Part 0

事業内容 >> MIRACT Campus >> MIRACT Campus 第0回

MIRACTキャンパス プロファイル 原田佳祐

様々な分野で活躍する10代20代にスポットライトを当てるMIRACTキャンパス。

初回となる今回のゲストはカナダのアルバータ大学の大学院で日本語学を専攻している原田佳祐さんです!学部時代は九州大学に在籍し、ジョージア大学への一年間の交換留学も経験しています。しかし海外でバリバリ活躍している経歴からすると意外なことに、高校までは宮崎の田舎にずっと住んでいて海外旅行にも行った事が無かったという原田さん。コロナの影響で現在日本からアルバータ大学の講義を受けています!

様々なフィールドで貪欲に動く彼の原動力はどこにあるのかをMIRACTメンバーである西田優芽のインタビューとともに探って行きます!

※原田佳祐さんもMIRACTのメンバーであり、インタビュー中では親しみをこめて「原ちゃん」と呼んでいます。

※以下の記事はインタビューからの抜粋です。

ゆ:本日のゲストは原田佳祐さんです、よろしくお願いします!

原:よろしくお願いします!

高校時代、窮屈な思いと大学への憧れ

ゆ:今まで日韓交流事業や留学など様々なことに取り組んできた原ちゃんの経験から、今まで取り組んできた事とその中で印象に残っていることなどを教えて欲しいです。

原:そもそも大学に入る前はずっと宮崎の田舎の方にいましたね。ずっと窮屈な感じで自分がやりたいことをできなくて「ここを出たい」という思いしかなかったな。それで大学受験に失敗して浪人して、「大学への憧れ」っていうのも人一倍に強かったんじゃないかなと思います。その後大学に入って、2年生の時外国人留学生のチューターという形でサポートする機会があって、その時留学生交流というものにすごくはまりましたね、日本の文化を紹介しつつ、向こうの文化も学ぶというのが物凄く楽しいということに気付きました。その過程で海外に行きたいなって思って夏休み冬休み春休み、大学主催のプログラムとかにとにかく申請しまくって参加しまくった感じでしたね。その中で、自分自身も留学生の立場にならなきゃと思ってアメリカに1年留学したのが1番の思い出ですかね。

ゆ:始めの田舎での窮屈さについてですが、宮崎に住んでいる時東京などの都市部との情報格差など、田舎ならではの困難さとしてどんな事を感じていましたか?

原:一番は「多様性」かな。それもやっぱり井の中の蛙という言葉があるように、出てから気づいた事ですね。今はコロナで中々いないけど普段は外国人が当たり前の様に街中で歩いている、そして彼らと外国語を交わす事ができるというのは自分にとって物凄く刺激的なことでした。勿論、それだけが全てじゃないけど広い世界を見る機会という点では東京なんかでは行政が主宰するプログラムが多くあるのに対して、地方の差というのは感じましたね。

初めての海外旅行、韓国文化に惚れる

ゆ:大学に入ってから幅広く活動する中で、韓国語を習得したり学生訪韓団に参加したりと韓国に関わる活動が多いように思えますが、韓国に着目した理由はなんでしょうか?

原:大学2年生の時初めて海外に行った先が韓国で、ハングルが溢れるその風景や韓国の文化そのものに惚れてしまったんだよね。福岡からは飛行機でたった40分で行けるのに、考え方とか働き方が全然違うのに衝撃を受けましたね。その後、留学でアメリカに住んでいる時ルームメイトが韓国人で、彼とのディスカッションを通して「もっと他の人にもこのような体験をさせてあげたい」と思うようになりました。帰国後は外務省のプログラムに参加して韓国に行ったりしました。去年は不買運動とか色々政治的な出来事があったけど、その中で自分にしかできない架け橋の役割と模索していくというのが大きなモチベーションでしたね。

ゆ:今聞きながら大学の韓国の先生が言ってた「他の国をみることによって自分の当たり前を見直せる。そういう意味ではどの国に行ってどの国の言葉を話すかは関係ない」という言葉を思い出したな。原ちゃんの場合はそのきっかけが「韓国」という国だったんだろうなと思った。

原:まぁやっぱり「国」という単位で区切ることがどれだけ狭いことか思い知った。けど一方で、やっぱり違うものがあって、自分はその違いの「ズレ方」が面白いと思うんだよね。

ゆ:具体的にどんなの?聞きたい!

原:韓国のコンビニが衝撃だったかな。スマホいじったり、ダラーと座ったり、まぁ悪く言えば「サボってる」んですよね。でも向こうからしたらそれが普通で、「働く時に働けばOK」という考えなんですよね。日本では店員さんはずっと立ってるし勤務中にスマホを見るなんてありえませんよね?その時に「あ〜日本人て働きすぎてんだろうな〜」と思いました、余計なくらい律儀というか。そういう韓国の近そうに見えて実は全然違うっていうのが魅力でしたね。

大学院進学ー自分の「好き」を見つけるにも時間がかかる

ゆ:今まで経験した葛藤や苦労はどんなものがありますか?

原:国際交流に関して自分がしてきたことは満足してます。ただ、去年自分の進路に関してすごく悩みましたね。去年は英語学科という英語を専門に勉強するところにいたんですけど、「本当にこれが自分が一生をかけてしたいことなのか」というのにとても悩みました。(当時は九州大学大学院に在籍)英語の教員免許も持ってたけど、果たして日本人に英語を教えるのに人生費やしてよいのかなと考えた時「NO」と言う自分がいました。それで。自分が死ぬ前に振り返って「これで良かった」と思える生き方って何かなと思った時、留学生のサポートというのが浮かび上がってきました。そこから人生使って大学で留学生に対して日本語や日本文化を紹介して行きたいなと思うようになって、そこから九大院を出ようと決意し海外大学院進学を決めました。

ゆ:なんで留学生に教えたいと思ったの?

原:なんでだろうね(笑)。ずっと今まで留学生を案内するのが自分の楽しみで、街や田舎を案内する時に自分にとっては当たり前の風景でも彼らは興味津津で、それを説明するのがすごく楽しかった。更に、自分自身が留学生の立場になって身の回りの当たり前を外国語を使って説明するのが自分にとって大きな歓びになると感じるようになった。「これだったら残業しても良いな」と思えて、そこがターニングポイントだったかな。


ゆ:自分もゲストハウスで働く中で何が楽しいかと言うとやっぱり新しい考え方を知れる事だと思う。全く同じものを見るのでも、外国人の人と行くと興味の持ち方とかが全然違うから新しい発見がそれが楽しいなぁって思う。

原:やっぱり自分自身異国の知らないところを巡るのが好きだし、日本に来てる留学生の語学をお手伝いを一緒にしたいというのが全ての出発点でしたね。

ゆ:それで九大をやめようという風になったのはなぜですか?

原:それは結構プラクティカルな理由で、今の大学の日本語教師は受け入れた留学生に対して日本語を教えるためにものすごく英語力が求められている。今後もその流れは続くだろうし、その中で自分が日本語教師になるためには英語圏で学位をとるというのが一つの証明になると考えて今の進路にしましたね。

ゆ:海外の大学院に進学する上で大変なことはありましたか?

原:当たり前だけど、英語は苦しむよね。ただそれ以上に自分が苦しんだのはStatement of Purpose(研究計画書)でしたね。それを書くためには自分は日本語のどういう側面を研究したいのかということについて書く必要があって、自分が本当にしたい事はなんだろうかというのを見つけるのに3ヶ月以上かかってしまいました。

ゆ:今はどういう研究をしようとしているの?

原:今やってるのは日本語学習者の会話の分析です。

ゆ:自分が「どうなりたいか」について一つ一つ決めていくのって難しいですよね。

原:うん、色んな人に相談した時に「自分の好きなことをやればいいよ」とアドバイスしてくれて、それ自体はありがたかったけれども「自分が何を好きか」を見つけるのにも時間がかかりましたね。多分自分が何をするかについてそこまではっきりしている人は少なくて、自分の「好き」を見つけるにも時間がかかるんだろうなと思いました。

ゆ:すっごいわかる。自分もまさに悩んでいる途中。「好きを見つける」って難しいよね。どうすれば自分の「好き」に近づけるのかな?

原:自分が考えたのは、仕事が長引いて残業することになっちゃっても、それでもいいなと思えるキャリアを想像した。研究に関しては、最初は本を読みまくるとしかないんだけど、決断しなきゃいけないタイミングが来たらその時は自分がやりたいものの中で一番力が発揮できる「簡単な」選択肢を採るのがいいかなと思ってる。実際、最後は迷いすぎてそこで決めたかな。

以上、第0回MIRACTキャンパス・原田佳祐さんとの対談でした!いかがだったでしょうか?私自身、いついかなる状況でも「今自分にできること」を考えていく原田さんの姿勢は話を聞いていて襟を正す思いになりました。

MIRACTはこれからも身の回りの様々な分野で頑張る10代、20代を特集していきます。次回は開発経済学を専門にして国内外で様々な活動に取り組む下川まみさんを特集します!

(編:小澤翼/Tsubasa Ozawa)

(校正:管理人

編集者紹介

小澤翼/Tsubasa Ozawa: 九州大学工学部在学.航空宇宙工学を専攻.シンガポール国立大学へ半年間留学,コロナ禍で早期帰国.(紹介投稿