってもいけ好かねェ。

      ついでに、テメェもいけ好かねェ。

      犬みてェに尻尾振って、さぞご満悦だろうな?


マリアン:その犬のお陰で食い繋いでる畜生がよく言うぜ。

     ここまで情報くれてやったんだ、しくじったら、分かってんだろうな?


メアリアン:あァ、勿論。

      速攻でファックして、キレイな世界へ責任持って送り届けてやるよ。

      テメェが落としたモンの尻拭いは、テメェでしてやらないとな。

      十年越しの感動の再会は、マグナム弾をジョッキで奢ってやるよ。

      待ってなベイビー、愛しのママが今行くよ。

      ふふ、アッハハハハ。


マリアン:……あー、メアリアン?


メアリアン:なんだよマリアン?

      私ゃ今、最高にハイな気分なんだよ。

      水を差すヒマがあんなら、マスでもかいてな。

      遅漏のテメェ相手なら、3回イッた頃にゃァ帰ってこれるぜ。


マリアン:ああそうするよ。

     そんで、テメェが帰る頃にゃァ、祝いの酒もお待ちかねだろうさ。

     特別に、俺持ちでな。

     どうだい?


メアリアン:……いいねェ。

      そんじゃァ一発、スピリタスをボトルで寄越しなよ。

      ロックで早飲み競争と洒落込もうぜ。


マリアン:おいおい、死ぬ気かよ?

     酔う前にお迎えが来ちまうぜ、そんなんやらかした日にゃァよ。


メアリアン:構わないね、それくらいが丁度いい。

      死ぬほど酔ってゲロぶち撒けて、終いに死ぬほど笑って死ねるってンなら、

      これほど幸せなこたァないよ。


マリアン:そうかい。


メアリアン:……それじゃ、ちょっくら私は行くよ。

      いつものよろしく。


マリアン:はいよ。

     「哀れな羊に銃声を、尊き神に鉄槌を。」


メアリアン:「汝、救いを求めたらば、即ち銀十字を踏み躙るべし。」


マリアン:「さすれば我らが天よりの使者、汝の魂に血染めの掟を与えたもう。」


メアリアン:I'll be right back, Marian.


マリアン:I'll be right here, Marian.


メアリアン:オーライ、愛してるぜ。


マリアン:ああ、お互いにな。


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