牛の糞の放射能度:54Bq~300Bq (水分量100%)
除染後の土壌の放射能度:3000Bq前後(水分量100%)
1kgあたりをそのまま比較すると牛糞の汚染濃度は土壌の10分の1以下です。
牛の糞は土になるため、汚染濃度はむしろ薄まります。
もう少し正確に考えると、牛の糞は、1kgの土の上に満遍なく1kgずつ敷き詰めるように落とされているわけではなく、あくまで放牧されたエリアの中でわずかな量がまばらにあるだけです。(計算すると、1kgの土の上に約0.009kgずつ落ちる計算になります。)
量を計算すると、
1haあたり2頭の放牧(通常の放牧頭数)の場合、
汚染の完全に抜け切る70日間18㎏を輩出し続けたとして、
牛糞量は、2×70×18=2,520㎏(/1ha)
土壌量は、260,000kg(/1ha)
100分の1の量です。
このhaあたりの量それぞれに、汚染濃度をかけると、
牛糞、2,520㎏×約300Bq(/kg) =756,000Bq (/ha)
土壌、260,000kg×約3000Bq (/kg)=780,000,000Bq(/ha)
1000分の1の濃度となります。
生物学的半減期を考慮すると、この約9分の1~7分の1以下になるため、9,000分の1~7,000分の1と推測されます。
(生物学的半減期については下記説明をご覧ください。)
1kgあたり濃度で見ると牛糞がある方が薄まり、面積あたりに換算すると、ほとんど変わらないと言えると思います。
① 除染後農地土壌1kg当たりの汚染量(大熊町帰還困難区域の除染された某所で4,143Bq/㎏でしたが、少し下がったとして3,000Bq/㎏を使います。)
3,000Bq/㎏
② 被災牛の1頭当たり糞量(2歳以上、水分100%)
18㎏
③ 被災牛の糞1kg当たりの汚染量(大熊町帰還困難区域牛)
180Bq/kg
④ 汚染排出に必要な日数
最短14日~最長70日
(※ただし、この間生物学的半減期により、最初の2週間でほぼ10分の1が排出されるようです。ここでは、慎重に慎重を期して、70日間、最初の汚染濃度が排出され続けると仮定して計算しました。)
⑤ Kg⇒m2への換算倍率(土の比重等)
一般に普及している数値…100倍 ここでは帰還困難区域の汚染のある表土から20㎝までの260倍で計算
※原子力安全委員会「土壌の汚染度(Bq/Kg)×65=土地の汚染度(Bq/m2)」(比重1.3、深さ5㎝)
kg×260=m2
⇒除染後農地の汚染量に与える影響(汚染量除染後農地汚染量に対して、排出される糞の汚染量) は、わずか0.001~0.003%ほど。
⇒被災牛の体内汚染全て排出後は、農地の中で循環されるだけのため、影響はゼロ
※セシウムはカリウムと同じアルカリ金属に含まれる1価の陽イオンで、日本の土壌では年を経るごとに土(粘土鉱物)に強く吸着され、牛が食べる牧草にはほとんど移行しません。移行しない牧草を食べれば牛の肉も、乳も、糞も、尿も汚染されないそうです。
最初の1週間でほとんど糞中のセシウムが排出され、汚染濃度は約9分の1以下に低減される。
尿中のセシウムについては排出が遅め。排出量は糞の0.38倍。
半減率は下記情報を参考にした。上記の表・グラフはどちらも、下記情報から会で作成。
http://www.pref.fukushima.lg.jp/w4/nougyou-centre/kenkyuseika/h25_radiologic/h25_radiologic_40.pdf
「低濃度汚染牛における体内放射性セシウム排出の推移」福島県農業総合センター畜産研究所肉畜科 事業名:放射性物質除去・低減技術開発事業 小事業名:牛生体からの放射性物質の低減技術の確立 研究課題:名肉用牛における体内放射性セシウムの排出促進技術の確立 担当者:石川雄治・古閑文哉・内田守譜・佐藤亮一氏
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(以下、実験の条件について引用)
(1) 放射性セシウム摂取牛の糞には、2,000~2,500Bq/day程度(飼料から糞への移行率約68~74%) の放射性
セシウムの排出を確認し、以後、清浄飼料摂取開始から10週後まで放射性セシウムの排出を確認した(図1)
予め水分80%換算の100Bq/kg調製飼料(以下、調製飼料)を1日当たり7kgを1ヶ月間、牛に摂取させた。
(引用終わり)
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前提条件や計算等のミスがありましたら、お手数ですがお知らせいただけますと幸いです。friends.humane@gmail.com