Part 1

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MIRACTキャンパス プロファイル 下川真実

今回のゲストは下川真実さんです!神奈川県横浜市出身で現在開発経済学を学んでいる修士2年生です。学部時代にはUC Berkeleyに交換留学し、現在もHumans of Keioのプロジェクトを主導するなど多彩な活躍を見せています!

「勉強」の意味が変わったサンフランシスコでの1週間


原田:まみさんが今までしてきた活動について聞かせてください。


下川:大学生活前半は知っている先輩が所属する吹奏楽のサークルに入って週4で練習し、授業には出席はしつつも勉強はそこそこに、大学生活を楽しんでいました(笑)。ただ3年生のときに1年留学に行って、帰ってきてからは教育系の活動に興味を持ち合宿型のプログラムの運営メンバーをやったりして、経済学についてももっと少し勉強したいなと思ったので大学院に進学することを決めました。


原田:以前話したときに「留学前に参加した1週間のプログラムに衝撃を受けた」と言っていましたが、具体的にはどう衝撃を受けましたか?


下川:大学2年生の夏に1週間くらいサンフランシスコに行くプログラムに参加しました。それまで勉強というと自分は「テストで良い点取れたら嬉しいな~」くらいな気持ちで、社会問題についてもそれまで深く考えた事がありませんでしたが、アジアの色んな国から来た参加者たちが自分たちの国の社会問題について深く考えたうえで自分なりのアクションを起こそうとしているのに衝撃を受けました。


原田:確かに。自分もベトナムに行ったときにカンボジアの同年代の人から自分の国の未来について3時間も熱く語られて日本の学生との温度差がすごかった。(笑)


下川:「自分が変えられる」っていう意識がすごく良いなと思って、マクロな問題を自分が解決するという視点で考えたことはそれまで無かったのですごく衝撃でしたね。


留学が自分が「本当に何をしたいのか」を自問するきっかけに


原田:行く前の準備で大変なことはありましたか?


下川:大学1年の冬に留学に行くための面接を受けたんですけど、「なぜ行きたいのか」という質問に対して「行きたいから行くんだよ」くらいの回答しか思いつかなくて、そのときは落ちました(笑)たまたま同じクラスに受かった人がいたのですが、彼はの場合は目的意識をしっかり持った上での応募だったので、自分もそういった部分をしっかり考えていかなければなと思いましたね。その動機づけの部分を考えるのが自分的には一番大変でした。自分の内面について、「本当に何がしたいか」についてそれまであまり自問した経験が無かったことを痛感したかな。


ゆめ:なぜUCバークレーに?


下川:中3のときにハンナ・モンタナというドラマにドハマリして、作中の曲の歌詞すべて歌えるくらいにまでなりました(笑)その舞台がカリフォルニアだったので、自動的に協定校の中からカリフォルニアにあるUCバークレーへと絞られました。


Humans of Keioとは?


原田:今までHumans of Keioとか色々な活動をしてきたと思うんだけど、その中で活動し続けるモチベーションというのは何だったのでしょうか?


下川:Humans of Keioはキャンパスにいる人に突撃取材をしたり、或いは事前にアポを取って色んな人に取材をして、その中で素敵だなと思ったところをピックアップして写真とともに投稿しています。それで活動というより、趣味みたいな感じです。(笑)始めた動機としては、吹奏楽のサークルの練習が厳しくて拘束時間が長い分、自分の人付き合いも限られてしまっていた状況に少し物足りなさのようなものを感じていたところに、Humans of Keioの募集を見て「これだ!」と思い申し込みました。今では10人規模の団体になってきています。写真と言葉だけで氏名を載せないので、結構色んな人が「いいよ~」と言ってくれます。


ゆめ:どんなやりがいがありますか?


下川:まず1つ目は取材で色んな人に話しかけられる取っ掛かりができたこと。2つ目は取材した人が自分が抱えていたモヤモヤみたいなものをインタビュー相手がふとした拍子に上手く言語化してくれるときがあって、「取材しているうちにこっちも勝手に気分が楽になって帰る」みたいなことがたまにあります(笑)そういう感覚が楽しくてやってるかな。


簡単な「S」よりも難しい「C」を


ゆめ:長期的でも短期的でも何か目標はありますか?


下川:まずは修士論文を頑張らないといけないですね。今までは色んなことに興味を持った振れ幅の大きい人だったんですけど、最近は一つのことに軸を持って行こうと思っています。

バークレーに留学した時に、自分ができなくて落ち込んだんですよ。すごく勉強する大学だった。それくらい、みんながすごくて、テスト中に死なないでねと啓発するような広告も学内にあったぐらい。(笑)それほどテストは過酷だったんです。それも、アメリカの大学はGPAがそのまま就職に反映されるから。大げさに言えば、テストが人生とも言えるし、親からの期待もかかっていて。だから、みんなめちゃめちゃテストを頑張るから、考えていることも多い。スピーチも上手い。その環境で自分は脳みそが空っぽすぎると感じていたんです。でも、それでも自分なりに頑張ろうと思ってやっていたら、勉強が面白くなってきました。

同じような境遇が大学院で起こったんです。学部から大学院に進み、選ぶ人が少ない経済に入ってしまって、授業は「あぁ...終わったわ..」と思うくらい難しかった。(笑)最初の一学期は特に何これと思うくらい訳がわからなかったです。だから、入った当初は、就職は経済関係の所には行かないと思っていました。でも、こんなに授業についていけないのに修士の学位を持っていると思われたくなかったですね。簡単な授業だけをとってその授業でいい成績をとるのは嫌だったから、どんなに成績悪くても難しいの取ろうと思いました。簡単なのをとって楽して「S」の一番良い評価より、難しくて、全部必死でやって「C」だったの方が思い出にもなるし、後々役にたつかなと思いました。そう思ってやっていたら、ちょっと面白くなって、将来も経済の分析とかできたらいいなと思いましたね。

来年からも金融で働くので、金融と開発経済は違うけど、経済分析の何らかの形で、

いけてる分析できる人になりたいなと思っています(笑)目の前のことを一個一個、持てる力を出してやっていき、教授、周りの人にアドバイスをもらいながら頑張っていけたらいいなと思います。


原田:留学生としては本当に尊敬する姿勢です!!

   

下川:アメリカの学生は勉強に加えて、クラブ活動をするのも当たり前で、バイタリティがすごかったですね。


ゆめ:環境に入ることで、自分も高められますよね。


下川:私もできるんじゃないかと思えるようになるんですよね。周りもやっていると。留学中に太鼓クラブに入っていて、もちろん現地学生がいっぱいいるんですけど、みんな勉強と両立して練習をしていましたね。


「子供たちにオンラインで授業でもしちゃお〜」


ゆめ:コロナ禍で、生活が変わったと思うんですけど、どのように自分自身を高められていましたか。前向きに生活できるアドバイスを教えてください。


下川:逆に二人はどう思う?


原ちゃん:やれることをやるしかないよなって。世界中同じ状況だから恨んでも、弱いことを吐いても仕方ないよね。俺は、できることをやろうと思ってミラクトキャンパスなどにも積極的になれたかな。


ゆめ:大学4年生だから言えることであると思うけど、時間があるからこそ新しいことにチャレンジすることができたと思う。時間を無駄にしないで何かできることに使おうという気持ちが大切なのかな〜。


下川:落ち込んだというか、世界がこんな状況だから、自分だけではないっていうのはわかるけど、大学に行くことや買い物に行くのが好きだったからきついな〜と思ってた。そんな時に、自分ができないことにフォーカスするからいけないんだと思った。もっと周りに目を向けてみようと思って、近所を散歩しながら考えていたら、子供って暇そうだなと思いましたね。当たり前ですよね。休校してたから。なんか、「子どもたちにオンライン授業でもしちゃお〜」と思ったんです。もともと塾講師もアルバイトでしていたので。そして、最初市役所に電話してみたんですよ。そういうニーズがないのかを聞くために。でも、コロナもあって、市役所の仕事の手が回っていなくて忙しいからと断られた。

でも、学習支援をしている人たちっているでしょと思って、Facebookで自分の市の情報を調べていたら見つけて、代表の方も優しくて話が進みました。2人ぐらいオンライン授業をやって、逆に彼らとの交流から自分が救われた。自分ができないことから視点をちょっと移すと前向きになれるんだなという経験になりましたね。


あなたにとって希望の未来とは


ゆめ:あなたにとっての希望の未来とは何ですか。


下川:これも考えたんですけど、やっぱりあれですかね。頑張ればできると思える雰囲気がある社会。頑張っても自分が報われないこともあるけど、頑張っても意味ないやとか生きててもいいことないなって思ってしまうと、逆算して、じゃあ今何もやんなくていいやと思ってしまう。そうではなくて、一つ一つ今できることをやっていく、そしてその先に自分にとっても周りの人にとっても、いい未来が待ってると思える社会全体の雰囲気や、若者の姿勢が必要だと思うんだけど。あとは何か、やりたいと思ったことを許される限り、一人一人が追求できる。それを言っても笑われたり、バカにされるのではなく、後押ししてくれる人を見つけられるといいなと思いますね。

コロナ禍になって、また大学院に入ってから、人と関わる人数がギュッと減ったんですけど、必ずしも悪いことばかりではないなって気がしてます、人との繋がりが減ることが。なんか、線が引かれたんですよ、これまでは無駄に広がってたんですけど、みんな知り合いみたいに。なんだけど、本当に自分が仲良い子、心配している子っていうのがわかって、本当に仲のいい人を大事にできるのかなっていうのはありますね。しかも、そうできた方が自分も楽しかったっていうのがあります。こういうことも、健康であるから言えるんだと思うけど、コロナ禍を通してよかったことかなって思います。


原田:共感することばっかりだった。


ゆめ:まみさんってとても優しい人柄と言った第一印象を受けたのですが、人間性的にどういう人でありたいですか


下川:寛容でありたいし、知ったかぶりをしない人でありたいですね。わからないことに対してはわかんないとちゃんと言いたい。自分でいうのもあれですが、顔がマイルドなせいで優しいねって言われるんですけど、(笑)そんなことは本当はなくてですね、せっかちで自分では割と短気だと思っているんです。それは、自分がわからないところを素直に聞けないところがあって、他の人に聞いたらなにそれって思われるのが怖い。逆に、自分も他の人に聞かれたら、何それって思える寛容さがないからダメなんだろうなって思うんですよね。自分もわからないことは「すみません、わかりません教えてください。」と聞いて、人から聞かれたらちゃんと許す。そんな広い心を持ちないなと就活で思いました。

知ったかしないのは大事ですね〜。


以上、下川まみさんをゲストに迎え入れた第1回MIRACTキャンパスでした!いつも穏やかに見える下川さんですが、その行動の裏にある信念を感じることのできるインタビューでした。来春から社会人として新たな一歩を踏み出す下川さんの未来を応援しつつ、我が身を振り返りながら一歩一歩、歩んでいきたいと思います!

(編:小澤翼/Tsubasa Ozawa)

(校正:管理人

編集者紹介

小澤翼/Tsubasa Ozawa: 九州大学工学部在学.航空宇宙工学を専攻.シンガポール国立大学へ半年間留学,コロナ禍で早期帰国.(紹介投稿