概要

盗聴される授業、検閲される教科書

2016年12月28日、大学の違法行為を告発したために解雇された教授が、地位確認と慰謝料を求めて東京地方裁判所に提訴していた。

訴えによると、明治学院大学は、授業を盗聴され秘密録音されたことを告発した、教養教育センターの教授を懲戒解雇していた。大学の組織的な違法行為を告発して解雇されたのは、倫理学を担当する教授で、大学当局が授業を盗聴して秘密録音し、授業の録音テープを本人に無断で使用していた。

大学当局によれば、明治学院大学では、授業の盗聴が慣例として行われており、今回の秘密録音も大学組織を守るために行ったとのこと。告発した教授とは別の教員も、授業を盗聴され解雇されていた。

また、同大学では、大学の権威やキリスト教主義を批判しないように、授業で使う教科書を検閲したり、学生の答案用紙を抜き取って検閲したり、教材を事前に検閲して配付を禁止したりしていた。

本件については、2016年10月、解雇された教授が東京地方裁判所に労働審判の申立を行い、同年12月、裁判所は解雇を無効として、同教授を復職させるよう明治学院大学を説得したが、大学が拒否したため訴訟に移行していた。授業を秘密録音して教員を解雇した「目黒高校事件」と同様、学問の自由、教育の自由、表現の自由が、本裁判で争われていた。