特別講演

MIRU2020では、著名研究者による特別講演2件を企画しました。詳細は随時更新いたします。ぜひご参加下さい!

特別講演1:8月3日(月) 13:00~14:00

Human Augmentation:人間の能力の拡張と進化

暦本 純一

東京大学大学院 情報学環 / ソニーコンピュータサイエンス研究所

人間の能力をテクノロジーによって増強・拡張させる技術と、背景となる人間の探求を統合的に追求する学問領域は、ヒューマンオーグメンテーション (Human-Augmentation) あるいは人間拡張学と呼ばれている。拡張の対象は、知的な能力に加え、身体能力・認知能力や人間の存在などを含み、さらに障害者や高齢者の能力補綴 (ほてつ) や能力回復も重要な対象領域となる。

ネットワークを介して人々やロボット・AI がそれぞれの「能力 (Abilities) 」を結合し、相互に拡張し合うことで、ヒューマンオーグメンテーションはさらに発展する。モノのインターネットであった IoT (Internet of Things) は、IoA (Internet of Abilities, 能力のインターネット) に拡張される。相互接続する関係は人間と機械、人間と人間、その複合型など多様な可能性がある。Human-Robot Interaction (HRI) に加えて、人間とAIがより密接に連携し、AIによって人間の能力が拡張する Human-AI Integrationも重要な技術・産業領域となるだろう。

ヒューマンオーグメンテーションが一般化すると、人間の働き方や交流の仕方も含め、社会全体の構造も変化していくだろう。本講演ではこのように多面的な波及効果が期待できる研究領域について議論したい。

特別講演2:8月4日(火) 13:00~14:00

富岳:「アプリケーション・ファースト」のスーパーコンピュータによる大規模高性能AIの可能性

松岡 聡

理化学研究所 計算科学研究センター / 東京工業大学 情報理工学院

富岳は理研と富士通の共同開発により2020年4月に試験的稼働が開始され、同6月にスパコンランキングでTop500を含む四冠を史上初めて達成した。

だが、富岳はランキングを目標に設計された事は一度もなく、約10年にも及ぶ日本の広範なHPCコミュニティが参加した検討開始から設置完了に至るまで、常に「アプリケーション・ファースト」のコデザインが遂行されてきた。

その中で、富岳はDLを中心とした大規模AIの性能目安となるHPL-AIにおいて、二位の ORNL Summitを3倍近く引き離し、画像処理を含むAI分野において非常に大きな成果が期待される。

今回は富岳におけるPyTorchなどの最新の実装状況と、それに関連する本センターにおける大規模AIや画像処理の研究例を紹介する。