研究概要
Sakuragi lab の研究について紹介します
[New]ニュース、写真を更新しました。(2025,7,7)
Sakuragi lab の研究について紹介します
▌散乱手法を用いた皮膚浸透キャリアの角層透過機構の解明
角層は皮膚のバリア機能の役割を果たしているため、皮膚を介して物質を輸送させる際、角層への透過が律速段階となります。油に分散したW/O型マイクロエマルションや、リン脂質と界面活性剤からなるトランスファーソームなどのナノサイズの構造体が薬物の皮膚浸透キャリアとして用いられますが、その角層への透過機構はよくわかっていません。我々は、大型放射光施設SPring8のX線や中性子散乱を用いて、これらのキャリアを角層に適用したときの角層の構造変化や、角層内におけるキャリアの構造変化を観察しています。これにより、キャリアの通り道や、皮膚透過しやすいキャリアの構造条件、キャリアがどこで崩壊し内包物が放出されるのか、といったこれまでに全く知られていない皮膚透過メカニズムを明らかすることが目的です。また、マウスを用いたin vivoの評価も取り入れて、生物学的機能の相関を調べているところです。
▌深共融溶媒を用いたマイクロエマルションの構造制御と経皮デリバリーへの応用
深共融溶媒(DES)は二つあるいは三つの水素結合受容体、水素結合供与体を混合し、撹拌すると得られる溶媒でイオン液体と類似の性質を持ちますが、安価で生体親和性があるため、近年注目されています。DESは、様々な難溶解性物質や生体高分子などを溶解するという報告があることから、DESをマイクロエマルション内相に導入することで、マイクロエマルション内に様々な難溶解性薬剤を溶解させ、経皮デリバリーへ利用できることを期待しています。私たちは、DESの種類、導入量や、界面活性剤の混合比を変えたときのマイクロエマルションの構造を、小角X線散乱により詳細に調べています。また、DES自体が角質細胞間脂質の構造を乱し、薬物の皮膚浸透を促進する効果があるため、DESを溶媒に用いたキャリアの皮膚浸透についても研究しています。
▌バイセルによる薬剤浸透性向上メカニズムの解明
リン脂質のディスク状構造体バイセルは、薬剤を皮膚バリアへ効率よく拡散させることができると報告されています。 また、バイセルは角層中で角質細胞間脂質と作用して再配列し、皮膚バリア薬剤の透過経路を創り出すことが示唆されています。私たちは、バイセルが皮膚中でどのような構造変化を起こして再配列し、 薬剤の透過経路を創り出すのか、についてのメカニズムを調べると共に、バイセルを用いて様々な有効成分・医薬品を経皮デリバリーに応用する実験を行っています。
▌ 研究成果:リサーチマップ
▌大学へ入学したばかりの学生や、高校生の方へ
高校生向け ミニ講義 夢ナビにて、私たちが取り組んでいる経皮デリバリーを紹介しています。⇒douga.yumenavi.info/Lecture/PublishDetail/2024004223?is-show-question
スザンヌチャンネル オープンキャンパスの体験実験⇒www.youtube.com/watch?v=PxlYA41kqwE
高校生向け探求プログラム「ディスカバ! in 崇城大学」に担当教員として櫻木先生が参加中です。内容は、経皮デリバリーに使うマイクロエマルションを一緒に作製し、構造評価を行う実験です(2024年度〜)。経皮デリバリーの研究に興味のある高校生は、ぜひ参加を検討してください。