20年目の節目に
森のようちえん全国交流フォーラムは、今年で20年という節目を迎えます。
私たちはこれまで、「いのちとは何か」「育つとはどういうことか」という問いを、常に胸に抱きながら歩んできました。
その問いの根っこにある感覚を、あらためて言葉にするならば
それが今回のテーマ「いのちの根」です。
いのちの根とは、目には見えないけれど、確かに存在するもの。
子どもが自ら育とうとする力。
自然の中で笑い合う時間。
人と人とが心でつながる場。
そのすべてが、いのちの根でつながっています。
多くの実践のなかで、私たちはその感覚を分かち合い、共に育んできました。
この節目の年にあたり、私たちは「いのちの根を見つめなおす」ことを通して、原点に立ち返り、今の社会や教育、地域のあり方をもう一度見つめ直したいと考えています。
その出発点として選ばれたのが、青森の地です。
この3日間が、皆さんの心にあたたかな根っことして残りますように。
そして、ここ青森で生まれる出会いや語らいが、それぞれの地域に新しい風を運んでいきますように。
そう願いながら、皆さんとお会いできることを心より楽しみにしています。
森のようちえん全国交流フォーラムin青森
実行委員一同
フォーラムロゴに込めた思い
今回の全国フォーラムのロゴには、北海道で長年「森のようちえん」活動に取り組んでこられた徳村彰さん(通称:おじじ)が創作した、「木・水・土」で構成された森の文字をモチーフとして使用させていただいています。
この文字は、自然の循環といのちの源を体現する、おじじ独自の造形文字であり、これまで多くの実践者たちに親しまれてきました。
20年の歩みの節目となる今回のフォーラムにおいて、私たち実行委員会はこの「森」の文字に深い敬意を抱き、その理念と美しさを受け継ぐ形でロゴとして採用いたしました。
なお、ロゴとしての機能性や視認性を考慮し、徳村さんの原デザインにアレンジを加えて使用しております。
意匠上の調整はありますが、その核にある精神や意味は忠実に受け継いでいます。
ロゴ全体が語るのは、「木・水・土」が調和して「森」となり、子どもたちのいのちや学びを育む世界が生まれるという、自然と人のつながりを表現しています。
ここ青森に、さまざまな地域で子どもたちと日々を紡いでいる仲間たちが集います。
森のようちえんに関わる実践者、これから関わりたいと願う保護者や支援者、そしてその営みに関心を寄せる多様な人々が、それぞれの土地からやってきました。
「いのちの根を見つめなおす」というテーマのもと、これから始まる3日間。
たくさんの出会いと学びが、ゆっくりと、そして確かに重なっていく時間になりますように。
その最初のひとときとして、今ここに、「森のようちえん全国交流フォーラム2025 in 青森」が幕を開けます。
 森田真生 氏
いまここから紡ぐ「センス・オブ・ワンダー」
〜「きてよかったね」と言える世界へ〜
独立研究者。京都で研究・執筆のかたわら、国内外で「数学の演奏会」などライブ活動を行っている。デビュー作『数学する身体』(新潮社)で第15回小林秀雄賞を受賞。他の著書に『数学の贈り物』(ミシマ社)、『僕たちはどう生きるか』(集英社)、『計算する生命』(新潮社、第10回河合隼雄学芸賞)、『偶然の散歩』(ミシマ社)、『かずをはぐくむ』(福音館書店)、絵本『アリになった数学者』(絵・脇阪克二/福音館書店)、訳書にレイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』(筑摩書房)がある。
森のようちえんの【現在地】
森のようちえん、この20年をふりかえって
⼦どもたちの内にある「センス・オブ・ワンダー(驚きや感動する⼼)」を育むことを⽬指し、全国各地で広がってきた⾃然体験活動。その数々を「森のようちえん」という名前で⼀つに束ね、取り組みの価値を発信し続けてきて、気づけば20年が経ちました。
この間に起きたことは、うれしいことばかりではありません。予想外の展開、思いがけずうまくいったこと、そしてなかなかうまくいかなかったこともたくさんあります。
今回は、そんな20年を⾛り抜けてきた実践者のリアルな声に耳を傾けながら、「森のようちえん」という取り組みが、いまの社会の中でどこにいるのか、どんな意味を持っているのか。
その「現在地」を、みなさんといっしょに確認していきます。
青森大学内のレストランにて、気軽な雰囲気で交流できる情報交換会を開催します。
地域や立場を越えて、参加者どうしが「森のようちえん」や子どもたちとの関わりについて自由に語り合える時間です。
これまでの歩みを共有し合いながら、新たな出会いや協働の種が生まれる場になればと願っています。
軽食を片手に、心も身体もほぐれるようなひとときを、ぜひご一緒に。
37の分科会から、あなたに響くテーマと出会おう。
午後は、フォーラムのメインとも言える分科会の時間です。
講話、実践報告、ワークショップなど多彩なスタイルで、全国の実践者や研究者、保護者、地域の方々がそれぞれのテーマで発信・対話します。
子どもとの関わり、食や農、地域とのつながり、園の運営や制度、保護者との関係性など、
あなたの興味や課題に寄り添う学びの場が、きっと見つかります。
詳しくは、分科会の詳細ページをご覧ください
👉 分科会ページへ
「森をひらく、地域とつながる」
秋田県では、森のようちえんを「制度で支える」仕組みづくりが進んでいます。全国的に「制度の壁」が語られる中、秋田では行政と地域が一体となって、独自の支援体制や予算措置を講じながら、「森のようちえん」という実践の根を地域にしっかりと張らせています。
この分科会では、先駆的に制度を活用してきた現場の実践者と行政担当者を招き、これまでの道のりや課題、そして他地域へのヒントを深掘ります。制度を使いこなすことで見えてくる可能性と、地域に根ざす新たな挑戦のかたちを共有します。
オーガニック料理を囲んだ交流
シンポジウムの後には、青森の街を一望できる「アスパム(青森県観光物産館)」内の1Fレストランにて、参加者どうしの交流を目的とした情報交換会を開催します。
テーブルに並ぶのは、地元青森の新鮮な食材を活かしたオーガニックビュッフェ。あたたかな料理とともに、全国から集まった仲間たちと気軽に言葉を交わせる時間です。
肩書きや所属を越えて、人と人とがゆるやかにつながるこのひとときは、森のようちえんフォーラムならではの風景です。初参加の方も、ぜひこの場をきっかけに、明日からの活動につながるヒントや仲間を見つけてください。
下のリンクからGoogleマップで会場を確認できます。
👉青森県観光物産館アスパムへ
参加者同士がテーマを持ち寄り、自由な対話や実践を展開する「フリー分科会」。
全国の実践者・研究者・保護者など多様な立場から、学び合いやネットワークづくりが生まれる貴重な時間です。
これまでには、地域での森のようちえん立ち上げ経験の共有、園の中のジェンダーについての対話、インクルーシブ保育の実践例紹介、さらには子どもたちの「食」や「遊び」をめぐるテーマなど、バリエーション豊かな内容が展開されてきました。
あなたの問いが、誰かの気づきになるかもしれません。興味・関心がある方は、ぜひ参加・企画ください。
※会場や内容は前日〜当日に掲示されます。
わたしの森のようちえん宣⾔
3日間のフォーラムで出会った学びや言葉、心を動かされた瞬間の数々。
それらを、記憶の中だけにとどめておくのではなく、これからの一歩につなげていくために。
最終セッションでは、「これからの5年に向けて、自分が始めたいこと・続けたいこと」を、ひとりひとりが言葉にします。
どんなに小さな想いでも構いません。
宣言し、仲間と分かち合うことで、今日の感動が、これからのアクションに変わっていきます。
岡田 武史 氏
エラー&ラーン
正解のない世界を生き抜くには
早稲田大学政治経済学部卒業後、古河電気工業株式会社に入社。2度のW杯を指揮を執り南アフリカ大会では チームをベスト16に導びく。Jリーグや中国リーグでも監督を歴任した。現在はFC今治の運営会社、株式会社今治.夢スポーツの代表取締役会長として「次世代のため、物の豊かさよ り心の豊かさを大切にする社会づくりに貢献する」を企業理念として、サッカー事業だけでなく環境教育事業や学校法人の運営など様々分野で活動中。
エラー&ラーン 正解のない世界を生き抜くには
サッカー元日本代表監督であり、現在は愛媛県今治市を拠点に活動する岡田武史さん。自身が代表を務める株式会社今治.夢スポーツの企業理念に掲げるのは、「物の豊かさよりも心の豊かさを大切にする社会づくりへの貢献」です。
その理念のもと、地域に根ざしたスポーツクラブ運営と教育の新しい在り方に挑戦しています。
なぜ今治だったのか。岡田さんはこの土地に可能性を見出し、新たな価値観を育む土壌としてのまちづくりに取り組んできました。とりわけ、次世代の感性に寄り添う教育の重要性に着目し、教育の専門家ではない立場から学校法人の運営にも参画。2024年にはFC今治高等学校を開校しました。
この高校では、実学を重視したカリキュラムを構築。教員を「コーチ」と呼び、生徒一人ひとりに寄り添う教育を通じて、主体性とリーダーシップを育む環境づくりを進めています。そこでは、「トライ&エラー」ではなく「エラー&ラン」という理念のもと、失敗を恐れず挑戦する姿勢を重んじています。
サッカー運営の枠を超えて、地域を活性化し、持続可能なコミュニティモデルを創出する岡田さんの取り組みは、スポーツ界のみならず、全国の地方自治体や教育現場にも新しい風を吹き込んでいます。もしこのモデルが全国に広がったなら、日本の未来そのものが変わるかもしれない、そんな希望と実践が、今治から始まっています。
3日間にわたる「いのちの根を見つめなおす」集いの総まとめ。
たくさんの学びや問い、そして笑顔やつながりを携えて、それぞれの場へと帰っていく前に、共に過ごしたこの時間にもう一度耳をすませます。
ささやかながら、私たち実行委員から感謝と祈りを込めた最後の時間をお届けします。
主催・共催・後援・協賛のご紹介
主催
森のようちえん全国交流フォーラムin青森 実行委員会
共催
NPO法人 森のようちえん全国ネットワーク連盟
後援
青森市
青森市教育委員会
青森県私立幼稚園連合会
青森県保育連合会
日本保育協会青森県支部
青森県保育協会
全国認定こども園協会青森県支部
特別協賛
一般財団法人 セブン-イレブン記念財団
協賛
株式会社 モンベル
ニューウェルブランズ・ジャパン合同会社 コールマン事業部