嗅覚刺激療法(嗅覚トレーニング、リハビリ)について
副鼻腔炎などの原因が見つからない神経そのものの障害が疑われる嗅覚障害では、嗅覚の回復には嗅覚(におい)刺激が必要です.副鼻腔炎の治療が終わっても嗅覚が戻らない方、感冒後、外傷性、原因不明などの方が嗅覚刺激療法の適応になります。
1.自宅でのトレーニング
自宅でのトレーニングは、1日2回,10秒程度、4種類のにおいをかぐようにします.アロマ、香水、ハーブなどなんでもかまいません.その他、コーヒー、カレーなど香りの強い食べ物でも良いです. 口の中に入れた食事の匂いを意識的に嗅ぐ方法もあります.ちなみに原法で使用されている香りはユーカリ、バラ、レモン、クローブの4種類です。日本人には馴染みのない香りが含まれていますので現在国内で日本人にあった香りの研究がすすんでいます。採用されている香りはココナッツ、湿布(サロメチール)、パイナップル、バニラです。
市販されているトレーニングキットを使用する方法もあります。商品名:嗅覚トレーニングキット Smell Restore(ニールメッド社)
2.治療期間
最低半年,1-2年間は続ける必要があります.
参考資料
嗅覚障害診療ガイドライン 2017 日本鼻科学会
三重大学嗅覚味覚外来の指針
“簡易な嗅覚評価のための 「日常のにおいアンケート」. 都築 建三 ら. 2009. 日本鼻科学会
Hummel Tら ” Effects of olfactory training in patients with olfactory loss.” Laryngoscope 2009
Kikuta Sら ”Sensory deprivation disrupts homeostatic regeneration of newly generated olfactory sensory neurons after injury in adult mice. J Neurosci 2015
奥谷文乃:嗅覚刺激療法の有用性.Jpn Rehabil Med 2021; 58: 1356–1360.