夏の研究集会

2023年度研究集会(第339回月例研究会)のお知らせ 終了しました。


 本年度の研究集会は、午前中に自由論題で2名の会員に報告していただきます。午後は特集企画として「メディアとしての図書館」というテーマでミニ・シンポジウムを開催します。メディアが、もともと人間の頭の中にあって見たり聞いたりすることができない情報や思想に、視覚や聴覚(場合によっては触覚)で捉えることができる「形」を与えるものだとすれば、図書館は、それらの「形」を収集して、社会にはどのような「形」がどれだけ存在しているのかを見たり聞いたり(場合によっては触ったり)できる「空間」を構築しているという意味で、やはりメディアと呼ぶことができるでしょう。そして、このメディアは、必然的に、多くの利用者の欲求に応えるための性格(いわゆる公共性)を伴うことになり、その性格は、収集した「形」の分類・整理・提示の仕方に示されることになります。こうした視点から、報告者にはそれぞれの立場から、国立や民間、海外の図書館が、歴史的にどのような変遷をたどって現代に繋がっているのかを論じていただきます。

 ※ハイフレックス形式(対面、Zoomでのビデオ会議のどちらでも参加できる方式)での開催となります。

 夕刻からは懇親会を開催しますので、是非ご参加ください(懇親会だけの参加も歓迎です)。

 メディア史研究会はまったく自由な研究会ですので、会員以外の方でも、もし内容にご関心があれば、どうぞ気楽にご参加下さい。


【日程・会場・費用】

   http://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/direction/


[参加方法]

・ハイフレックス形式(対面、Zoomでのビデオ会議のどちらでも参加できる方式)での開催となります。

・当日は資料配布を行わず、事前にメール配信することから、対面で参加される方も事前申し込みをして頂く必要があります。

・参加を希望される方は2023年8月24日(木)までに次のURL(Google forms)からお申し込みください(対面かビデオ会議かと、懇親会への参加の有無を選択してください)。申し込まれた方へ、対面での参加の方へは報告資料を、ビデオ会議での参加の方へはアクセスするためのURLと報告資料を、9月1日(金)にメールで配信します。

【会場では報告資料を配布しませんのでご注意ください】

 https://forms.gle/rQmiu3rnEe8sQF7Z9


★懇親会の参加人数を1週間前までに把握する必要があるため、申し込み締め切りをいつもより早めますのでご注意ください。


★参加申し込みが締め切りに遅れた、あるいは、参加を申し込んだが報告資料やURLが届かないということがありましたら、お知らせください。


※会場でご自身のPCからネット接続をしたい場合、Eduroam(ご自身の所属機関が加盟している場合に限ります)を通じて、あるいはデザリングなどのご自身の手段で、WiFiへの接続が可能です。Eduroamの概要は https://www.eduroam.jp/about からご確認ください。


[懇親会]

18:00~20:00

日比谷松本楼 セントポールズ会館店(立教大学池袋キャンパス内)

https://matsumotoro.co.jp/shop_list/06rikkyo.html

懇親会費 5000円(学生 3500円)*当日、会場でお支払い下さい。


【プログラム】

 9:30 開 場


■10:00~12:40 自由論題

 司会者:浜田幸絵(島根大学法文学部准教授)


大尾侑子(東京経済大学コミュニケーション学部准教授)

 「「書痴」の戦後-斎藤昌三と『書痴往来』」


千葉悠志(公立小松大学国際文化交流学部准教授)

 「イスラーム系アプリのなかに地域と/の歴史をよむ」


<昼休み> *学食がお休みのため、大学近辺のコンビニや食堂をご利用ください。


■14:00~17:45  特集企画:ミニ・シンポジウム「メディアとしての図書館」

 司会者:佐藤卓己(京都大学大学院教育学研究科教授)


報告者1:長尾宗典(筑波大学人文社会系准教授)

 「近代日本の図書館と「読書習慣ニ乏シキ国民」」


報告者2:新藤雄介(福島大学行政政策学類准教授)

 「1930年代における図書館と地域の諸相―都市型独立館と小学校付設簡易図書館」

      」

報告者3:中村 督(北海道大学大学院法学研究科教授)

 「公私の空間としてのフランス国立図書館」


【特集企画の趣旨】

「メディアとしての図書館」

 メディア史研究にとって史料の残存状況がきわめて重要であることは言うまでもない。活字史料である新聞や雑誌はもちろん、写真や映画のフィルム、放送の原稿や脚本、録音・映像の記録がどの程度まとまって残っているかは、研究の成否に直結する。メディア史研究のための素材については、本研究会ではこれまで「歴史史料としてのメディアを考える」(第39号)や「地方におけるメディア史資料・史料の現状と可能性」(第45号)といった特集を組み、メディア史研究に必要な史料の残存状況についても検討を加えてきたが、それらを収蔵し提供する機関が一つの巨大なメディアであることには、あまり目を向けて来なかった。


 ここで「メディアとしての図書館」は二重の意味を持つ。一つは現代のメディア資料を保存する機関としての意味であり、もう一つは、図書館自体が一つの情報メディアの機能を持つという意味である。後者についていえば、図書館とは「共時的には、社会における知識や情報の伝播を円滑にするコミュニケーションの媒介機関としての役割を果たす」機関であって(『図書館情報学用語辞典』第5版)、ある時代に発行された出版物などを一定の規則に従って分類し、情報を求める利用者に提供する公共空間としての機能を持っている。


 公的機関が資料を集めるだけではなく、篤志の個人が集めた後にメディアの集積機関となった場所もあるし、この問題は日本に留まらず比較史的な視点からも検討していく必要がある。発表者にはそれぞれの立場から国立や民間、海外の図書館が、歴史的にどのような変遷をたどって現代に繋がっているのかを論じてもらい、研究の新たな展望が開ければ幸いである。