戦後、石炭産業の発展とともに、公害などの社会問題が起こり、それに対する緑化運動のなかから「宇部を彫刻で飾る運動」が生まれました。当時の星出市長の提案を機に、昭和36年(1961年)「第1回宇部市野外彫刻展」が開かれ、昭和42年(1965年)の「第1回現代日本彫刻展」から2年置きに開催されています。開催前の彫刻の丘は買収が済んだばかりの荒れ地となっており、「蟻の城」の作者、向井良吉は自らブルドーザーを運転し、会場の整備に努めました。
「宇部をテーマとする彫刻」の制作が5人の作家に依頼され、その中から向井良吉の作品が選ばれました。昭和37年(1962年)、向井は宇部興産宇部鉄工所の協力のもと、鉄廃材を使って現地制作を行いました。蟻の城は今でも宇部のシンボルとして彫刻の丘に立ち、圧倒的な存在感を示しています。
UBEビエンナーレでは応募作品の中から30点が模型展示となり、さらにそのうち15点が彫刻の丘で実物制作となります。ビエンナーレ期間中に各賞が決定し、うち数点は宇部市が買い取って、市内各所に展示されることになります。各作品はメンテナンスと、市民ボランティアの協力による清掃により、良好なコンディションのもと鑑賞することができます。2024年、「最も長く続く野外彫刻展」として、ギネス記録に認定されました。
2024年の第30回UBEビエンナーレで制作された15点の作品は少なくとも2025年冬までは彫刻の丘で展示されます。その後、模型買い上げ賞となった作品は宇部市内の他の場所に移設・展示となる予定です。また、リニューアルにともない、次回以降は3年置きの開催を予定しています。